表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/17

少し近いのは気のせいかしら?

屋敷から街まではそれなりの距離があり、馬車に乗り込むことになったのはいいのだけど……

ナチュラルに隣同士に座ったサミュエルを見る。

先ほど靴を履いていなかった私に跪いて楽しそうにメイドの靴を履かせたり、今も既に座ったというのに、いまだ嬉しそうに私の手を握っているのはなぜなんだろうか?

それに、正面も空いているのだからわざわざ隣に座る意味がわからない。


「サミュエル、狭くないかしら?」

「全然。むしろ、広いぐらいだよ。もう少し小さい馬車を購入してもいいかもしれない」

「そ、そう……」


キッパリと言われてしまうと文句も言えなくなってしまう。

困ったなぁ……孫とはいえ、あの人によく似てるんだもの。顔が赤くなってしまうわ。

戸惑いを隠すように、顔を背けて窓を見る。


「わぁ……!」


黄金になびく稲穂。ゆっくりと回る風車。

穏やかに稲を刈る人々と生き生きとした馬や牛たち。

変わらない、幼い時から見てきた景色が懐かしくて歓声を上げる。

そんな私の様子をサミュエルは嬉しそうに見ていた。


「もうすぐ着くよ」

「え、もう?」

「はい。おば……いや、優里亜が外に夢中になっている間に着いちゃったんだよ」


ガッタンと馬車が止まる。

馬車の扉が開き、サミュエルが先に降りて私を促してくれる。


「さあ、どうぞ」

「これが、あの街なの?」


建物は煉瓦造りになっており、道は石畳と美しく整備されている。

私がいた頃とは全く違う風景がそこにはあった。


「新しい陛下が一番最初にしたことが道の整備だったんだ。で、そこに街が新たに作られたの」

「そ、そうなの」

「綺麗でしょう?」

「ええ」


幼い頃のサミュエルが知っていることを話してくれる時と変わらぬ笑みでいうのがおかしくてくすりと笑ってしまう。


「さあ、服屋はこっちだよ!」

「待ってちょうだい」


サミュエルに引っ張られ、歩き慣れた平な道じゃない、でこぼことした地面に足を取られる。

バランスを崩しかけたのをサミュエルがさっと庇ってくれた。


「ごめん、優里亜と一緒に歩けるのが嬉しくて……つい」

「いいえ、大丈夫。でも、ゆっくり歩いてもらえるかしら?」

「うん!!」


しょぼんと落ち込んだ様子のサミュエルが可愛くて、お願いすると彼は嬉しそうに再び歩き始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ