宣戦布告
「大変です!!ろ、六区から、宣戦布告が!!」
あの野郎、やりやがったな。いやまあ、こうなることは容易に予想できたのだが、なんかあいつむかついたからつい七区王にノッてしまった。まあ、俺には関係ない。……関係ないよな?
「な、何ィィィィィィィィィィ!!?」
あいつ、想定してなかったのかよ。まあ、あれだけやればそりゃ国際問題に発展するわな。……あれ、もとはといえば向こうが悪いんじゃ?無理やり婚姻関係を結ばせようとしたのだから、当然の報いだ。
「詳細を教えてくださいな」
七区女王がきく。この人のほうが圧倒的にこの国を収めるのに向いている。
まあ、理由は明確だから省略させてもらうとして、他に特筆するものを挙げていこう。まあ、開戦日ぐらいの情報しかないのだが。開戦日は明日から一ヶ月後で、その間までに準備しなければいけないらしい。しかしネックなのが、”皇帝”がこの戦争を黙認しているということだ。皇帝というのは、一区王でありながら他の王を束ねる王の王的存在だ。本当ならこの戦争は皇帝が取りやめさせるか、七区と合同で皇帝直属の聖騎士団が戦うことになる(この世界を束ねる憲法にも、それがちゃんと記載されている)のだが、今回はそれがないのだ。
「何故そんな事に……」
事情を知らない女王が言う。ま、俺には関係ないだろう。元はと言えば王が元凶で……。
「トヲル殿が、トヲルがあぁぁぁ!」
「おい、嘘つくな、王よ」
喚く王を放っておいて女王に事情を説明する。
「なるほど、そんなことが……」
事情を聞いた女王が王を冷ややかな目で見る。王は「ひぅ……!」と情けない声を上げる。夫が妻に勝てないのは全世界(この場合「世界の全て」ではなく「全ての世界」という意味なのだが)共通なのかもしれない。
「それより、六区にどう対応するのですか?」
アリシアが尋ねる。アリシアが女王に似てよかった。
「あ、謝る……?」
確かに、それは悪い案ではないが……。
「しかし、皇帝がこの戦争を肯定している以上、それだけでは済まない気がします」
「まあ、相手があのヒステリック区だから、それで取り止めるとは思えないわね」
アノードとカソードが言う。子が子なら親も親、ファブニールがあれなら六区王も同じ感じなのだろう。誰だよあんなヒステリー野郎に喧嘩売った奴。俺か。いや、俺は絶対に関係ない。
「戦うにしても、相手はあの宗教国家ですから……」
そう。六区は宗教……「アスタロト教」を信仰する、大国家なのだ。特にその信仰を邪魔された時には他の区の倍以上の兵が動員される事があるという。戦うとなれば、こちらも大きな被害を受けることは間違いない。はあ、めんどくさいことになった……。




