ゴブリンの転生者
「来てくれてありがとう」
今、俺達はゴブリンの長を名乗るゴブリンの住処に来ていた。住処と言っても、洞窟のようなものではなく、ちゃんとした木造の家だ。
「で、話って?」
「そうだな…。君たち含め、人に私たちゴブリンを襲わないでほしいのだ。こちらには襲おうという気は全くない」
「え、そうなの?」
「ああ。そういえばまだ自己紹介をしてなかったな。私はミドリという。そして、本当の名は、東島 光という」
「もしかして、貴方、転生者?」
マジで?
「そうだ。そこの君…」
「トヲルだよ」
「そうか、トヲルか。トヲル君ならわかると思うが、私は第二次世界大戦という戦で死んだ軍人なのだ。その軍人としての気持ちがあって、”軍長”をもってこの世界にやってきたのだ」
「で、その時の経験から仲間を殺されるのはもう嫌だ、と?」
「ああ、そうだ。君たちには何のメリットもないだろうが、たの…」
「いいよ。ていうか、襲わないのなら、殺す必要はないしね」
「え?」
ミドリが、少し間抜けた声を上げる。やられたらやる、やられないならやらない、だ。
「かたじけない」
「でも、依頼はどうするの?」
あ、そうだった。仕事には私情を持ち込まない、それがルールだ。しかし…
《”物質創造”を使っては?》
ユニから天啓が降りる。物質創造は、その名の通り、色々なものが創れる。だから、ゴブリンの耳を創るぐらい造作もない。ゴブリンの耳を袋から取り出し、
「はっ!」
突如、何もない空間から、もう一つの耳が出てきた。
「おお…」
「ですよね…」
「もう驚かないわ…」
三者三様の反応が返ってくる。おい双子、どういうことだ。
「でも、どちらも同じ形ですよ」
そりゃそうだ。俺はあくまでコピーしただけだ。うーむ、どうしたものか。
「それなら、ゴブリンの集落に行けば、存分な数のゴブリンがいる。ついてきてくれ」
え、いいの?
「大丈夫だ。みんないいやつだ。襲うやつはいない」
そうなの、なら大丈夫だな。よしじゃあ、Let`s Go!
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