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インダス文字(4.四大文明展)

作者: 板堂研究所(Bando Research Corporation)

9月26日、印章(351)の末尾に加筆修正。

7月2日、印章(357)について「読み換え」を追加。天馬が登場します。


(注)「インダス文明展」は、NHK放送75周年事業として、2000年8月~12月、上野の東京都美術館で、2001年1月~3月、名古屋市博物館で開催されました。

(II.  原典の解読)(続き)


 3.NHK「インダス文明展」(2000~2001年)の図録


 印章(333)「儀礼的場面」


 Seal Mohenjo-daro 34で検索可能。A.パルポラ「第2巻:パキスタン」の139頁、M-1186A。(425頁にカラーで)


(1)印章の左上、U字型の木の枝の間には、立ち姿の人物(神)。右手に大きな角の動物がいる。両者の間に膝まずく女性がいるが、良く見ると、頭が角の動物の下げた頭と、二重に、一致する様に描かれている。下方には、髪の長い妖精が7人並ぶ。膝まずく女性の左下に台座があり、人の首がある模様。


(2)フィンランドの研究者A.パルポラは、下方の7人の女性をおうし座のプレアデス星団 (すばる)と捉えている。これを縁とすれば、冬の南の夜空に因み、右側の角の動物は、おうし座だろう。

 すると膝まずく女性は、おうし座の左隣のオリオン座とウサギ座で構成されよう。オリオン座では、α星のペテルギウスが、女性の目。ベルトの3連星が、女性の捧げる形の両腕。β星のリゲルが、女性の腰のくびれ。またウサギ座に関しては、右半分が女性の屈曲した足であり、左半分が台座の首だろう。

 印章の左手の、冠の人物(神)がU字形に囲まれた一角は、主として、ふたご座だろう。ポルックスとカストルが、神の左右の肩。ふたご座の底部で左から右へ連なる、γ星、μ星、η星などが、U字形の右側下方から伸びる枝であり、先端の葉が、膝まずく女性の冠(オリオンの振り上げられた腕)を右方向に押し曲げている。


(注)仏ラスコーの1万7千年前の洞窟画には、牛の背中の上部にプレアデス星団が描かれており、当時からおうし座が認識されていた模様である。紀元前500年~前1000年に遡る古代メソポタミアの「ムル・アピン」粘土板は、当時の天文学を伝えており、おうし座は「天の牡牛」と称されている。またエジプトのプトレマイオス朝(紀元前305年~前30年)のデンデラ遺跡から発見された天体図には、メソポタミア起源の黄道12宮とエジプト固有の星座が掲載され、オリオン座の右上におうし座が描かれている。従ってインダス文明でも、おうし座やプレアデス星団が知られていた可能性が高い。


(3)この場面は「ヨガ行者」の印章(A.パルポラ「Corpus of Indus Seals and Inscriptions」第一巻、M-304A)の神話の続きで、トラが男神を倒し、下剋上を成功させた後の世界だろう。左手の勝者の前で膝まずく敗者。その首が台座の上にあり、牛の頭と取り替えられ「おうし座」に変身する。


(4)読解


(ア)各記号について番号を付し、解説すれば、次のとおり。


 ① 上部中央の記号: MASAMA/ MESAME/ SAMENI

 ② その右隣:MOU+ NI+SI/YA+ ME/MA+ SA


 ③ 牛の背中の上(右から3番目):「魚」記号の中央に短い縦棒。「魚」記号は、TA/SAKANA、あるいは、MA/ME-4(I/YA/SI/NO)。これに中央の縦棒の、I/YA/SI/NO、を加える。

 以上から、TA/ SAKANA/ [MA/ME-4(I/YA/SI/NO)]+(I/YA/SI/NO)。


(記号③の左上から伸びる、波状の角):NAMI。あるいは、③の左上に、三角屋根を構成するので、RI。従って、NAMI /RI。


 ④ 右から2番目:「牛の頭」の記号の頭部が欠落したもの。WA/U。

 ⑤ 右端の記号:「男」の記号の頭部が欠落。O/E/TO。


(イ)左から右へ


 MASAMA/ MESAME/ SAMENI MOU+NI+SI/YA+ ME/MA+ SA+NAMI/ RI  TA/ SAKANA/ [MA/ME-4(I/YA/SI/NO)]+(I/YA/SI/NO)  WA/U O/E/TO


 MASAMA/ MESAME MOU- SA-MA-NI-YA  NAMI TA/NAKASA/ (ME-NOIYASI)+ I WA/U O/E/TO


 魔様が目覚め、牛様に、や。涙。泣かさん。目の癒し。祝おう/祝う絵。


(ウ)右から左へ


 O/E/TO WA/U TA/SAKANA/[MA/ME-4(I/YA/SI/NO)]+(I/YA/SI/NO)+ NAMI/RI

 MOU+ NI+SI/YA+ ME/MA+ SA MASAMA/ MESAME/ SAMENI


 〇 O WA TA NASAKAYA MOU-SAMA-NI-YA  MESAME

 終わった。情けや/さやかな 牛になられて、お目覚めに。


 〇 O WA RI ME -NOIYASI+YA MOU-SAMA-NI-YA  MESAME

 終わり目の癒しや。牛になられて、お目覚めに。


 〇 O U TA-MA-SI-RI+YA MOU-SAMA-NI-YA  MESAME

 お歌混じりで、牛様として目覚める。


 〇 TO U RI-MA-SI-TA-YA MOU-SAMA-NI-YA  SAMENI

 通り、真下や/ました。牛様になられた方のお目覚めに。


 〇TO U TA-SI-RI MOU-SAMA-NI-YA  SAMENI

 討たれて亡くなり、牛様になられた方のお目覚めに。


(エ)以上を纏めれば、


 魔様が目覚め、牛様に、や。涙。泣かさん。目の癒し。祝おう/祝う絵。

 終わった。情けや/さやかな、牛になられて、お目覚めに。

 終わり目の癒しや。牛になられて、お目覚めに。

 お歌混じりで、牛様として目覚める。

 通り、真下や。牛様になられた方のお目覚めに。

 討たれて亡くなり、牛様になられた方のお目覚めに(歌を捧げます)。


「魔様が目覚め、牛様になられたので祝おう。下は、その描写。全てが終わり、討たれて亡くなり、牛になられた方のお目覚めに、真下を通り、歌を捧げます」。歌を捧げるのは、下方に並ぶ7人の妖精だろう。


(5)記号④と⑤の頭部が欠落している理由は、敵が首をはねられた上、牛の頭につけ換えられて「おうし座」になり、勝者の家来になった、との神話の流れを示す為だろう。

 また記号③は、牛の背中に乗っており、そこに7人の妖精がプレアデス星団として乗る事を示唆。同様に牛の頭上の記号は「もう」なので、牛の鳴き声を模していよう。

 更に記号①は「様」に通じるが、印章の中央で膝まずき、勝者に向かって手を合わせる敗者の頭上にあるので、降参した事を示していよう。


(6)インドのカリバンガン遺跡から出土した円筒形の印章(K-65)には、上半身が人間、下半身がトラの姿の女神が描かれているが、同じ神話に由来するものだろう。

 トラから転じた女神は、後にインドで広まったヒンドゥー教の神々の中では、シヴァ神の妻で戦いの女神「ドゥルガー」に繋がる可能性があろう。トラ乃至ライオンに乗って登場する彼女は、数々の功績の中でも魔神マヒシャを倒した神話が有名。手下を全て殺されたマヒシャは、次々と姿を変えて逃げた。水牛から獅子、人間、ゾウへ。そして再び水牛に戻った。マヒシャが更に水牛から人間の姿に半分変わった時、ドゥルガーの最後の一撃がマヒシャを貫いた。

 この印章(333)がドゥルガー神話を伝えるものと考えれば、描かれているのは、マヒシャが水牛から人間の姿に半分変わり、その瞬間にドゥルガーに首を取られた場面だろうが、その割には穏やかな情景であり、インダス文明の神話には異なる展開があったと見られる。

 印章(334)を見ると、左側に神、右上に跪く人物、右下に牛が描かれているが、この印章と同様に、征服者の前で被征服者が牛に変身するシーンであり、同じ神話が題材と見られる。


(出典)「インド神々の事典」(学研。2008年)


(7)登場人物は、一つに纏めた長い髪が特徴であり、これは印章(335)や(337)の図でも同様。この時代のインダス河流域で一般的なヘアスタイルと見られる。印章(375)や(381)でも長髪への言及があり、下記4.のドラヴィーラの看板、また5.の印章も毛髪がテーマであり、強い拘りが感じられる。


 印章(335)


 文字記号は殆んど刻まれていないが、人が牛の頭上を飛び越えていく姿が、コマ送りの漫画風に描かれている。これはクレタ島のミノア文明の壁画から知られる運動競技「牛跳び」と見られ、インダス文明とミノア文明の結びつきを物語る事例として興味深い。



 印章(336)「座る甲冑男」


「Seal, Mohenjo-daro 33」で検索可能。A.パルポラ「第2巻:パキスタン」の138頁、M-1181Abis。(424頁にカラーで)

 モヘンジョ・ダロ出土。中央には、台の上で股を大きく開いて座る人物。兜を被り、肩から胸にかけて鎧を装着。正面と左右を向く、3つの顔を持つ。両腕にはめた無数の腕輪が、逆立つ毛/トゲに見えるが、貝の腕輪か。頭上には、上部が3方向の矢に分かれた飾り。首長格の人物だろう。


(1)音価


 上部の記号に、左から右へ、①から⑤までの番号を付せば、次の通り。


 ①「×」に厚みを持たせた記号: KEN/ MAYOKE/ [(SI/YO)-(TUTU/NITU)-KE]。


 ②2本の縦棒。左側が斜めに傾く:NO/ 2(I/YA/SI/NO)。


 ③「魚」形の記号。内部に縦棒: TA-(I/YA/SI/NO)/ (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)。

  あるいは、SAKANA-(I/YA/SI/NO)。


 ④2本の縦棒。平行、緩やかに曲がる:NI/RA/HASI。


 ⑤右端の記号: U/USENI。


(2)解読


(ア)上記①=KEN


(右から左へ)


 U/USENI  NI/RA/HASI TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 NO/NI  KEN


 〇 U NI TASI NO KEN(ウニタ氏の県/圏)

 〇 NISEU SIHA YAMIYO NI KEN(偽る氏は、闇夜に剣)


(左から右へ)


 KEN  NO/NI  TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 NI/RA/HASI U/USENI


 〇 KEN NI SITA RA U(県/圏に従う)

 〇 KEN NO SITA HASI NIUSE(剣の下は、死に失せん)


 〇 KEN NO MIYOYA RA USENI(剣の御代や、乱、失せに)

 〇 KEN NO SITA MAYOI USENI(剣の下、迷い、失せに)


(イ)頭上の飾りを読み込む


 人物の頭上の飾りが文字列と並ぶので、3方に分かれた矢尻(鏃)と見做し、SAN-ZOKU。下方の2本の「釣り針」をIKARIと読めば、次の通り。


(右から左へ)


 U/USENI  NI/RA/HASI TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 SANZOKU  IKARI NO/NI   KEN


 〇 U NI TASI SANZOKU IKARI NO KEN

(ウニタ氏、三族、錨/光、の県/圏)


 〇 NISEU SIHA YAMIYO SANZOKU IKARI NO KEN

(偽る氏は、闇夜。三族、光の県/圏)


(左から右へ)


 KEN  NO/NI  IKARI ZOKUSAN TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 NI/RA/HASI U/USENI


 〇 KEN NI ZOKUSAN SITA RA U

(県/圏に属さん、従う)


 以上を繋げば、


「ウニタ氏・三族、光の県/圏。これに属さん、従う」。

「剣の下は、死に失せん。剣の御代や、乱、失せに。剣の下、迷い、失せに」。

「偽る氏は、闇夜に剣。三族、光の県/圏」。


 座る人物の両腕 (トゲだらけ)は、ウニタ氏を描いている。頭上の飾りは漢字「光」に酷似する。


(ウ)上記①= MAYOKE


(右から左へ)


 U/USENI  NI/RA/HASI TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 SANZOKU  IKARI NO/NI  MAYOKE


 〇 U NI TASI SANZOKU IKARI NO MAYOKE

(ウニタ氏、三族、光の魔除け)


 〇 NISEU SIHA YAMIYO SANZOKU IKARI NO MAYOKE

(偽る氏は、闇夜。三族、光の魔除け)


(左から右へ)


 MAYOKE  NO/NI IKARI ZOKUSAN TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 NI/RA/HASI U/USENI


 〇 MAYOKE NI IKARI SANZOKU TASI HASI USENI

(魔除けに光。山賊たちは、死に、失せん)


 〇 MAYOKE NO IKARI SANZOKU MAYOI HASI USENI

(魔除けの光。山賊、迷い、走って失せに)


(エ)上記①=(SI/YO)-(TUTU/NITU)-KE


(右から左へ)


 U/USENI  NI/RA/HASI TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO)

 SANZOKU  IKARI  NO/NI  (SI/YO)-(TUTU/NITU) -KE


 〇 U NI TASI NO YO-NITU-KE

(ウニタ氏の世につけ)


(左から右へ)


(SI/YO)-(TUTU/NITU)-KE NO/NI IKARI ZOKUSAN

 TA-(I/YA/SI/NO) (or) (MA/ME/MI)-(SI/YO)-(I/YA/SI/NO) NI/RA/HASI U/USENI


 〇 TUTUKEYO NI IKARI ZOKUSAN MESIYA NI USI

(続けよ、に理解。属さん。飯屋に牛)


(オ)上記①=MAKEYO。


(右から左へ)U RA MESIYA/ SITA NO MAKEYO

(うらめしや。裏、下の、負けよ/漫画よ)


(左から右へ)MAKEYO NO ZOMI SITA RA U

(負けよ。望み、従う)


(カ)上下、逆に


 上記③の記号をSAKANAと読み換え、右端から中央の飾りまで読めば、


 U RA NAKASA ZOMIYA (裏、中さ/ 泣かさんぞ、見や)


 ここからヒントを得て、印章を上下逆にすれば、上部が城壁となり、甲冑男と頭部を共有する、痩せた人物が種を蒔く姿で現れる。足元を木の根としてNEと読み込めば、


(左から右へ)U RA  MESIYA/ SITA NE NO MAKE

(うらめしや。裏切ったら、負け。城壁の裏・下で、種をまけ)


(キ)一部読み換え(右端の記号⑤= TUBO)


(右から左へ、但し、③から⑤まで)


 U/TUBO  HASI SAKANA-(I/YA/SI/NO)

 ウツボ氏は、魚や。


 この文脈から、登場人物の「トゲだらけ」の両腕は、ウツボの骨と判明する。


(3)総合


 以上を繋げて解釈すれば、


「ウニタ氏・三族、光の県/圏。これに属さん、従う」。

「剣の下は、死に失せん。剣の御代や、乱、失せに。剣の下、迷い、失せに」。

「偽る氏は、闇夜に剣。この魔除けに光。山賊たちは、迷い、走って失せに。ウニタ氏の世につけ。続けよ、に理解。属さん。飯屋に牛」。

「裏切ったら、負けよ。うらめしや。望んで従う。城壁の裏、下で種を蒔け」。


 ここに登場する「県/圏」は、モヘンジョ・ダロを中心とする、日本語を話す三部族で構成された共同体と見られ、中央の人物で擬人化されている。三つの顔が、三部族を表すのだろう。両腕は、ウツボの骨を表現する。


(4)領域の地図


 左端のX型の記号の下地が、概ね台形に荒く削り取られているが、形が恣意的なので「県/圏」の領域を示すのだろう。インダス文明圏の地図と照合すれば、印章の左端を規定する縦線が、インダス文明圏の西側を縦に走る、キルタール山脈と考えられる。すると次の通り符合する。


(ア)X型の記号の、上部のVの字:インダス河の上流域で流れ込む、概ね3本の源流の成す、三角形。


(イ)X型の中心点から、左下に走る斜線: インダス河。途中に、モヘンジョ・ダロ。


(ウ)X型の左下突端の先で、平板な部分との境界線:インダス川の注ぐ海岸線。S形に湾曲しており、下に突き出た部分は、カーティヤーワール半島/サウラーシュトラ。 


(エ)X型の右上突端の周辺:カシミール地方。


(オ)上記②の記号、NO/NIに関し、左側の斜め線:ヤムナー川。右側の縦線:ガンジス川。


(カ)NO/NIの記号の下の突端から、左方向へ走る線:ナルマダ川。


(注)「ヨガ行者」を分解すると、頭部が「甲」、胴が「乙」、台座が「丙」、頭上の飾りが「丁」、しかも甲骨文や金文の漢字に良く似ているので興味深いが、中国でこの印章が発見された訳でもないので、全くの偶然かも知れない。しかし「戊」を刺殺する、「己」をひっくり返す、覆すと解し、10干の残りの庚、辛、壬、癸の古い漢字を逆さに見ていくと、庚は逆さまに描かれた王や首長、辛は逆さまにされた人、壬は逆さまな天地、癸はCross Potentの様な十字で、一回転を表すものとも理解可能である。



[以下、印章(339)~(342)には角のある4つ足動物が登場するが、何れも胴体から3つの頭が異なる方向に伸びている。これらを解釈する上で、「北のタコ回覧」の印章が大変参考になった]



 印章(343)「糊漆」


 パルポラ(第2巻:パキスタン)からM-1168A。左向くトラが登場する。縞模様が殊更に綺麗に描かれている。トラは、牛の角を2本頭に付けている模様。


(ア)音価


 トラの背中の上部に、2つの記号(左・右)があり、左端の角2本が、この文字列に加わっている。角2本、更にトラの耳も読み込む事とすれば、音価は、次の通り。


(角):2本まとめれば、WA。あるいは2×(I/YA/SI/NO)。右側1本だけ読み込めば、I/YA/SI/NO。


(耳):適宜、MI/ME、とする。


(左):RYU。

(右):U/USI/SENI。


(イ)解読


(左から右へ)


 WA/(2)(I/YA/SI/NO) RYU U/USI/SENI


 〇 WA RYU USI 「悪牛」

 〇 NISE RYU WA 「似せるわ」

 〇 SIWA ME RYU(耳をMEとし、そこから出てRYUを読むので、「シワ、愛でる」

 〇 WA RYU ME U/SENI 耳を3番目に読めば「割れ目、失せに」。


(右から左へ)


 U/USI/SENI  RYU  WA/(2)(I/YA/SI/NO)


 〇 U RYU WASI 「うるわし」

 〇 U RYU SINO 「漆の」


(a)牛になりすましたトラ


「悪牛、麗わし。似せるわ」。頭に角をつけ、牛になりすましたつもりのトラを揶揄している。


(b)漆の修復


「漆のシワ、愛でる。割れ目、失せに」。

 印章の左側で、トラの角から頭や首にかけて、ヒビが入っているが、意図的に割った後、接着剤等で再び付けた痕と見られる。そこは黒く変色しており、漆にデンプンを混ぜた接着剤「糊漆」の使用が想定される。

 この印章では、トラの縞模様を利用して、漆を採取する際、漆の木に狭い間隔で、平行につける傷を表したのだろう。漆を扱う業者の印章。


(ウ)読み換え


 右の記号が、細長い壺を象っているので、TUBO。また左端の角2本が、やはり壺の形をしているので、TUBOと読み換える。更に、RYUと読んだ、左の記号の「屋根」の右側上部の斜線が、2重に刻まれているので、RYU-(I/YA/SI/NO)、とする。


(左から右へ)


 〇 WA RYU-(I/YA/SI/NO) TUBO (悪い壺)

 〇 SI ME RYU-(I/YA/SI/NO) SENI (閉める屋、せに)


(右から左へ)


 〇 U RYU-(I/YA/SI/NO) TUBO (古い壺)


 合わせれば、「古い壺、悪い壺の修理屋です」。



[ 印章の(339)~(342)は、3つ頭の4つ足獣が登場する、北の空の天体シリーズなので「インダス文字(2.ヨガ行者、北のタコ等)」の中に入れた ]



(344) A.パルポラ「第1巻:インド」では344頁のB-1A。


 年配と見られる一角獣が右を向いている。角をSI/I/YAと読み込む。


(ア)単純な読み方


(右から左へ)SI TO UTA NI SU MUSA/SAMU KAKA

   詩と歌に住むさ、母/ 嫉妬を歌に、荒む母。


(左から右へ)KAKA SAMA SU RA TA U TOI

   母様、それは尊い。


 繋げば「詩と歌に生きるさ、母」。「お母様、それは尊い」。嫉妬を歌に、荒む母。


(イ)精密な読み方


 左端の記号KAをMEKA/KAMI。SUの記号は、二本の縞に鑑みSUNI、あるいは矢尻(鏃)の形からZOKU。TAの記号をMEYOSI。またUの記号が細いので、USENIと読み換える。


(左から右へ)KAKA-MIMI SAMA SUNI RA TA-MEYOSI USENI OTOKO

   母が耳を澄まし、睨んだのは、見ための良い、失せに/背に/偽 男。


 以上を繋げば「詩と歌に生きるさ、母。お母様、それは尊い。嫉妬を歌に、荒む母。母が耳を澄まし、睨む背後には、見た目の良い、偽の蒸発男」。

 印影の写真B1-aを見ると、一角獣の尻の部分に、別の動物の顔が彫ってあり、目がにやけている。更にB1-aを右に90度倒すと、一角獣の角と耳で、左向く別の動物の顔の、鼻筋と口を表す顔が登場するが、尻に彫られた動物の顔に酷似する。おそらく母を騙した蒸発男であり、未だに母の頭に浮かぶのだろう。



(345)一角獣が左向く、四角い印章。


(ア)音価


 上部の文字記号に、左から右へ、①から③まで番号を付せば、次の通り。


 ①縦棒2本:RA/NI/HASI。

 ②月/突きの記号:TU/TUKI。


 ③天秤を担ぐ男の記号:RYOの、向かって右側の肩に、短い斜線が入っているので、RYO/(RYO-I/YA/SI/NO)。


 牛の耳:MI/ME/MA。

 牛の長い角:SI/YA/TUNO。


(イ)解読

 然るに、ローマ字転換すると、次の通り。


 RYO/(RYO-I/YA/SI/NO)  TU/TUKI  RA/NI/HASI  MI/ME/MA  SI/YA/TUNO


(右から左へ)


 YA MI/MA NI TUKI RYO(山に月、宵/ 酔い)


(左から右へ)


 〇 RYOI TUKI NI ME YA(良い月、に目や)

 〇 RYO  TU  HASI/NI ME YA (四つ足、逃げや)  


 繋げれば「山に月の宵/ 酔い。良い月に、目や。四つ足、逃げや」。

「四つ足、逃げや」は、印章(382)「山澄に山茱萸、おうし座逃げます夜」から、春を示す、季語のフレーズだろう。山茱萸は、3-4月上旬が花期であり、春になると、おうし座が、西の地平線に消えていく現象と呼応する。

 印章を上下逆さにすると、一角獣の頭の下の飾り台が、山裾で輝く月に、また文字列の記号が、月見で集まった人々に変貌する。



(346)左向く一角獣の角をSI/NO/YA、耳をME/MIとする。真ん中の(上5本+下4本で)9本の縦棒をGOSI/KU/YAKUと読み換える。すると次の通り。


(左から右へ)SI-NI-ME GOSI RYOU  (死に目に御思量)

(折り返して左へ)YAKU/KUYA ME/MI NO (役目、悔やみの)

(折り返して右へ)KU RYOU (供養)


 繋げれば「死に目に御思量。役目は、悔やみの供養」。一角獣は上を向き、涙をこらえる表情である。印章を上下逆さにすると、左端の祈祷師を前に、9人の参列する葬儀の場面が、漫画として現れる。祈祷師あるいは葬儀屋の印章。



(347) 左向く一角獣の印章。上部、中央に大きな「目」の記号がある。


(ア) 単純な読み方


 一角獣の背中の上部の2つの記号を、的を狙う男性/人の漫画と捉える。右端の「男」記号は、OTO/ITO。

 右⇒左⇒右⇒左と読み、最後に一角獣の角をSIと読み加えれば、OTO ME ITO ME SI(乙女、射止めし)。

 次に「男」の記号の、両足の間の短い縦棒に着目し、OTO-SIと読めば、右からOTO-SI ME SI(お年召し)。折り返してME OTO(夫婦)

 合わせて解釈すれば「乙女、射止めし。(今では)お年召した、夫婦」。一角獣は嬉しそうな表情だが、中年の風情がある。


(イ)精密な読み方


(a)「男」の記号をTOSI/OTOSI。「目」の記号は、大小が重なると見做し、MANI/MAME。一角獣の角をYAとする。


(右から左へ)TOSI MANI YA(年の間/魔に や/矢)

(左から右へ)MAME OTOSI(豆落とし)


 テーマは節分。昔なら立春(新年)の直前に行われた、厄払いの豆まきだろう。


(b)「男」の記号をTOSI/OTOKO(年男)とし、「目」の記号を二重のWOと捉える。


(右から左へ)TOSIOTOKO ONI YA(年男、鬼や)

(左⇒右⇒右)ONI OTOSI MAME YA(鬼 落としの 豆や)


 年男なら、12支が前提だろう。2重の「目」記号は、鏡餅の漫画か。順番を入れ替えて(イ)、(ア)と読めば、


「年の間で、魔に矢の様な、豆落とし。年男、鬼だ!鬼落としの豆!(こうやって)乙女を射止め(今では)お年召した、夫婦」。一角獣が口を開いているのは、蒔かれる豆を待つ為。豆屋の印章か。



(348)左向く一角獣の印章。左下の隅が欠けている。


 上段の文字列で、中央左寄りの「二重熊手」記号は、指が上段に5本、下段に(3+2)本。これらをGO、SAN-NIと読み、熊手のTEと把手 SI/YAをつけ加える。一角獣の角は、SI/YA。下段の右側は、RAKUを逆さにして、カモメの形に整えた記号なので、KAMOMEを読み加える。左から右へ読めば、次のとおり。


 上段:SI/YA ME-MASU NI/RA (ME/MI)-SE SAN-GO-NI-TE-SI/YA TA RU U


 下段:NO RAKU-KAMOME


(左から右へ)上段から下段へ、次の通り。

「締めます。娘ら、召せ(来たれ)。産後にて浸る音楽。楽かもね」。


(右から左へ)下段から上段へ、次の通り。

「暗めかも。倉のウルタしに、産後で店に、娘や」。


 繋げて解釈すれば「暗めかも。倉のウルタしに、産後、お店にどうぞ、娘たち。身体を締めます。娘ら、来たれ。産後に浸る音楽で、楽かもね」。

「ウルタ」は、ヒンズー教世界の「ヌルタ」に相当する踊りだろう。痩身効果が売りで、一角獣も痩せている様に見える。印章の左下の隅の破損は「かたくずれ」(型崩れ)あるいは「みかけ」(磨け)と読めば、文脈と整合する。踊りの師匠の印章。



(349)左向く一角獣の四角い印章。上部に記号が3つ並び、一角獣の角が、左端で同列に並ぶ。


(ア)音価


 各記号の音価、次の通り。


(一角獣の角)I/YA/SI/NO/TUNO。


(左側)NA/YAMAに横線4本で(NA/YAMA) -(YO/SI)。また細い目の形により、適宜、ME/MA/MIを加えて(NA/YAMA) -(YO/SI)+ (ME/MA/MI)。


(三角帽子の記号)「山」の上に縦棒で、YAMA-(I/YA/SI/NO)。3連なので、(SA/MI)- YAMA-(I/YA/SI/NO)。他方、3連の「山」に壺の様な記号WAが2つとすれば、(SA/MI)- YAMA- NIWA。 従って、    (SA/MI)- YAMA- (I/YA/SI/NO/ NIWA)。


(右側)KI/KO。


(イ)解読


(左から右へ)


 I/YA/SI/NO/TUNO (NA/YAMA) -(YO/SI)+ (ME/MA/MI) (SA/MI)- YAMA- (I/YA/SI/NO/ NIWA)  KI/KO


 〇 いつも 悩ましいさ、庭山の木。

 〇 品、見よ。庭山、三呼。


(右から左へ)


 KI/KO (SA/MI)- YAMA- (I/YA/SI/NO/ NIWA) (NA/YAMA) -(YO/SI)+ (ME/MA/MI)  I/YA/SI/NO/TUNO


 〇 小庭見や、学びしや/ 山良し、見や。

 〇 木/ 小山には、三品、見や/ みな、良い。


(ウ)まとめ


 繋げて解釈すれば、


「いつも 悩ましいさ、庭山の木」。「木/ 小山には、三品、見や。皆、良い」。

「小庭見や、学びしや。山良し、見や。品、見よ。庭山に、三呼」。


 これは庭木を扱う職人の印章で、3連の記号は、3種類の立木を表すのだろう。一角獣の表情が、これみよがしである。

 3連の記号が、上下逆さの木に見えるので、印章を逆さにすれば、3連の記号が木立となり、木の記号が、これを眺める人物を表す漫画が登場する。



(350)左向く一角獣は、顔のシワが目立つので、年配と見られる。


 右端の(両足に枷の男)記号はOTOKO+MENI/KASE。印鑑の様な記号NAは、横縞が2本あるのでNA/NARA。その左隣、「門」の底部を繋げた形の記号はSE+U+SI、あるいは左側 IZO+右側 SESI+U。一角獣の角をYAと読み込む。


(右⇒左)


 枷の男と、印鑑の記号の間の短い縦棒をI/YA/SIと読み分けながら、次の通り。


 OTOMENI I NA SEUSI BA YA  乙女に(見える)いなせな牛の婆や

 OTOMENI YA NA SEUSI BA YA  乙女に嫌な、失せし歯や

 OTOMENI SI NA USESI BA YA  乙女に、品、失せし婆や/死なせる牛の婆や


(左⇒右)


(ア)YA BA IZO-USESI NARA SI OTOKO-NIME 

 ヤバいぞ、失せしなら、男、死に目


 YA BA IZO-USESI NARA I OTOKO-KASE 

 ヤバいぞ、失せしなら、男逝かせ


(イ) YA BA IZO-USESI NARA YA KASE-OTOKO 

 ヤバいぞ、失せしなら、妬かせ男


 繋げて解釈すれば「乙女に(見える)いなせな牛の婆や、乙女に嫌な、失せし歯や。ヤバいぞ、失ったなら、男は死に目。逝かせた、妬かせ男。乙女は、品失せし婆や。良い男貸せ」。この印章を90度右に倒すと、右側に、歯を失った女性の顔が漫画で表れる。泣き叫ぶ表情か。



(351) 「サラスワティ河」


「Significance of the single horned bull in Indus seals」で検索し、上から2番目に登場する印章。A.パルポラ(第2巻:パキスタン)の14頁、M-631A。モヘンジョ・ダロ出土の印章で、一角獣が左を向く。


(ア)音価


 上部に並ぶ記号に、左から右へ、①~⑧までの番号を付せば、次の通り。


 ① RAKU-(斜線2本)NI/RA。


 ② SUの突出部分に、短い縦棒が2本で(SU/ZO)-(NI/RA/II)。

 または、(SU/ZO)- 2×(I/YA/SI/NO) 。


 ③ 長い縦棒2本:NI/RA/HASI。


 ④ TA。読み換えとして、(目+4矢)の意味で、YOMEYA。


 ⑤ WA。


 ⑥ MITI。


 ⑦ 長い縦棒3本とする場合:3×(I/YA/SI/NO)。更に、(MI/SA)-(I/YA/SI/NO)。または、DI。

  真ん中の縦棒をSUと読む場合:(I/YA/SI/NO)-SU-(I/YA/SI/NO)。


 ⑧ KI/KO。


(一角獣の角)右から左へ読む場合、I/YA/SI/NO/TUNO、と読み込む。


(イ)解読


 ⑦= 3(I/YA/SI/NO)


(右から左へ)

 KI/KO 3(I/YA/SI/NO)  TIMI WA TA RA/HASI SUNI/ISUNI RAKUNI SI/YA/TUNO


 〇 恋しや君 渡らすに、楽にしや。

 〇 恋しや君。私は、椅子に、楽にするの。


(左から右へ)


 RAKU-(NI/RA) (ZO/SU)-2(I/YA/SI/NO) RA/HASI TA WA TIMI

 3(I/YA/SI/NO) KI/KO


 〇 楽に癒す、スラタワチ河、見や。良い子!

 〇 憎らしいぞ、明日は、君の真意や、聞こう。


 以上を繋げれば、「恋しや君、渡るのに、楽にしな」。「私は、椅子に、楽にするの」。「楽に癒す、サラスワティ河を見ろ、良い子だ!」。「憎らしいぞ、明日は、君の真意や、聞こう」。


 モヘンジョ・ダロを出発し、サラスワティ河を渡る船の話である。乗り合う子供たちやカップルが、目に浮かぶ。


 ⑦= (MI/SA)-(I/YA/SI/NO)


(右から左へ)


 KI/KO (MI/SA)-(I/YA/SI/NO)  TIMI  WA TA RA/HASI SUNI/ISUNI RAKU-NI/RA SI/YA/TUNO


 〇 この道、見渡らすに、楽にしや。

 〇 この道、君、あたらしい(素晴らしい)わ、椅子に楽にしや。


(左から右へ)


 RAKU-(NI/RA)  (ZO/SU)-[II / 2(I/YA/SI/NO)] RA/HASI TA WA TIMI (MI/SA)-(I/YA/SI/NO) KI/KO


 〇 楽だ、良いぞ。スラタワチ河、立ち見、三呼!

 〇 憎らしいぞ。明日は、、さし(で)、聞こう。 


 ⑦= DI


(右から左へ)


 KO  DI  TIMI  WA  TA  RA/HASI  SUNI/ISUNI  RAKUNI  SI/YA/TUNO


 〇 コ(と)ディチ、見渡らすに、楽にしや。

 〇 コ(と)ディチ見、私は、椅子に、楽にするの。


 コート・ディジーは、古都。スラタワチは、後にヒンズー教のサラスワティ女神(日本では弁財天)に神格化された、リグ・ヴェーダに登場する、伝説的なサラスワティ河だろう。モヘンジョ・ダロから、サラスワティ河を渡るとコート・ディジーに至る構図である。


 ⑦=SUNI/YASUI/ (SU-II)


(右から左へ)


 KI YASUI MITI WA TA RA/HASI SUNI/ISUNI RAKUNI  SI/YA/TUNO


 〇 来やすい道、渡らすに、楽にしや。

 〇 来やすい道。渡し/ 私は、椅子に。楽にしや。


(左から右へ)


 RAKUNI  (SU/ZO)- 2(I/YA/SI/NO)  RA/HASI  TA  WA  TIMI  SU-II  KO/KI


 〇 楽に癒す、スラタワチ河を見る、良い子。

 〇 憎らしいぞ。明日は、君に「好き」。


 ⑦=I-SU-NO


(右から左へ)


 KO ISUNO MITI/TIMI WA YOMEYA NI SU/ ZO  NIKURA SI/YA

 恋する道。小椅子の君は、嫁にするぞ、憎らしや。


(ウ)まとめ


 以上を繋げれば、次の通り。


「コ(と)ディチ、来やすい道で観光、楽にしや」。「私は、椅子に、楽にするの」。

「楽に癒す、サラスワティ河を見ろ/る、良い子だ!」。

「楽だ、良いぞ。スラタワチ河、立ち見、三呼!」。


「この道、恋しい君、素晴らしいわ。椅子に楽にしな」。

「恋する道。小椅子の君は、嫁にするぞ、憎らしや」。

「明日は、君の真意や、さし(で)聞こう。君に、好き、と」。


 左端の記号RAKUが、立ち見で、はしゃぐ子供を表し、一角獣の角が、船の舳先を表していよう。サラスワティ河を渡る、乗り合い舟の印章。記号⑦で、中央の縦棒の、真ん中の突起(左向き)が「小椅子の/ 恋する君」を表すのだろう。


(エ)読み換え


 ④「魚」の記号(TA等と読んだもの)を、SAKANA、と読み換える。


 ⑦ 長い縦棒3本「III」と見做し、漢字「川」の発想から、KAWAと読み換える。


 ⑧ (KI/KO)⇒ 上部の三角形をYAMA、下部の縦棒を、(I/YA/SI/NO)と読み換えれば、YAMA-(I/YA/SI/NO)。


(右から左へ)


 YAMA-(I/YA/SI/NO) KAWA  TIMI WA TA/ SAKANA RA/HASI SUNI/ISUNI RAKUNI SI/YA/TUNO


 〇 山や川。君と道が重なったらしいわ。ついに、憎らしや。


(左から右へ)


 RAKU-(NI/RA) (ZO/SU)-2(I/YA/SI/NO) RA/HASI TA/ SAKANA WA TIMI KAWA  YAMA-(I/YA/SI/NO)


 〇 楽に癒す、スラタワチ。立ち若いや、まあ。

 〇 「憎らしい、ぞ/素足だ、盛ん(元気)だわ。君、可愛や」。「まあ」。


(オ)読み換え(その2)


 記号⑧ KI/KOに関し、仮に、右端が意図的に削り取られているとすれば、KI/KO-KESI(消し)と読めよう。すると、次の通り。


(左から右へ)


RAKUNI II-SU RA TA WA TIMI YAII KESI-KI

楽に、良い椅子。スラタワチ河見や、良い景色。



(以下は一角獣以外の印章)


(352)A.パルポラ(第2巻:パキスタン)の表紙の、M-1103A。417頁にカラー写真。


「Sindhishaan, Indus seals」のサイト、5頁で「Bull Seal Harappa」の見出しの下、右側の印章。コブ牛が、涙を流す姿で登場する。


(ア)音価


 上部の記号に、左から右へ、①から⑥までの番号を付せば、次の通り。但し、単純化のため、縞模様は、取敢えず数えない。


 ①左端の記号:TOHA(10歯)/HATENI(歯、手=5×2)。

 ②MITI。

 ③U-(RE/TI)。

 ④NA。

 ⑤KA。あるいは「〇」(EN)+「十」(RO)+ (I/YA/SI/NO)。

 ⑥I/YA/SI/NO。


(イ)単純な解読 


(右から左へ)


 〇 I/YA/SI/NO KA  NA  U-(RE/TI)  MITI  TOHA/ HATENI

 因果なれる/ いや悲しい、道/ 君、とは/ 果てに、


 〇 I/YA/SI/NO  EN-RO- (I/YA/SI/NO)   NA  U-(RE/TI)   MITI   TOHA/ HATENI

 いや、遠路の、慣れし/名、売れし、君/ 道 とは/果てに


(左から右へ)


 〇 TOHA/ HATENI TIMI U-(RE/TI) NA KA I/YA/SI/NO

 永遠、君/ 道、憂い、無かし/ 泣かし。


 〇 TOHA/ HATENI TIMI U-(RE/TI) NA EN-RO- (I/YA/SI/NO) I/YA/SI/NO

 果てに、君。嬉しいな、遠路しや。


 繋げて解釈すれば


「いや悲しい、遠路に名の売れし君、果てに。永遠に君を憂い、泣かし」。


「因果なれる道の果てに、君(に会える)。嬉しいな、遠路しや」。


(ウ)精密な読み方:左から2番目の記号⇒ MITI+横棒3本(SA)


 左から3番目の記号を、U-MITEと読み換える。更に、右から3番目の記号(NA+横縞6本)につき、次の通り、読み方を選択する。


 〇横縞(1+5)本で、NA+(I-TE)。


(右から左へ)I KA NAITE URE/ UMITE  MITISA  TOHA/HATENI

 行かないで、産みて 幸を見 果てに


(左から右へ)


 牛の右側の角を「し」。右端から2番目の記号につき、6つの扇形/三角形と捉えて、KA/SAMUと読み換えれば、


 SI NITEHA SAMITI URE/ UMITE  NAITE SAMUKA YA

 死にては、寂しい。憂い泣いて 寒いかや。


 繋げて解釈すれば「行かないで、産んで幸を見、その果てに、死んでは、寂しい。憂い泣いて、寒いかや」。


 〇横縞6本でNA+ RO/MU。


(右から左へ)I KA NA-(RO/MU) URE/ UMITE MITISA TOHA

 如何なろう、熟れた道、悟りは?


(左から右へ)SI TOHA MITISA URE/ UMITE NAMU/NARO KA YA

       死とは道さ。産みて、無念/ 恨むな、かや。


 繋げて解釈すれば「如何なろう、熟達した道の悟りは?」。「死とは道さ。産んで無念。恨むな、かや」。


(エ)変化球(死闘):左から2番目の記号⇒ METI+ 横棒3本(MI/MA)


 更に、右から3番目の記号につき、読み方を選択する。


 〇 NAの横縞を6本/(3+3)本としてNAMU/MIMINAと読む場合。


(右から左へ) I KA NAMU URE/ UMITE  METI-(MI/MA) TOHA

 如何なむ、熟れ/膿で 惨めとは?


(左から右へ)SI TOHA METI-(MI/MA) URE/ UMITE  MIMINA KA SI

 死闘は 惨め/ 血マメ 熟れ/生みて 耳なくし。


 繋げて解釈すれば「何故、膿で腫れぼったく、惨めな姿なのか? 死闘は惨め。腫れた血マメができて、耳を失った」。


 〇NAの横縞を(2+4)本としてNANIYOと読む場合。


(右から左へ)I KA YONINA REU/ UMITE  METI-(MI/MA) HATENI

 いかようになれる、真面目にては


(左から右へ)SI TOHA METI-(MI/MA) URE/ UMITE  NANIYO KA SI

 死闘は、惨め 生みて、何処が良いのか?


 繋げれば「いかようにも、なれる、真面目なら。死闘は、惨めさを生み、何処が良いのか?」


(オ)変化球(天国): NAの横縞(3×2)本で、NAMIRAとする。


(左から右へ)TENIHA METI-(MI/MA) URE/ UMITE  MIRANA  KA  SI

 天には、真面目。恨みなら、なかし/裏見れば、泣かし。


(右から左へ)I KA NARAMI REU/ UMITE  METI-(MI/MA)  HATENI

 いかん、これなら見られる。惨め/真面目 の果てに!


 繋げれば「天国には、真面目な奴が行く。恨みも無くなる/裏見れば、泣ける」。「いかん、これなら見られる。惨め/真面目の果てに!」。

「裏見れば」に従い、印章を上下逆さにすれば、動物の頭が、ゾウに変身する。(胸の「血マメ」と牛の目が、ゾウの左右の目に。牛のコブが、ゾウの鼻に)そしてゾウの鼻に支えられる様に、人の姿が現れる。ゾウの頭には、長く、豊かな毛の飾りつけ。


(カ)まとめ


 以上から、次の3通りの解釈が可能となる。


 〇 先立たれた人生:上記 (イ)及び(ウ)


「いや悲しい、遠路に名の売れし君、果てに。永遠に君を憂い、泣かし」。

「因果なれる道の果てに、君(に会える)。嬉しいな、遠路しや」。

「行かないで、産んで幸を見、その果てに、死んでは、寂しい。憂い泣いて、寒いかや」。

「如何なろう、熟達した道の悟りは?」。「死とは道さ。産んで無念。恨むな、かや」。


 牛のコブの下、胸の辺りに傷が付けられている。また左側の角が、上4分の一を残して消えており、配偶者/子供の喪失を示唆。人生の4分の3を経て、残すところ4分の一、との意味か。また印章を倒し、牛の頭を上にして見れば、牛の鼻と目が、骸骨の目の様に見えるので「死は目と鼻の先に」との意味があろう。


 〇 死闘の果て:上記 (エ)


「何故、膿で腫れぼったく、惨めな姿なのか? 死闘は惨め。腫れた血マメができて、耳を失った」。

「いかようにも、なれる、真面目なら。死闘は、惨めさを生み、何処が良いのか?」


 印章の牛は、目が腫れ、首の付け根辺りに、血マメがあり、耳がない。反戦の呼びかけとも解釈可能。


 〇 天国へ:上記 (オ)


「天国には、真面目な奴が行く。恨みも無くなる/裏見れば、泣ける」。「いかん、これなら見られる。惨め/真面目の果てに!」


 記述の通り、印章を逆さにすれば、動物の頭が、ゾウに変身。ゾウの鼻に乗る形で、体格の良い人物の立ち姿が表れる。今までの暗い話とかけ離れた、明るい世界であり、天国と見られる。


 これらのスレッドを繋げば、亡くなったのは、有名な武闘家であり、この文脈から「暴力は、人を傷つけ、運が悪ければ、死に至る。その場合、親には、一生の寂しさと悲しみ。従って真面目に生きよ、天国に行ける」と要約でき、暴力反対のメッセージと見られる。



(353)「タコ飯」


 A.パルポラ(第1巻:インド)から、K-32A。コブ牛が左を向く印章。2本の角が根元で繋がり、目が殊更に大きい。


(ア)音価


 上部の文字列に並ぶ、左端の牛の角、また2つの文字記号に関し、次の通り。


(牛の角):右側1本でSI、2本でWAと読み込む。


(中央の「魚」記号):TA。あるいは「目」に4本の支線と見て、ME-(YO/SI)-(I/YA/SI/NO)。


(右側の「木」の記号):KI/KO。


 従って、文字列をローマ字に直せば、


 SI/WA  TA/ [ME-(YO/SI)-(I/YA/SI/NO)]  KI/KO 


(イ)解読


 〇 タコの登場


(右端から左へ) KI TA WA

(折り返して右へ)TA KO。


 繋げれば「来たわ、タコ」で「北のタコ」のパロディーか。


 〇 タコ飯


(右端⇒左端)KO IMESI/ YOIME WA/ SIWA

  (折り返して右端へ) TA KO。

(折り返して中央へ)MESIYA


 繋げれば「来い/ 今宵、飯はタコ飯や」。


 この文脈から、牛の角2本が、蛸壺の漫画と判明する。然るに印章を右に倒すと、右側に海中の絵巻物が登場する。牛の角が蛸壺となり、すぐ左に、タコ。蛸壺の下で、魚やイカが泳ぐ。印影の写真K-32aを見れば、一層、明確である。


 〇 タコの嫁


 印章を元に戻し、中央の記号を起点として、先ず右へ、折り返して左へ、再び折り返して、右へ、また中央へと読めば、次の通り。


 YOIME/TA KI TA SI TA KO YOMEYA

 良い目/酔い目だ。抱きたし、タコ(の)嫁や。


 これなら、コブ牛/ タコの魅力的な、大きな目と符合する。


 〇 蛸壺


 コブ牛の2本の角を蛸壺と理解し、TAKOTUBO/ WAと読めば、


(左端から右端へ)TAKOTUBO/ WA MESI/TA  KI


「蛸壺は、飯炊き」となり、蛸壺が、炊飯器に早変わりするらしい。以上から猟師、あるいは海鮮居酒屋の印章だろう。


(ウ)「木」の読み換え


「木」の記号を上下に分け、YAMA-(I/YA/SI/NO)と読み換えて、ローマ字転換すれば、


 SI/WA  TA/ [ME-(YO/SI)-(I/YA/SI/NO)]  [YAMA-(I/YA/SI/NO)]/ KI/ KO


(左端⇒右端)WA TA/ SIMENO YAMASI (私の島や/ 私、目の山師)。


(右端⇒中央)(YAMA-NO)/KO MESIYA (小山の飯屋)


「私の島や/ 私、目の山師。小山の飯屋」となり、店の宣伝である。


(エ)「魚」記号の読み換え


 中央の「魚」記号を、SAKANA、と読み換える。


 SI/WA  SAKANA/ TA  [YAMA-(I/YA/SI/NO)]/ KI/ KO


(右端⇒左端⇒右端)KO/ (YAMA-NO) SAKANA WA TA KO

 今夜の魚は、タコ/ 山の魚は、タコ。


「山の魚は、タコ」とは、顔の赤い酔客を揶揄した言葉だろう。



(355) 左向く牛が、飼い葉桶を見つめている。左端の記号を、ME+(MASU)4つと捉え、次の通り読み換える。


(ア)MASU-ME-YO


(右から左へ)U SO GO MEYOSUMA

(左から右へ)SUMAYOME GO IU


 繋げて解釈すれば「嘘、ゴメンよ、すまん、と妻・嫁御に言う」。牛は頭を垂れ、反省している。


(イ)MASU-ME-SI


 5本の縦棒を(3+2)本と分けて読む。


(右から左へ)U SI SAN-NI MASUMESI

  (左から右へ) SIMEMASU NI-SAN IU /SIU


 繋げて解釈すれば「牛さんに不味い飯。締めます、と兄さんが言う/締めますに、山茱萸/サンショウ(山椒)入り」。

 牛が、しかめ面だが、最後の食事か。「山茱萸」とすれば、印章(382)「山澄に山茱萸、おうし座逃げます夜」のパロディー。山茱萸は、3-4月上旬が花期なので春の季語であり、春になると(同じ場所、時間で観測すれば)、(冬場の南の空の)おうし座が、西の地平線に消えていくので、整合的である。因みに山椒の場合、花期は晩春(4-5月)。

 なお「ますめし」(升飯)なら、弁当の意味があろう。 


 印章の表側には「卍」が刻まれているが、インダス文明の印章によく登場する記号である。「卍」は、天空の旋回を表し、4枚のハネの交点に北極星が求められよう。4枚のハネは、北斗七星の四季折々の姿であり、同一地点で北の空を観察した場合、合わせて1年の経過を表す。従って、時間経過/ 季節による思考や運命の変化を表すのだろう。



(356) パルポラ「第2巻: パキスタン」の129頁、M-1148Abis。「Sindhishaan, Indus seals」のサイト、9頁目に「Mohenjodaro Seal」の見出しの下、左側に登場する、ゾウ(左向き)の印章。ゾウの表情が沈んでいる。


(ア)試し読み


 左端の記号を単純化し、ME、と読めば、次の通り。


(左から右へ)ME NI TA KO (めにたこ)

(右から左へ)KI TA RA ME (きたらめ)


 合わせれば「目にタコ、来たらん」となり、ゾウの目のシワが強調されているので、これで大意が掴め、眼医者の印章と推測できる。


(イ)音価


 次に、各記号に、左から右へ、①から④まで番号を付せば、次の通り。


 ①左端の記号: MIME/ MASUME。あるいはME-YA。

 ②縦線2本:NI/RA、あるいは、2× (I/YA/SI/NO)。

 ③「魚」の記号: TA。あるいは、(MA/ME)-(SI/YO)。

 ④「木」の記号: KI/KO。


(ウ)解読


(右から左へ)


 KI/KO  TA/ (MA/ME-SI/YO)  NI/RA/2(I/YA/SI/NO)

 MIME/ MASUME/ MEYA


 〇 KI TA NI/RA MEMASU (来たら、見ます)

 〇 KI TA 2(I/YA/SI/NO) MEYA (汚い目や)


(左から右へ)


 MIME/ MASUME/ MEYA  NI/RA/2(I/YA/SI/NO)  TA/ (MA/ME-SI/YO)  KI/KO


 〇 MEYA NI TA KO (目ヤニ、タコ)


 以上を合わせれば、「目ヤニ、タコ。汚い目や」。「来たら、見ます」。


(エ)読み換え


 上記④の記号を上部(三角形)と下部(縦棒)に分け、YAMA-(I/YA/SI/NO)と読み換え、また③の「魚」の記号を、SAKANA、と読み換えれば、次の通り。


(右から左へ)


 YAMA-(I/YA/SI/NO)  TA/ (MA/ME-SI/YO)/ NAKASA

 NI/RA/2(I/YA/SI/NO) MIME/ MASUME/ MEYA


 〇 [YAMA-(I/YA/SI/NO)] TA/ NAKASA   I-YA  MEMASU 

 (病だ。泣かさん。いや、見ます)


 〇 YAMA-I  ME-YO I-YA MEMASU  

 (病、目よ。いや、見ます)


(左から右へ)


 MIME/ MASUME/ MEYA  NI/RA/2(I/YA/SI/NO) 

 TA/ (MA/ME-SI/YO) )/ SAKANA  YAMA-(I/YA/SI/NO)


 〇 MEYA NI TA/NAKASA YAMA-I (目ヤニだ、中さ、病)


 合わせれば「病、目よ、泣かさん。いや、見ます。目ヤニだ、中さ、病」。


(オ)まとめ


 表題:「目にタコ、来たらん」


「目ヤニ、タコ。汚い目や」。「来たら、見ます」。「病、目よ、泣かさん」。「目ヤニだ、中さ、病」。


 眼医者の宣伝文句となる。ゾウは、目を病んでいるのだろう。


(カ)別の解釈


 上記③の「魚」の記号を、SAKANA、と読み換える。


(左から右へ) MASUME NI TAKO/ YOMEKO

 (右から左へ)   KI TA RA  MASUME

(折り返して右へ) NI TA KI

 (折り返して左へ)  SAKANA RA MASUME

 (あるいは)     MESIYA NI MASUME


 繋げれば「飯屋に娘。娘に似た子、嫁子。来たら、まあ住め。煮炊き(せや)、盛んなら、娘」。



(357)パルポラ (第2巻:パキスタン)から、M-1134A。


「The Creatures Depicted on the Indus Seal, Mohenjodaro」で検索可能。この印章には、身体中、黒い円の覆うサイ(右向き)が登場する。上部に記号が4つ刻まれている。


(ア)単純な読み方


(a)音価


 記号に左から右へ、番号を付せば、次のとおり。


 ① 左端: KA。

 ② フライパン記号と見做し、NA。


 ③ 輪の中に菱形(2×3=)6つで、WA-MASUME-6/(2×3)。

 ④ 右端:SAI-I/YA/SI/NO。あるいはSAI-NO-ME。


(b)解読


(左から右へ)KA NA WAMASUME-6/(2×3)  (SAI-YA)/ (SAI-NO-ME)

 かなわん、娘。6才や/ 兄さんのサイの目。


(右から左へ) (SAI-NO-ME) /(SAI-YA)  MEMASUWA-6/(2×3) NA KA

 サイの目、6は、娘/ いざ、やめますわ、兄さんなんか。


 順序を逆にして合わせれば「サイの目、6は、娘」。「いざ、やめますわ、兄さんなんか」。「かなわん娘。まるで6才や」。「兄さんのサイの目よ」。


 サイコロを振り、娘を手に入れようとしたら、うまく6が出たとの筋書きである。動物のサイとサイコロ、娘と升目が、掛詞。サイの両耳が、娘の左右の目、また身体を覆う多数の黒い円が、サイコロの目を表す。印章を上下逆にすると、下方、左手に、頭骸骨の様な漫画が現れるが、賭場を観察している様子。因みにサイコロは、インダス文明の遺跡から出土しており、理解しやすい。


(イ)精密な読み方


(a)音価


 ② フライパン記号: 横縞が2本あり、また下部が消されているので、

 NA-(NI/RA)-KESI/KIEとする。


(サイの両耳): 毛が生え、目立つので、ME/MA-KE-NI。

(サイの角): I/YA/SI/NO。


(b)解読


(左から右へ)


 KA NASIKENI MASUMEWA-6/(2×3) (SAI-I/YA/SI/NO)/(SAI-NO-ME) NIMAKE

 悲しげに、娘は、兄さんのサイ、に負け。


(右から左へ)


 YA/SI MAKE-NI (SAI-NO-ME)/(SAI-I/YA/SI/NO)  MEMASUWA-6/(2×3)

  KESI/KIE - (NIRA)-NA KA

 よし、逃げまさや。娘は、兄さんなら、消えな、あかん。


 従って、「悲しげに娘は、兄さんのサイコロに、負け」。「よし、逃げますや。娘は(相手が)兄さんなら、消えな、あかん」。

 因みに印影(M-1134a)を見ると、サイの両耳が左側に転換しているが、これを娘の左右の目と見做せば、サイの背中を覆うブツブツ(腫物)に目を見張り、驚愕する様子である。


(ウ)読み換え


(a)音価


 ④ 右端:双斧と見做し、ミノア文明風に、TENMA(天馬)とする。


(b)解読


(左から右へ)


 KA NASIKENI MASUMEWA-6/(2×3) TENMA  NIMAKE

 悲しげに、娘は、六。満点に負け。


(右から左へ)


 YA/SI MAKE-NI TENMA MEMASUWA-6/(2×3) KESI/KIE - (NIRA)-NA KA

 よし、負けに。天馬、見ますわ。兄さん、消えな、あかん。


 この読み換えにより、天馬が現れて、娘にも「六」を出させて救う、逆転劇となる。



(358) 目を見開くトラ(左向き)の印章。


 中央の「二重熊手」記号は、指12本(3×4本)+TE+上下を繋ぐ縦棒 I/YA/SI/NO。またトラの背中の少し上に、短い縦棒があり、(右端のUに続き)SIと読み込む。すると次の通り。


(ア)単純な読み方(右端の記号=U)


(右から左へ)U-SI SI-SAN-I/YA/SI/NO-TE NI MEMASU

  牛、産しや。夜で、逃げます。


(左から右へ)MASU-ME/MI NI TE-SI-SAN-I/YA/SI/NO U-SI

   娘に 手資産の牛/ 見ますに 産して の牛。


 合わせれば「娘に、手資産の牛。見ますに、お産を控えた牛。牛、産して夜、逃げます」。トラは、酔っ払いの象徴であり、牛を狙っている。牛は、娘の持参金代わり。産後(披露宴で)食されるのを避けるため、夜、逃げるのだろう。


(イ)精密な読み方(右端の記号=USENI)


(右から左へ)USENI SI-SAN-I/YA/SI/NO-TE NI MEMASU

   失った資産、得て、逃げます。


(左から右へ)MASU-ME/MI NI TE-SI-SAN-I/YA/SI/NO USENI-SI

   娘に手資産や、失せに/見ますに、産して痩せに牛。


 合わせれば「娘の手資産が消えた。見ると、産後の痩せた牛。失った資産を得て、逃げます」。

 ここでトラに目を凝らし、尻尾を「右向く子牛の頭」と捉え直せば、背中の縞が、左右で異なる事もあり、二種類の動物と解釈可能。すると左側はトラ、右側は子牛だろう。従ってトラは、生まれた子牛を食べてしまい、今度は逃げ始めている産後の牛を得て、逃げる算段である。


(ウ)まとめ


 以上を繋げば「娘に、手資産の牛。見れば、お産を控えている。牛は、産後の夜、トラから逃げるつもり。だからその後、娘の手資産が消えた。産後に痩せた母牛である。トラは子牛を食べてしまい、逃走を図る母牛も得て、逃げるつもりだ」。トラは、酔っ払いの通称でもあり、牛が本当に恐れているのは、人間と見られる。

 因みに牛の出産は、春を示唆するので、同じ春をテーマにした印章(382)「山澄に山茱萸、おうし座逃げます夜」のパロディー。すると左端の「目」の記号は、「湖に映る富士山」の様であり、「山澄に」を想起させる漫画だろう。

 なお言葉の遊びとして、熊手記号の上下を繋ぐ縦棒を、I/YA/SI/NOと読み換えるのが、多様な解釈の秘訣であり、「癒しの」ルールの裏づけとなろう。



(359)左向きの四つ足動物の印章。下三分の一ほど、欠けており、動物の足が見えない。変則的な記号が多く、次の通り。


 〇 左端は「目」の中にSE/REで、ME/MA-SERE。

 〇 左から2番目の「熊手」記号:指5本でTE/GOTE。これに把手をSI/YAと読み加える。


 〇 中央寄りの短い縦線7本(上4本+下3本)は、SI-SAN/MI。

 〇 右端の「牛」記号は、U/USI/USENI。

 〇 右から2番目は「底のないNA」でSOKONASI-NA、あるいは筒+輪でTUTU-WA。


 以上を踏まえ、次の通り。


(右から左へ)

 

 U SOKONASI-NA SISAN TA SI-TE SEMARE

  ウソをこなしな、資産を足して迫れ


 あるいは、


 USI WA-TUTU SI-MI TA YA-GOTE MESERE

 牛は、慎みだ。やがて召されん。


(左から右へ)


 SEMAME GOTE- YA TA SISAN SOKONASI-NA USENI 

 狭めの御殿、やった! 資産、底なしな、失せに。  


 あるいは


 SEME TEGO-YA TA SISAN NAKOSISO-NA NISE-USI

「せめて小屋だ」と資産なくしそうな、偽牛。


 繋げれば「せめて小屋だ」と資産なくしそうな、偽牛。「ウソをこなしな、資産を足して迫れ」。「狭めの御殿、やった!しかし底なし資産が失せに」。「牛は慎みだ。やがて召されん」。印章の下部の破損が、意図的な場合には「(値段が)高過ぎて、脚が見えなくなった」との趣旨を表す為だろう。また動物には角がないので「偽牛」(例えばブタ)かも知れない。



(360)パルポラ(第1巻:インド)から、B-8A。


 右向くヤギ(?)の印章。長い角が、上部の文字列の延長上にあるので、これをNI/RA。背中の上の「牛」記号はU/NISE。尻尾が目立つので、適宜、WAと読み加える。


(右から左へ)(WA)NI/RA U/NISE NO (笑う 偽の)

(折り返して右へ)U/NISE NI/RA(WA)(兄さんらは)

(中央から適当な順番に)U RA NO U RA(裏の裏)


 合わせれば「笑う偽の兄さんらは、裏の裏」。ヒントを得て印章を逆さにすると、髪の長い「女性」が、目を細めた表情の漫画が登場。暫く凝視すると、鼻がペニスに見えてくる。女装した男性か。更に、印章を右に倒すと、ヤギの尻の部分が強調され、怪しげな漫画に見える。



(361)パルポラ(第1巻:インド)から、B-9A。


 右向くヤギ(?)の印章。上部の文字列の左側に縦棒が4本あるが、縦棒だけで SIと読めるので、YOとする。すると次の通り。


(ア)単純な読み方(右側の記号=SITE)


(右から左へ) SITE YO    (左から右へ)YO SITE


 繋げば「してよ」、「よして」。ヤギが尻尾を立てているので、発情の可能性があろう。


(イ)精密な読み方


 右側の記号は、REの変形と捉え、上部に縦の支線が1本余計にあるので、RE+ I/YA/SI/NO。また目立つ尻尾を、適宜、SEと読み加える。更にヤギのヒゲと胸毛10本が、目立つ様にたなびくので、TO-I-KEと、適宜、読み加える。


(右から左へ)IRE YO SE (入れようぜ)

(左から右へ)YO NO/I/YA/SI-RE (世の癒し、知れ)


(右から左へ)NO-RE YO TO-I-KE (乗れよと、行け!)

   あるいは、I/YA/NO/SI-RE YO TO-I-KE (いや、嫌なのを知れよ、と引け!)


 以上を合わせれば「してよ」、「よして」。「入れようぜ、世の癒しを知れ。乗れよと、行け!」。「いや、嫌なのを知れよ、と引け!」。相異なる見解が表明されているが、ヤギの左右の角が、反対方向に生え、考えがまとまらない事を表現している。支線をI/YA/SI/NOと読み換える事が、遊びの秘訣だろう。



(363)四つ足動物(右向き)が尻尾を立てている。角が波状で長い。左上に、2つの記号。


(ア)音価


 動物の角や目を文字と見做せば、次の通り。


 〇 上部左端:KI/KO/ZO

 〇 その右隣の短い縦棒:I/YA/SI/NO


 〇 波状の長い角:波の数え方で場合分けし、5波なら、NAMI-GO/TE。 

 (2+3)波なら、NAMI-(NI+SA/MI)。(1+4)波とすれば、NAMI-YO/SI。

 以上から、NAMI-[GO/TE/ (NI+SA/MI)/YO/SI]。


 〇 動物の目:ME/MA


(イ)祖母と孫


(右から左へ)動物の目と角を読み込めば、次の通り。


 ME/MA NAMI-[GO/TE/ (NI+SA/MI)/YO/SI]  I/YA/SI/NO KI/KO/ZO


 〇 孫、みな、良い子

 〇 学びに、見や(う)ぞ。


(左から右へ)


 KI/KO/ZO   I/YA/SI/NO  NAMI-[GO/TE/ (NI+SA/MI)/YO/SI]  ME/MA

 〇 来し/ 波に醒め/ 波さんに目。


 これを繋げば「孫、みな、良い子。学びに、見や(う)ぞ。岸の波に、醒め」。印章を上下逆に見ると、文字列が、海岸の波打ち際にたたずむ大人(祖母)と子供(孫)の漫画となる。「来し波さんに目」とも読めるが、波の中央で、上から動物の目が接近しており、漫画と符合する。


(ウ)失恋の詩


 左から右へ、KOIと読んだ場合、次の通り。


(左から右へ)


 KI/KO/ZO   I/YA/SI/NO  NAMI-[GO/TE/ (NI+SA/MI)/YO/SI]  ME/MA


 〇 来い/恋よ、波間

 〇 恋にさめ、波間


(右から左へ)


 ME/MA NAMI-[GO/TE/ (NI+SA/MI)/YO/SI]  I/YA/SI/NO KI/KO/ZO


 〇 目にさ、波やっこ。


(左から右へ)


 KI/KO/ZO   I/YA/SI/NO  NAMI-[GO/TE/ (NI+SA/MI)/YO/SI]  ME/MA


 〇 恋/濃い、波にさ、ゴメン。


 これを繋げば「恋にさめ、波間に。目に、波やっこが。恋の波にさ、ゴメン」。この動物は上を見上げ、涙をこらえている。

 印章を右に倒すと、右側に人の横顔が現れる。動物の角(波)が、鼻から下の輪郭となり、鼻の右手に、左目。これが失恋した「波やっこ」(船乗り?)の姿だろう。左側には、印章(360)の場合と同様に、怪しげな漫画が登場する。 


 以下、(375)から先の印章では(文字列と同じ面に)動物は登場しない。



(375) 長方形の小板で、文字記号が4つ。


(ア)単純な読み方


(右から左へ)RYO-U MOU MI TI

(左から右へ) TI MI MOU RYO-U


 合わせて読めば「量/両毛満ち、魑魅魍魎」。右端の記号は、長髪の若者の漫画を兼ねており、左隣の記号も意味深である。


(イ)精密な読み方


 各記号に、左から右へ、①~④の番号を付す。その上で縞模様を勘案し、音価を次の通り、修正する。


 ① TI/ [WO-(I/YA/SI/NO)]。


 ② MIの「目」の部分に2本の縞、と捉えてMI-(NI/RA)。左端で上部に縦線が突き出ているので、

(I/YA/SI/NO)を読み加え、MI-(NI/RA)- (I/YA/SI/NO)。


 ③ MOUに(2+3=)5本の縞模様:MOU-(NISA/ NIMI/ GO/TE)。

 ④ RYO-U。


(右から左へ)


 RYO-U  MOU-(NISA/ NIMI/ GO/TE)  MI-(NI/RA)- (I/YA/SI/NO)

 TI/ [WO-(I/YA/SI/NO)]

 量毛/良毛の兄さん、目にし、


(左から右へ)


 TI/ [WO-(I/YA/SI/NO)]  MI-(NI/RA)- (I/YA/SI/NO)

 MOU-(NISA/ NIMI/ GO/TE)  RYO-U

 君らの、もてるよう/もう兄さん、見事に、了


 両者を合わせれば、「量/両毛満ち、魑魅魍魎。量毛/良毛の兄さん、目にし、君らが、もてるように。(整髪すれば)、もう兄さん、見事に、了」。

 床屋の印章。上下、逆にすると、床屋の店の漫画が登場する。右端に入り口、左奥に客が二人。その間の記号は、髪を切る、カミソリなどか。



(376)長方形の小板で、文字記号が4つ。


(ア)音価


 刻まれた記号に、左から右へ、①から④の番号を付せば、次の通り。


 ①縦2本棒:NI/ RA/ HASI/ 2(I/YA/SI/NO)。

 ②閉じていない楕円形:WA/ 2(I/YA/SI/NO)。


 ③穂先の記号。上の横棒が、斜めに傾斜:SE/ [NISE-(I/YA/SI/NO)]。

 ④四角い果物:NA/NE。あるいは上下に分けて、WO-(I/YA/SI/NO)。


(イ)解読


(右から左へ)


 NA/NE/ [WO-(I/YA/SI/NO)]  SE/ [NISE-(I/YA/SI/NO)]  WA/ 2(I/YA/SI/NO) 

 NI/ RA/ HASI/ 2(I/YA/SI/NO)


 〇 NA SE WA SIHA (何故、ワシは)

 〇 NA-WO-SI SENIYA  IYA SINO/ WA RAINI

(直し、せにや。卑しいのを、笑いに)


(左から右へ)


 NI/ RA/ HASI/ 2(I/YA/SI/NO)  WA/ 2(I/YA/SI/NO) SE/ [NISE-(I/YA/SI/NO)]  NA/NE/ [WO-(I/YA/SI/NO)]


 〇 NI WA SENIYA NA/NE (庭を、せにや、なんねえ?)

 〇 NI WA NISEI WOYA (庭に精を、や)

 〇 SIHA WA SE NE (幸せ、ね)


 以上を繋げて解釈すれば「何故、ワシは、庭をしないといけないのか?」。「庭に精を出せ。直せ、卑しいのを、笑いに」。「幸せね」。



(377)長方形の小板。3つの記号が刻まれており、次の通り。


(ア)記号の音価


 〇 左端:MASUME/ MENI。また外枠をWOとすれば、MASUWO。


 〇 中央寄りの縦棒8本: (左側2本)(NI/RA/HASI)+(右側上下3本ずつ)で、SASA/SANI/MIMI/MINI/ROKU/DIDI/NIDI/RADI。


 〇 右端: REの縦棒が延長してあるので、RE-(I/YA/SI/NO)。あるいは上部をTIとすれば、TI-(I/YA/SI/NO)。更に全体の形状から、YA。読み換えとして、MI-TE。


(イ)解読(左から右へ)

 

 MASUME/MENI  NI/RA/HASI  SASA/SANI/MIMI/MINI/ROKU/DIDI/NIDI/RADI

[(RE/TI)- (I/YA/SI/NO)]/YA/MITE


 〇 娘に、苦労。質、闇で。

 〇 娘は、資産さ、質、やめて。

 〇 娘、兄さんに、やれ。


(ウ)解読(右から左へ)


[(RE/TI)-(I/YA/SI/NO)]/YA/MITE  SASA/SANI/MIMI/MINI/ROKU/DIDI/NIDI/RADI  NI/RA/HASI  

 MASUME/ MENI/ MASUWO


 〇 質やめて。苦労しは、娘。

 〇 矢ささら目に。

 〇 連夜、兄さんら、見ます。


(エ)読み換え


 〇 右端:木を象った記号と捉え、KI/KO。あるいはKI/KO-(I/YA/SI/NO)。


(右から左へ)


 KI/KO SASA/SANI/MIMI/MINI/ROKU/DIDI/NIDI/RADI  NI/RA/HASI  MASUME/ MENI/ MASUWO


 〇 KODIDI NI MASUME (コート・ディジーに娘)


(左から右へ)


 MASUME/MENI NI/RA/HASI  SASA/SANI/MIMI/MINI/ROKU/DIDI/NIDI/RADI KI/KO-(I/YA/SI/NO)


 〇 MASUME NI MINI IKO  (娘に、見に行こう)


(オ)合成


 繋いで解釈すれば、


 〇 娘に、苦労。質に、闇で。矢ささら目に。

 〇 娘は資産さ。質、やめて。苦労しは、娘。


 〇 コート・ディジーに娘を誘った。「見に行こう」と。

 〇 (現地では)連夜、兄さんらを見ます。「娘は、兄さんにやれ」。


 この小板(377)を右に倒して見ると、目元に、シワの寄る/涙の見られる、険しい顔が、漫画で登場する。娘に苦労する表情だろう。

 なお古代ギリシャの線文字Aでは、「やささらめ」は、死者を弔う文言の中で頻繁に登場し、「ささら波の様に涙があふれる」と解釈される。更に、同文字列が、女性の泣き顔の漫画を兼ねている。



(378)長方形の小板。合成記号につき、次の通り。


 〇 「田」の形の記号:外枠 (WO) + 十字 (RO)と見做し、WO-RO。あるいは「4つの升」として、SI/YO-MA/ME-SU。(2つ連なるので、NIを加える)


 〇 右端から2つ目の「片足を上げた男」の記号:OTO/TO。あるいは右端の縦棒(I/YA/SI/NO)と合体させ、上げた足をEとして、O/TO-(I/YA/SI/NO)-E。なお「I」は、適宜「HI」と読み換える。 


(ア)単純な読み方


  (右から左へ) SI TO-E WORO WORO

(左から右へ)MASUME-YO-NI TO-E YA


 合わせれば「字と絵で、オロオロ」。「娘/真面目に 世に問うてみろ」。


(イ)精密な読み方


(右から左へ) 次の3通りに読める。


 HI TO YOMEMASU-NI (人、読めますに)

 HI TO-E RORO/YOMASU-NI(人へ、朗々と読ますに)

 IETO SUMAYO NI (家と妻、世に)


(左から右へ)次の3通りに読める。


 YOMEMASU-NI OTO-E-SI / SI-E-TO(読めますに、音得し知恵と)

 SUMAYOME NI OTO-O-E-YA (妻・嫁に夫を得や)

 MASUYO-NI O-SI-E(増す様に、教え)


 以上を合わせて解釈すれば「字と絵で、オロオロ」。「娘/真面目に、世に問うてみろ」。「人に朗々と読ませ、読める様に。音を覚えた知恵で、妻・嫁に夫を得て下さい。家と妻が世に増す様に、教えます」となり、読み書きを教える先生の印章と判明する。

 従って漫画と捉えれば「田」の記号は、生徒。「片足を上げた男」の記号が、先生。右端の縦棒は、黒板に相当するだろう。



(379)長方形の小板。刻まれた4つの記号が、印章(351)の右側の文字列に酷似する。


(ア)音価


 刻まれた文字記号に、左から右へ、①から④の番号を付せば、次の通り。


 ①TAの内側にタスキ掛け:TA+(I/YA/SI/NO)。または「目」+支線(4+1)本で、(YO/SI/GO/TE)-(MA/ME)+ (I/YA/SI/NO)。


 ②U字型の中に針:(MI/ME/MA)-TI。


 ③縦の3本線:SA/MI/DI/[HASI)-(I/YA/SI/NO)]。あるいは(1+2)本としてI-NI。更に3(I/YA/SI/NO)。


 ④木の記号:KI/KO。


(イ)解読


 文字列をローマ字に転換すれば、次の通り。


 TA/ [(YO/SI/GO/TE)-(MA/ME)]+ (I/YA/SI/NO)  (MI/ME/MA)-TI

 SA/MI/DI/ [HASI-(I/YA/SI/NO)] / INI/ 3(I/YA/SI/NO) KI/KO


(右から左へ)


 KI/KO SA/MI/DI/ [HASI-(I/YA/SI/NO)] / INI/ 3(I/YA/SI/NO)

  (MI/ME/MA)-TI TA/ [(YO/SI/GO/TE)-(MA/ME)] + (I/YA/SI/NO)


 〇 KO DI TIMI TAYA(コート・ディジー 見たんや)。

 〇 KO MI MATI TA NO (小道待ったの)

 〇 KO INI MITI SIMESI (恋に道、示し)

 〇 KO ISIHA TIMI TA(恋しは、君だ)。

 〇 KI MI MATI TA/GOME YA (君、待った? ごめんや)


(左から右へ)


 TA/ [(YO/SI/GO/TE)-(MA/ME)]+ (I/YA/SI/NO)  (MI/ME/MA)-TI

 SA/MI/DI/ [HASI-(I/YA/SI/NO)] / INI/3(I/YA/SI/NO) KI/KO


 〇 YOME-NO TIMI ISINO KO(嫁の君、い(と)しの 子)

 〇 GOME-YA MATI SIHA IKO(ごめんや、待ちしは。行こう)


(ウ)読み換え


 上記③:3本の縦棒にて、KAWAとする。


 上記④:「木」の記号を上下に分け、YAMA-(I/YA/SI/NO)とする。


(右から左へ)


 YAMA-(I/YA/SI/NO)  KAWA MITI (TA/MESI)-(I/YA/SI/NO)

 山や川、道、試しや。


(左から右へ)


(TA/MESI)-(I/YA/SI/NO)  MITI  KAWA  YAMA-(I/YA/SI/NO)

 楽しみ。君、可愛や。まあ。


(エ)まとめ


 合わせれば、次の通り。


 コート・ディジー見たんや。恋に道、示し。「君、待った? ごめんや」。「小道で待ったの」。「ごめんや、待ちしは、行こう。恋しは、君だ。嫁の君は、いとしい子」。

「山や川、道、試しや」。「楽しみ」。「君、可愛や」。「まあ」。


 印章を上下、逆にすると、文字列が漫画に変わり、4つの記号が、左から、女性、川、船、魚、にすり替わる。印章(351)と同様に、古都のコート・ディジー観光(新婚旅行)がテーマであり、河を船で渡って行く事が窺われる。



(380)長方形の小板に4つの記号が刻まれている。左端の記号はNA/NE。右端は、U/SENI。その左隣は、合成記号で(TO/OTO)-RE。


(左から右へ)NA SE OTO SENI/U (何故/ 梨、落としに/失せに)

(右から左へ)U RETO SE NA (売り物/ 熟れた品物に しないと)

(左から右へ)NE SE TO SENI (寝かせないと)


 続けて解釈すれば「何故、梨を落としてしまうのか、(価値を」失ってしまう。売り物にしないと。寝かせて、熟成させないと」。果物農家の印章だろう。右から2番目の記号は、梨の収穫の漫画を兼ねていよう。



(381)長方形の小板に、4つの記号の印章。パルポラ(第2巻:パキスタン)から、M-1270A。印章(375) の変形。「Sindhishaan, Indus seals」で検索すると、サイトの2頁「Seals and Sealing」で、黒い背景の6つの印章のうち、上から2段目の左側。


(ア)単純な読み方(縞模様を省略)


 右端⇒左端⇒右端の順に読めば、印章(375)の単純な読み方と同様に、「量/両 毛満ち 魑魅魍魎」。


(イ)精密な読み方(縞模様を勘案)


 〇中央左寄りの記号には、下部に(数え方次第で)3/5本の縦縞があるので、これを勘案し、MI/ME + MI/SA/SEGO/SETE。


 〇中央右寄りの記号には、MOUに5/6本の縞が書き込まれており、これを読み加える。5本ならGO/TE、6本なら、2×3でNI-SAN、3+3でSAN-SAN、4+2でYO-NI。


(右から左へ) RYO-U MOU-TE- NI-SAN MESETE TIMI

 量毛で兄さん、ませたな、君。


(左から右へ) MITI ME-SA MOU-SANSAN-YONI U-RYO

 惨めさ、もうさんざん。この世に憂える。


(右から左へ) RYO-U MOU-NI-SANSAN SEMETE TIME

  量毛/両毛に、さんざん攻められてしまう


(右から左へ) RYO-U MOU-TE- NI-SAN MISETE TIMI

 良毛で、兄さん、店で/見せて、君。


 合わせて解釈すれば、「毛が伸びて、兄さん、ませたな、君」。「惨めさ、もうさんざん。この世に憂える。大人になったら、さんざんの攻め」。「良毛で兄さん、お店で? 見せて、君」。印章(375)と同様、床屋の印章。



(382) パルポラ(第2巻:パキスタン)から、M-1273A。「Sindhishaan, Indus seals」で検索すると、サイトの2頁「Seals and Sealing」で、黒い背景の6つの印章のうち、上から2段目、右側。長方形の小板。


(ア)音価


 中央右寄りに、短い縦棒が14本刻まれており、これを左側の2本、右側の3×4本に分けた上、各記号に、左から右へ、①から⑤までの番号を付せば、次の通り。


 ①「目」に類似の記号:歯の記号PAの応用とすれば、PA-NI。あるいはWO-NI。線文字A風なら、JA。従って、PANI/WONI/JA。


 ②菱形の記号:MASU-(ME/MI/MA)。


 ③短い縦棒2本:NI/RA/HASI。


 ④格子状の短い縦棒(4×3)本の集合体:(SI/YO)-SAN。


 ⑤上部の閉じた、牛の頭の記号:U/SENI。適宜、ME/MA/WOを加える。


(イ)解読


(右から左へ)


  (U/SENI)+(ME/MA/WO) (SI/YO)-SAN NI/RA/HASI MASU-(ME/MI/MA)  PANI/WONI/JA


 U/SENI (SI/YO)-SAN NI/RA (ME/MA)-SU PANI/WONI/JA


 〇 牛さん、逃げます、晩に。

 〇 失せに資産に、娘。鬼や。


(左から右へ)


 PANI/WONI/JA  MASU-(ME/MI/MA)  NI/RA/HASI (SI/YO)-SAN (U/SENI)+(ME/MA/WO)


 〇 JA MA-SU-ME NI SAN-(SI/YO) U/SENI(山澄に サンシウ/山茱萸)

 〇 WONI  MASUME RA SISAN MESENI (鬼娘ら、資産目、背に)


 合わせれば、次の二通りに解釈出来る。


 〇「牛さん、逃げます晩は、山澄に山茱萸」


 これは、春の到来を昼夜、合わせて描写したもの。山茱萸は、花の咲く春の季語でもあり、また春になると(冬の南の夜空に現れる)おうし座が(毎日、一定の場所・時間に観測すると)西の地平線に消えていく事が想起される。


 〇「鬼娘ら、資産目を背に」。「失せに資産に、娘。鬼や」。


 娘らが、持参金と共に嫁入りした後の、大きな喪失感を表現したもの。


(ウ)解読(神話)


 同じ文字列を、次の通り読み換える。


(右から左へ)背に、牛さん、睨みますや。

(左から右へ)休めば、兄さんよ、失せに。 


 以上を総合すれば「牛さん、逃げます晩は、山澄に山茱萸」。「背後で、仲間の牛らが睨みます。兄さんよ、休めばと。すると兄牛が消えた」。

 これは印章(339)~(341)に習い、北の夜空に、3匹の牛が星座として登場するが、老年の牛が、毎年、陰暦の年末(2月から4月の間)に消えて、その春、若い牛が生まれる神話だろう。

 星座表で照合すれば、毎年、牛の3つの頭が、それぞれ小熊座の柄杓、竜座の頭、また白鳥座・デネブ周辺の星として、時計回りに一つずつ場所を交替。陰暦の年末から春にかけて、左上に若い牛が登場し、右下の老年の牛が消えるとの流れである。



(383)パルポラ(第2巻:パキスタン)から、M-1271A。長方形の小板に、7つの文字記号。


(ア)単純な解釈(縞を勘案しない)


  右端の櫛記号につき、KU-SIと仮置きすれば、


(右から左へ)KU-SI ZA NA/YAMA MA RU SO HO


 〇 串だな。膝なまる祖母

 〇 シク、残念。病いる祖母


(左から右へ) HO SO RU MA NA/YAMA ZA SI-KU


 〇 細る眼差し、逝く

 〇 細るまま、優しく


 繋げれば「シク、残念。病いる祖母、細る眼差しの、逝く」。「細るまま、優しく」。「串だな」、膝なまる祖母。


(イ)精密な解釈(縞の数を読み込む)


(a)音価


 文字記号に、左から右へ、①から⑦までの番号を付せば、次の通り。


 ① 帆の記号:HO。

 ② 円弧の中央に目:SO。

 ③縞の入った「RU」:RU + 7/ (4+3)。

 ④縞の入った「MA」:MA+ (2+3+2)。

 ⑤ピラミッド型の「NA」記号:NA/NE/YAMA + 6。

 ⑥ 風車に屋根:ZA

 ⑦ 右端の櫛記号: KU/KUSI-(GO/TE)。


(b) 解読


(右から左へ)


 KU/KUSI-(GO/TE) ZA MU-(NE/ NA /YAMA) NI-SAN-MA-NI

 RU-NANA SO HO


 串ごとさ、胸に。兄さん、ニマる。何? 祖母。


(左から右へ)


 HO SO RU-NANA NI-SAN-NI-MA (NE/NA /YAMA)-MU ZA

  (TE/GO)-KU/KUSI


 細るな。何、兄さんに学ぶさ、天国。


(c) まとめ


 以上を合わせれば、次の通り。


 シク、残念。細る眼差しの、病いる祖母、逝く。細るままに優しく。「串だな」と、膝なまる祖母。

「串ごとさ、胸に」と兄さん、ニマる。「何?」と祖母。「細るな」。「何、兄さんに学ぶさ、天国」。



(400)三角柱形護符(船/ワニ/文字)。パルポラ(第2巻:パキスタン)の194頁、M-1429のA、B、C。


 各記号の音価につき、次の通り。


 〇 左端の「男」記号: O/OTOKO/TOKO。

 〇 「牛」記号:U/SENI


 〇 「目」の記号:WO-(ME/MA/MI)

 〇 「魚」の様な記号:TA/(MA/ME/MI-SI/YO)


 〇 右端の記号: WO/(MA/ME)-SE/RE/TE。

 〇 右端寄りの3本の縦棒:SAN/MI。


(右から左へ)WO/(MA/ME/MI)-SE/RE/TE SAN/MI TA U MA ME U OTOKO

  「おませさんだ お生まれになった男の児」


(左から右へ)O/OTOKO U/SENI WO-(ME/MA/MI) WO-(ME/MA/MI) U/SENI

   TA/(MA/ME/MI-SI/YO) SAN/MI WO/(MA/ME)-SE/RE/TE


  「王/男を、敬おう。多産を愛でよ」あるいは、

  「おう、お目目をお試し、見ますぜ」、

  「王を見舞おう/お目に。玉よ/見目良しさんで。多産を愛でよ」、 


 繋げて解釈すれば「おませさんだ、お生まれになった男の児。おう、お目目をお試し、見ますぜ。王様を見舞おう、お目にかかろう。玉よ、見目良しさんで。王様を敬おう。多産を愛でよ」。

 左寄りの文字列が、赤ん坊の顔の漫画を兼ねる。王室に男児の誕生を祝う、記念の印章だろう。

 この文脈なら三角柱の「船」は、王室の御座船(Royal Barge)。またワニは、印章(336)「座る甲冑男」に、ワニの漫画があり、文字列に「ワニの県/圏」との表現があるので、部族の象徴と見られる。 



(403)土製小板。左端の記号が 消えているので、KESI/KIE/NASIで補う。左手の「櫛」記号に関し、櫛の数が不明瞭なので、次の通り、場合分けをする。


(ア)6/(3+3)/(2+4) 本とする場合: KU-(RO/MIMI/NIYO/NISI)


(右から左へ)

 MASUME NI/RA I/YA/SI/NO RO KU-(RO/MIMI/NIYO/NISI) KESI/KIE/NASI

  娘ら、やいのし、ろくによ、けなし。


(左から右へ)

 KIE RO-KU RO SI-YA-I-NO RA-NI SUMEMA

 消えろ、苦労しや。野良に住めば。


 合わせれば「娘ら、やいのし、『ろくによ』とけなし。消えろ、苦労しや。野良に住めば」。


(イ)5/(2+3)/(1+4) 本とする場合: KU-(GO/TE/MINI/IYO/ISI)


(右から左へ)

 SUMEMA NI/RA I/YA/SI/NO RO KU-(GO/TE/MINI/IYO/ISI) KESI/KIE/NASI

  住めば、庭、癒しの六手なし。


(左から右へ)

 KESI/KIE/NASI  (GO/TE/MINI/IYO/ISI)- KU RO I-YA-SI-NO RA-NI MASUME

 ケシの如く、良い苦労しや、野良むすめ。


 合わせれば「庭に住めば、癒しの六手なし。ケシの如く、良い苦労しや、野良むすめ」。


(ウ)4/(2+2)/(1+3) 本とする場合: KU-(YO/SI/RANI/IMI/ISA)


(右から左へ)

 MASUME NI/RA I/YA/SI/NO RO KU-(YO/SI/RANI/IMI/ISA) KESI/KIE/NASI

 娘ら、宿ろく、意味なし。


(左から右へ)右端に縦棒があるので、YAと読み込む。

 KESI/KIE/NASI  KU-(YO/SI/RANI/IMI/ISA) RO I-YA-SI-NO RA-NI MASUME YA

 仕方なし。悔しい居候。癒しの炉に住めば、娘や。


 合わせれば「娘ら、宿ろく、意味なし。仕方なし。悔しい居候。癒しの炉に住めば、娘や」。


(エ)総合


 全て合わせれば、次の通り。

「娘らがヤイのし『ろくによ』とけなす。消えろ、苦労せよ。野良に住んだらどうだ? 庭に住めば、癒しの六手なし。ケシの如く、良い苦労しや、野良むすめ。娘らは宿ろくで意味がない。仕方ないが、悔しい居候だ。癒しの炉に住めば、娘や」。

 印章を上下逆にして見ると、漫画が現れる。左端に囲炉裏、その前に人の姿があり、娘がいるのだろう。右端に家の入口があり、右方向から風が吹き込む。



(404)土製小板に記号が6つ。「Sindhishaan, Indus seals」で検索すると、サイトの2頁「Seals and Sealing」で、黒い背景の6つの印章のうち、上から3段目、右側。


(ア)記号の音価


 〇 左端の「櫛」6/(3+3)/(2+4)/(1+5)本の記号:

(KU/KUSI)-(RO/MIMI/SASA/NIYO/NISI/[(I/YA/SI/NO)-TE]


 〇 「牛」の記号: U/SENI

 〇 中央左寄りの「穂先」記号:斜線を4本と見れば、 SEYO/SESI。3本なら、SEMI/SESA。


 〇 左寄りの「魚」記号: RI-(TA/SIME/YOME)

 〇 右端: SE-ME/MA


(イ)解読


(右から左へ) SEMA RITA-YOME NA SEYO/SESA U (ITE/NOITE/YAITE)-SIKU

 迫ってきた嫁、「何故よ、何故さ」と言って/妬いて、シク。


(左から右へ) KURO U SASE(TE) NA TARI MASE

「苦労させて(悪い)な」。「(いいえ)足りません」。


 繋げれば「嫁が迫り、『何故よ、何故さ?』と言って/妬いて、泣く。『苦労させて悪いな』。『いいえ、足りないくらいです』」。右端の「目」の記号、また左隣の記号(RITA)の周辺が荒れているが、泣いた左右の目を表していよう。



(405)土製小板に記号が5つ。「Sindhishaan, Indus seals」で検索すると、サイトの2頁「Seals and Sealing」で、黒い背景の6つの印章のうち、上から3段目、左側。


(ア)記号の音価


 〇 右端の記号: (MA/ME/WO)-SA

 〇 右から2番目の熊手記号(5本指): (GO)TE+I/YA/SI/NO。

 〇 中央の「魚」記号: 通常はTA。「目」+4本の支線として、各支線をI/YA/SI/NOと読み換えれば、TA/(ME/MA+I/YA/SI/NO)


(イ)解読


 〇 左端の「櫛」を4本と見做し、KUYO/KUSIとする場合。


(左から右へ)KUYO U TA/MESI SIGOTE WOSAME

 供養だ、仕事を納め


(右から左へ) MASA GOSITE(I/YA/SI/NO)-ME/MA-TA U/SENI KUYO

 真砂を敷いて 癒しの間にする 供養


 〇 左端の「櫛」を5本と見做し、GOKU/TEKUとする場合。


(左から右へ)


 GOKU/TEKU U/NISE TA/(ME/MA+I/YA/SI/NO)(GO)TE+I/YA/SI/NO (MA/ME/WO)-SA

 天国にした 癒しの間 御殿の間さ


(右から左へ)


 MASA GOSITE(I/YA/SI/NO)-ME/MA-TA U/SENI GOKU/TEKU

 真砂を敷いて 癒しの間にする 天国


 以上を繋げて解釈すれば「供養だ、仕事を納める。真砂を敷いて癒しの間にする供養、天国だ。天国にしたてた癒しの間、御殿の間さ」となり、葬儀屋の印章。 



(406)ねじれた土製小板。パルポラ(第2巻:パキスタン)の192頁、M-1424B。5つの記号が刻まれ、右端に、頭を低くした牛。「Sindhishaan, Indus seals」で検索すると、サイトの2頁「Seals and Sealing」で、黒い背景の6つの印章のうち、一番下。


(ア)記号の音価


 〇 左端の合成記号:SEMEMASU

 〇 左から2番目:WA

 〇 「男」の記号:O/TO

 〇 右端の「月/突き」記号:TUKI/TU


(イ)単純な読み方(傘の様な記号=HI)


(左から右へ) SEMEMASU WA HI TO TUKI

  攻めますわ、一突き


(右から左へ) TU O HI WA MESUSEMA

 強いわ、雌を攻め


 繋げると「強い、雌を攻めますわ、一突き」。


(ウ)精密な読み方(傘の様な記号=HI+6/(3+3)本の縞)


(左から右へ) SEMEMASU WA SANSAN-HI TO TUKI

 攻めますわ、さんざん、日と月


(右から左へ) TU O MU-HI WA MESUSEMA

 勤めの日は、雌を攻め


 繋げると「攻めますわ、さんざん。日と月で、勤めの日は、雌を攻め」。


 以上から、「強い、雌を攻めますわ、一突き」。「攻めますわ、さんざん。日と月で、勤めの日は、雌を攻め」。「月/突き」の記号が、牛の尻の方を向き、また印章がおネジの様にねじれているので、牛の種付け業者の印章。



(銅製小板)


(394) パルポラ(第2巻:パキスタン)の222頁、M-1534A(文字列)及びM-1534B(四つ足動物)。


 表側には、左右に頭のある4つ足動物。2匹のラクダが胴体で繋がった様に見える。耳がピンと立つ。左右両側で、肩から胸の辺りに無数の点があるのは、肌の露出であり(腹部を残し)毛が刈り取られた姿だろう。裏側に4つの記号。


(ア)記号の音価


 〇 右から2番目の記号は、RAKU系。支線が2本、余計にあるので、RAKU-(NI/RA)。逆さバケツ形の上部をUとして読み加えれば、RAKU-(NI/RA)-(U)。


 〇 右端の縦棒(4+3)本は、(SI/YO)-(SAN/MI)。


(イ)単純な読み方(MAの縞を数えない)


 〇 左から2番目、「ネコの耳」の記号を、MAとする。


(左から右へ)U MA RAKU-(NI/RA)-(U) SI/YO-SAN

       羽毛で、楽に蔵に資産/ 鞍に予算。


 あるいは、 U MA RAKU-(NI/RA)-(U) MI-YO 

 羽毛のラクダを見よ。


(右から左へ)YO-SAN RAKU-NI MA U/SENI

 予算、楽に舞うぜ、失せに。


(ウ)精密な読み方(MAの縞を数える)


 〇 左から2番目のMA系の記号は、斜線が左右に3本ずつあるので、

 MA-(MIMI/MINI/SANSAN/SANNI/MISA)、とする。


(左から右へ)U MA-MIMI RAKU-RA SAN-YO

 馬耳の、ラクダさんよ。


(右から左へ)SI-SAN RAKU-NI MINI-MAとU

 資産、楽に見にまとう。 


(エ)変形


 〇 右から2番目、RAKU系の合成記号を分解。中央をWA/U、上部及び左右の縦棒(2本ずつ)を2×3でNI-SAN、下部をTIとし、NI-SAN-TI-WA/Uと読む。すると、


(左から右へ)U MA U- NI-SAN-TI-WA SI-SAN

 羽毛、兄さんの家は資産。


 あるいは、U MA-MISA NI-SAN-TI-WA YO-SAN

 うま味さ、二、三日は、予算。


(オ)まとめ


 以上を繋げば、「羽毛のラクダを見よ。馬耳の、ラクダさんよ。資産を楽に見にまとう。羽毛で、兄さんの家には、資産。楽に、蔵に資産。(鞍に予算。しかし楽に舞うぜ、失せに。うま味さ、二、三日の予算)」。

「鞍に予算」との文脈から、動物の鞍の部分を残し、毛を刈り取った漫画が生きる。羽毛や毛皮を扱う職人の印章だろう。



(395)銅製小板。パルポラ(第2巻:パキスタン)の200頁、M-1457のA、B。表側には、目の回りそうな文様。裏側には、2行の文字列が描かれている。


(ア)上の行


 記号の音価につき、次の通り。


 〇 右端の合成記号: 「木」(KI/KO)と「穂先」(SE)の記号を合わせ、底部に横線(I/YA/SI/NO)を加えたものとして、(KI/KO)-SE-(I/YA/SI/NO)


 〇 中央右寄りの記号:「男」記号+ 両腕に縦棒なので、O/TO/OTO-NI/RA-(I/YA/SI/NO)。場合により、隠れたREを加える。


(右から左へ)


(KI/KO)-SE-(I/YA/SI/NO)O/TO/OTO-NI/RA-(I/YA/SI/NO) U/SENI WO

 背中を捕らえ、うお


(左から右へ)


 WO U/SENI O/TO/OTO-NI/RA-(I/YA/SI/NO) (KI/KO)-SE-(I/YA/SI/NO)

 嘔吐にし/大トラや、癒しの咳


 繋げば「背中捕らえて、『ウオ」。大トラや、嘔吐にし、癒しの咳」。


(イ)下の行


 4つの記号の音価は、次の通り。


 〇 左端(穂先に支線4本): SE-(YO/SI)


 〇 中央左寄りの「目」の重なる記号:「目」の重複部分に、WO/TAの記号が隠れており、中腹に3本の斜線があるので、(MEMA/MENI/MERA)-(WO/TA)-(SI-YA-I)


 〇 中央右寄りの「魚」記号:TA/(ME/MA-I-YA-SI-NO)。あるいは中央に縦棒があると見て、これにIを加える。


 〇 右端の「熊手」記号(5本指): (GO)+TE+(I/YA/SI/NO)


(右から左へ)


 TE-(I/YA/SI/NO) ITA/(ME/MA-I-YA-SI-NO) MERA-WO-(SI-YA-I) SE-YO

 やって、癒しの目まいだ。両目を癒しせよ。


(左から右へ)


 SE-(YO/SI) MERA-WO/TA-(SI-YA-I) ITA/(ME/MA-I-YA-SI-NO) TE-YA

 寄せし 両目を足しあい、癒しの目眩だって、や。

(あるいは)

 SE-(YO/SI) MEMA-WO-SI TA/(ME/MA-I-YA-SI-NO) TE-YA

 寄せ目、回し出し、目眩の手や。


 繋げば「やって、癒しの目まいだ。両目を癒せ」。「寄せた両目を足しあい、癒しの目眩だって、さ」。「寄せた目が、回り出し、目眩の手だ」。


(ウ)まとめ


 上下の行を合わせれば、「やって、癒しの目まいだ。両目を癒せ。寄せた両目を足しあい、癒しの目眩だって、さ。寄せた目が、回り出し、目眩の手だ。背中捕らえて、『ウオ」。大トラを嘔吐させて、癒しの咳」。

 実際、小板の表側の文様の曲線をなぞり続け、目が疲れてきた頃、急に目線を上げると睡魔に襲われる。酔っ払いなら嘔吐を催すのだろう。


(棒状の骨)


(399)棒状骨製品。パルポラ (第2巻:パキスタン)の248頁、M-1650A。両端に車輪の跡の様な模様があり、その間に7つの記号が刻まれている。


 〇 左端:「櫛」記号と「穂先」記号、両者を兼ねている。「羽」を5/(2+3)/(1+4)本と捉えて、KU/SE-(TE/GO/NISA/NIMI/IYO)。


 〇 左から2つ目の「牛」記号: (WA/U)-NISE。更に「目」の記号の上部が切れていると見做し、(WA/U/MA/ME)-NISE。


 〇 左から3つ目、「馬の顔」の記号: SENI-U。あるいは「目」の記号の上部が切れていると見做し、SENI-U-(MA/ME)。


 〇 中央の縦棒2本:NI/RA/SII/II。


 〇 中央右寄りの縦棒(上4本+下3本):SISAN/YOSAN/(7で)NA/ (3+3+1で)SANSAI。


 〇 右端から2番目:(両足の隠れた)斜線入りの「魚」記号と見做し、TA-(I/YA/SI/NO)。


 〇 右端:SAの中に「目」記号が2つ隠れていると見做し、SA-(MU/MA/ME) -(MU/MA/ME)。


(左から右へ)


 KU/SE-(TE/SIYO) (WA/U/MA)-NISE SENI-U-MA SII SISAN/NA ITA SA-MU-ME

 悔しいのは、癖で、馬の背に、産ませし、うまい資産、泣いたさ、寒め。


(右から左へ)


 ME-SA-ME (I/YA/SI/NO)-TA SANSAI II SENI-U ME-NISE KU/SE-(TE/IYO)

 目覚めん、卑しいのだ。散財と言い、失せに銭は、偽目で腐っていよう。


 以上を合わせれば、「悔しいのは、癖で。馬の背に産ませた、うまい資産。泣いたさ、寒めだ」。「目覚めろ、卑しいのだ。散財と言って、失った銭は、偽目で腐っていよう」。


 競馬にハマるな、財産を失う、との戒めだろう。左寄りの2つの記号、(WA/U)-NISEとSENI-Uが、並んで疾走する馬2頭の漫画を兼ねている。骨製品の左右両端には、相異なる方向で、車輪の跡の様な矢印が彫ってあり、中心を固定すれば、時計回りに回転しそうである。馬車を競争させたのかも知れない。

 なお左端の記号をNIKUSAと読めば、左からNIKUSA USENI(肉を失い)となり、動物の骨に彫ったこの作品にマッチする。素材が骨なので「肉芯/肉親」の戒め、とも解釈可能。

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