豚王
佐藤を始めとする4人は、鉄仮面らに案内されるまま、城の地下深くへと進んでゆく……
城の地下は肌寒く……まるで迷路の様だ………
ガシャン……
ガシャン……
鉄仮面達の歩く音だけが響いている
……………………
そんな最中……佐藤は常に神経を研ぎ澄まし……臨戦態勢だった
鉄仮面は物腰は柔らかいものの……その反面…得体の知れない危なさを放っている……
2人の側近も恐らく戦闘能力は高いだろう
いつ戦闘状態になってもいいように、佐藤の右手には鉄パイプがしっかりと握られていた
「佐藤さん♪それ……気に入ってるみたいですねっ♪」
マオはこんな状況でも、いつもの様に佐藤に話しかけてくる……
「ホントはもっとマトモな武器がいいんだけどな……」
「大丈夫ですよー♪いざとなったら…また"burning speed ball"を付与してあげますから♪」
「…………ああ………次はもっと強いヤツ頼むわ……」
その時……マオとの会話を遮る様に……佐藤はバーニングに引っ張られた
(??)
顔を近づけるバーニング………
(おい………佐藤……)
バーニングが誰にも聞こえないような小声で佐藤に呼び掛けた
「………何だ?」
(お願いがある…………)
「何だ?」
(豚王と対面したら……合図をするから………サラとマオさんを連れて……できる限りその場から離れてほしい……)
「…………は?………」
(頼む………一生のお願いだ………)
「何…企んでやがる…………」
(ワタシには秘策があるんだ……………)
…………………
(何だよ………それ?)
佐藤も小声になった
………………
(詳しくは言えない……すまない………でも信じてくれ………)
(………………)
………………
(頼む………佐藤…………)
(本当に大丈夫なんだろうな?)
(ああ)
………………
(…………わかった)
(…………すまない………恩にきる………)
……………
佐藤は……「きっと危ねぇ魔法でもかますんだろうなぁ……」と考え……断ろうと思ったが……
……………………バーニングに好きな様にやらせてから、豚王と戦う方が合理的なんじゃないか……とも思った……
……バーニングが何をするかはわからない……
しかし、少しでもバーニングが体力を削ってくれれば、その分……豚王を倒しやすくなると考えたからだ……
そして何より……ここまで来た以上……バーニングには悔いを残してほしくない……その気持ちが佐藤の中では1番強かった
……
……………
…………………………
鉄仮面と側近は…ある扉の前で立ち止まる
「この奥に豚王様はいらっしゃいます…………
どうぞ……お入り下さい」
側近が扉を開いた………
………
「やあー!いらっしゃい!どーも初めまして………豚王です♪」
そこには、豚のマスクを被り……鎧に身を包んだ"豚王"が………座っていた玉座から立ち上がり、歓迎するかのように……4人を迎えた………




