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3話 学園都市クロスロード

 目を覚ました2人は朝食を軽く済ませると、すぐに洞窟を出発し次の町を目指した。

 樹の手には昨日得た日本刀が握られている。

 あの戦闘以来、”黒椿”から声が聞こえてくることはなかった。

 そんなことを考えていたら、横から由芽が声をかけてきた。

「おにいちゃん、その刀は?」

「ドレットと戦える武器らしい。まだはっきりとはわかってないんだ……」

「使ってて大丈夫なの?

「たしかに危険な部分もあるかもしれないけど、今は戦える力がこの刀だけだから……」

 そう伝えると不安そうな表情をしながらもうなづく。

「わかった、でも無理だけはしないでね」

「ああ、約束だ」

 

 そうこう話しながら半日ほど歩いたころで景色がガラリと変わり、だんだんと高層の建物などが6角形の壁に守られた都市が見えてきた。

 学園都市クロスロード。

 ドレット出現以来急ピッチに作り上げられた専門機関だ。

 クロスロードは、学園都市と言われているだけあって若者にはその門を広く開けている。

 学園に入学すると寮生活になり、食と住に困らない。

 またクエストを受けることによって報酬が出るため、身寄りのない孤児には最後の砦となるのだ。

 由芽と2人の目的地は一定期間安全に暮らすことができるここに入校することだったのだ。


 学園都市クロスロード唯一の出入り口でもある入校エントランスに近づくとそこには入校を希望する長蛇の列ができていた。

 クロスロードには厳重なセキュリティーによって管理されているものが多くあるため、エントランスでは武装した警備兵が立っており、その先でさまざまな検査の順番を待っているようだ。

 しばらく待っていると「次の方」とだいたい20分ほど待っているとようやく順番が回ってきた。

「今回はどのような目的でこちらへ?」

 そう訊ねてきたのは、20代ほどの女性だった。

「えっと、こちらの学園の方に妹と一緒に入学させていただければと思いまして」

「入学希望の方ですね。それでは一時パスポートを発行いたしますのでこの機械に右手を開いておいてください」

「わかりました」

 手を置いた瞬間体中に微弱な電流が走った。

 隣では、由芽も同じようで首をかしげている。

「今電流が流れた気がしたんですが?」

「……うん」

 職員の女性に訊ねる。

「初めての人はびっくりしますよね! 検査用の精霊がこの装置に含まれていてそれが体をめぐることで微弱な電流が流れて生体情報を収集するんですよ!」

 その女性は少し興奮気味に教えてくれた。

「やっぱり精霊研究がいろいろ進んでるんですね」

 女性職員はにっこりと微笑み、パソコンに受信したデータを確認していく。

 二人のデータを確認しているから時間がかかるのだろうかなどと考えていると「えっ!」という声が聞こえてきた。

「どうかしたんですか?」

 由芽は、少しびくつきながら首をかしげている。

「すみません、もう少々待ってもらえますか?」

「ええ、それは構いませんが……」

 僕がそう答えると女性職員は、慌ててどこかに電話をかけ始めた。

 

(私のことに気が付いたみたいね。それと妹さんが持っているペンダントにも)

 突然今まで黙っていた黒椿が意識を飛ばしてきた。

「おにいちゃん……」

 心配そな目でこちらを見てくる由芽に対して「大丈夫だよ」と言って頭をなでる。

(それで気が付いたって、どういうこと?)

(私は今まであそこに封じられてきたの。今まで未発見だったものが急に目の前に現れたら驚くでしょ?)

(そうか、完全体の精霊武器はほとんどがここで管理されているから……。でもペンダントって?)

(それはおいおい話すわ。それにあちらさんも来たみたいよ)

「お待たせしました。学園の上のものが話をしたいということですので、一緒についてきていただけますか?」

 女性職員が電話を切りこちらを向くとそう話しかけてきた。

 学園の方からは一台の車が走ってきているのが見えた。

「いいですが、話は長くなるのですか?」

「少し長くなると思いますが……」

「朝食から何も食べていないので先に食事させてもらえませんか?」

 女性職員は、少し困った表情を浮かべた。

 すると到着した車から1人男性が出てきた。

「食事の方はこちらで準備させよう」

 その人物の登場に女性職員を始め、警備兵までもが背筋を伸ばした。

「学園長!!」

 どうやらここの学園長である皇和人のようだ。

 自分たちがいくら孤児だろうと一度は名前を聞いたことがある人物だ。

「食事をしながらその剣とペンダントについて少々聞きたい。学園の入学は希望どおり無条件で許可しよう」

 一度由芽を見てから和人に聞き返した。

「剣はともかく妹のペンダントについて聞きたいこととはなんですか?」

「そうか、そのペンダントについて君たちは何も知らないのだな。とりあえず食事をしながらでも落ち着いて話をしよう」

 お互いにうなずくと「わかりました」と答え護送車に乗り込んだ。

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