レッツチート!
「ごめん、待った?」
うはあ、こりゃ酷い。死人は出ていないが誰もが怪我している。攻撃を軽くあしらわれて怒るドラゴンを傍目に言う。もう驚かないと言っていた二人もこれには驚いている様だ。いやあ、無断欠席してすいません。まあ、このまま怪我人を放置する訳にもいかないので、俺は名も無き復活魔法で怪我人を回復させた。その場に居合わせた人々は驚きの声をあげる。うーん、そうだ。さっき得たスキルの試し打ちをしよう。俺はスキルを発動させる。すると、見違えるように建物が直っていく。
原理を説明すると、意思無きモノに究極破壊をもたらす"日食"の性質を"反転"させて、意思無きモノに究極の再生を施したのだ。そのため、古びていた建物もたぶん新築の状態に戻っているだろうが、俺が知った事ではない。よし、これで一件落着……じゃなかった。ドラゴン忘れてた。
「ほっ!」
俺はドラゴンの首をディヴイニテイ(めんどくさいので以後右手の剣と呼称する)でスパッと斬る。ドラゴンは絶命し、街へと落ちてくる。あらら、ちょ、エクリプス!そう心の中で小さく叫ぶとドラゴンの死体は消える。ふう、掃討終了。帰って寝るか……、ん?
「助けてくれて、ありがとうございます。」
「いや、良いよ。」
「まあ、寝坊してたけど、ね。」
「う、それはノータッチでお願いいたします。まあ、だれも死ななくて良かったよ。」
本当によかった……ん?どどどどどどッ、と音が聞こえる。ん、なんだ?!
「や、勇者様だ!!」
「あのドラゴンを一刀両断するなんて……」
「ゆうしゃ、かっこいい!!」
「勇者様、万歳!!!」
ふ、ふぇ?な、なんだ、と思うと、いきなり担ぎ上げられ、万歳コールが始まる。貴方達、さっきまで重傷を負ってたはずだよね……?大人しくしておいた方が……、あ、ダメだ聞いてない。俺はその後小一時間絡まれ、やっと帰宅するのだった。って、あの双子先に帰りやがったな!?待てや!
次の日。俺達は宿を探しに昨日の街へ来た。"世界からの脱却"のお陰か、寝不足にはならなかった。どうやら食べる事も必要無い上に、排泄物も出ない。文字通り、身体にしばられなくなったのだ。便利だな。
ちなみに俺達は変装して来ている。アノードとカソードは幻惑魔法だが、俺は顔の形自体を変えている。これも"脱却"効果だ。兎にも角にも、昨日の続きで騒がれても困るし、第一俺達は指名手配の様なものなのだ。というわけで、異世界で宿探しの旅……はしなくて良かった。ユニに頼めば一発だ。ユニ先輩、お願いします!
《先輩ってなんなんですか……。いえ、まあ、はい、検索します。》
すぐに格安、それでいて結構良い宿が見つかる。ってか、ユニ先輩が誰かに似てきたような……。
《昨日の"覚醒"のせいだと……。その時に十中八九、主に似たのだと思われます。》
知ってるわボケ!俺ってこんなこと言うか?・・・言うなあ。
閑話休題。
「というわけで、宿へレッツゴー!」
「ちょっと待ちなさいよ!」
「お金はどうするんですか!?」
「あ、忘れてた。」
というわけで、出稼ぎ!




