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打ち砕かれる希望と過去 SIDE:カソード

 逃げ惑う人々の悲鳴が響く。

 私達と数人の衛兵でドラゴンと戦っていた。しかし衛兵は瀕死で、私達ももう保ちそうにない。もう、駄目なの……?詠唱しながら考える。いや、あの男が来るまで耐えたら、何とかなる……。そんな希望を胸に魔法を発動しようとするが、魔力が足りない。炎弾をドラゴンが放とうとしている。お姉ちゃん……。藁にもすがる思いでアノードを見るが、彼女も魔力切れの様だ。ドラゴンから炎弾が放たれると同時に死期を悟り、走馬灯がはしる。



 私達は幸福な家庭に生まれた。父と母は優しく、失敗しても温かく励ましてくれた。しかし、そんな幸せも街を襲った集団暴走(スタンピード)によって失ってしまった。

 五年前のある日に、それはあった。オークの大群が街を攻め、人々が殺された。街の人々が義勇軍を造った。その中で父と母も戦っていて、私達も得意の雷魔法で迎撃していた。一時は押し返したものの、前衛の一人が殺されたことにより、戦線は崩壊した。死んだ友人を嘆き悲しむ者、あまりの恐怖に発狂しながら逃げ出す者などがどんどん犠牲になっていった。私の両親は最期まで戦っていたが物量で押し込まれた。オークに傷付けられながらも逃げろと言う両親を見て、私達の身体は固まってしまった。間も無くして国の衛兵隊が来て私達は助かったが、両親はそのまま犠牲となった。

 それから心の底から笑えることが少なくなったが、今日は心の底から笑えた。あの男は罪スキルの差別を無くすなどと言っていたが、それが出来てしまいそうで不思議だ。兎も角、あの男に振り回されてばかりだったが楽しかった。そういう意味では今日が最期の日で良かったのかもしれない……。



 意識が現実に戻る。ドラゴンの放つ炎弾が迫る。死という運命を受け入れたその瞬間。夜の帳に薄い膜が現れ、私達を守る。


「ごめん、待った?」

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