ゴブリンの集落
「兄ちゃん、転移者なんだって?」
「わあ、すごーい!」
「私も、私も!」
今、ゴブリンの集落に来てゴブリンの耳をコピーしている。今ちょうど、五十匹のゴブリンの耳をコピーし終えたが、俺の前にはまだ長蛇の列ができている。因みにギルドから貸し出された袋は、もういっぱいだ。
「すまぬな。わがままを聞いてもらって」
「いいよ。それに、仲間を殺してしまったし」
すると、ミドリが不思議そうな顔をした後、そしてなるほど、というふうな顔をした。
「いや、その気配りはいらない。私のスキル”軍長”は仲間が死んでも生き返らせる、という能力があるのだ。まあ、魂が残っていないといけないという条件がある上、月一回しか使えないのだがな」
なにそれ便利!って、それを先に言ってくれよ。
「今日は本当にありがとう」
俺たちは、ミドリたちゴブリン族に、人避け用の魔法の術式をプレゼントした。森には食料を集めるためだけにしか用がないらしく、人を襲う気はまったくないそうだ。人を襲う、というのは単なるデマらしく、どちらかというと友好的なのだ。
「いや、いいよ。こんなにコピーさせてもらったし」
そういって、袋を確認する。その中には七十匹ぶんしか入らず、他のは俺の”虚構世界”に入れている。
「それじゃあ、私達はこれで。ほら、カソード!」
アノードが言う。カソードはゴブリンの子供達にからまれっぱなしだ。ミドリが子供達をなだめる。
「また遊びに来てくれよ!」
「また作ってね!」
「ああ、また来るよ。じゃ!」
そう言って手を振る。ミドリ達は敬礼で見送ってくれた。
今俺達はギルドへ来ていた。そう、討伐完了(偽)の報告をしに来たのだ。
受付に大量の討伐部位であるゴブリンの耳をだす。受付は驚いた表情をして「し、しばらくお待ち下さいッ!!」といい、ギルドの建物の奥の方に入っていった。
俺は「テンプレきた……」と少し惚ける。
そのまま数分間待っていると、先程の受付といかつい顔をした男が出てきた。
少し短くなりました。
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