藍人
藍人
嗚呼、藍色の君を思う。
無邪気に野を駆けたあの日、学問を志したその時、砕け散ったいつの日か。
僕が刻んだ千の昼と万の夜、その日、君を想う。
一度たりとも同じ顔を見せなかった君を想う。
水で出来た羽衣を纏う小洒落たあの日。
とこしえの闇と悠久の光を放つ派手なドレスを纏ったその日。
そして、何も着飾らなかった様に思えるいつの日か。
千の夜と万の昼、いつも藍色の君がどこか居た。
きっと藍色の君を思う。
いつか、一人の人を愛し、忘れてしまうだろう。
いつか、合成の笑顔とともに惑わされてしまうだろう。
もう一度は無いけれどきっと。
気づかずとも傍にいてくれた昔のように。
他の誰でも、何でも無い、たった一人の君を想う。
何時かの日から少し先の未来まで。
悠久とも思える人の道が終わるまで。
君は僕の藍人であると信じて。