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第16話 異世界の再会1

「どちらの学校に通われているのですか?」


「近くの国立大学です。四月から二年になります」


 年上だったか。

 正直、西園寺麗華さんの年齢は、見た目で分からない。綺麗な化粧と決まっているヘアセット。高価そうな服とアクセサリー。年下とも年上とも取れる。

 でも、これで『高校生ですか?』はないか。

 その後、一時間程度、雑談して帰って貰った。


「ふぅ~」


 気が抜けた。僕にしては、良く話が続いたと思える。


『うふふ。随分と気に入られていましたね~』


 サクラさんは下世話だな。無視無視。

 戸締りをして、一息付いた。

 ここで気が付いた。


「夕飯の食材が何もない……」


 またコンビニに行くか? だが、このままでは、コンビニ飯から逃げられなくなりそうである。

 自炊しなければ……。

 スーパーはまだ開いているだろう。食材を買いに行くか。

 立ち上がった時であった。


『ストアは使わないのですか?』


 一瞬頭が真っ白になった。こっちの世界でもストアは使えるの?

 ステータス画面を思い浮かべる。

 目の前に、ステータス画面が浮かび上がった。


「……まじ?」





 まず、米十キログラムを購入した。

 異世界の米……。味が心配だが、おにぎりやお弁当は大丈夫だったのだ。食べられるだろう。

 それと、一人前の野菜と魚介類を購入。それと、調味料各種も。

 炊飯器がないので、フライパンで米を炊かなければならない。

 今日は、パエリアにすることにした。

 家庭科の授業は真面目に受けていたので、簡単な物は作れる。まあ、一人でグループ全員分の食事を用意させられていただけだけど。

 手早く調理を済ませて、味見をしてみた。


「異界の食材でも、味には問題ないのだな……」


 とても美味しく調理出来た。少し残して、明日の朝食に回す。

 明日は、家電を買いに行こう。炊飯器と電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機は欲しい。

 歯を磨いて、スマホのニュースを確認して寝ようとした時であった。


『少し良いですか?』


「ん? なんでしょう?」


『今日助けたあの子が、また大森林に一人で入って来ました。怪我をしているので逃げて来たのでしょう。助けに行きますか?』


「え!?」





 急いで着替えて、武器防具を揃える。

 夜間は、魔物が動かなくなるとはいえ、こんな森に女性一人は危険だ。


「サクラさん。モニカさんの状況を教えてください!」


『……左腕を切られていますね。逃げて来たのでしょう。それと、優莉さんを頼って大森林に入って来たのだと思いますよ?』


 ……。自分が出せる最高速度で森を進んで行く。フリーランニングだ。方角は、サクラさんが指示してくれるので、迷うことはない。

 体感時間で一時間くらいだろうか。モニカさんの場所に着いた。

 無駄な戦闘がなくて本当に助かった。


「はぁ、はぁ……」


「……ユーリさん」


 良かった。モニカさんは無事だった。気が抜けたのか、僕はその場に尻もちをついた。


『感動の再会のところ悪いのですが、追手が迫っていますよ~』


 っぐ! ストアからポーションを購入して、モニカさんの左腕にかける。出血が止まった。

 そのまま、お姫様抱っこ!

 急いでその場を後にした。





「はぁ、はぁ……。ここまで来れば、追手も撒けたでしょう……」


 大森林の真ん中……。ログハウスまでは、まだ距離があるが、その途中で足が止まった。

 体力の限界であった。全速力で走るとスタミナが切れるのだな。こうなると、ステータスの極振りは問題があるかもしれない。

 筋力・体力・速度は、バランス良く上げた方が良いかもしれないな。

 他の項目が付いて来ないと、最大のパフォーマンスは得られないだろう。

 そんなことを考えながら、モニカさんを降ろして、一度休憩を取る。


『サクラさん。追手はどうなっていますか?』


『まだ、大森林で探していますが、距離は大分あるので大丈夫でしょう。モニカさんには、追跡魔法も掛けられていませんね』


『ログハウスに連れて帰っても大丈夫でしょうか?』


『優莉さん次第ですね。優莉さんが許可すれば入れます。でも良いのですか。そんな若い子を連れ込んで~』


 赤面してしまう。

 そうだ、何も考えていなかった。

 モニカさんを見ると、赤面しながら両手で体を守っていた。

 咄嗟のこととはいえ、抱えてしまったのだ。

 僕なんかに触られるのは、非常時とはいえ嫌だっただろう。


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