大きなお城
「くるまって凄いねー!はやいねー!」
サラは嬉しそうだ
「初めて乗ったよ……車……こんなに速いんだな……」
「これなら……明日には着くんじゃないでしょうか………?」
バーニングとマオも感心している
このバスは運転席と客席が完全に分かれており……運転席にはどんな人がいるのかはわからない造りだった……
しかし、運転席からは…たまに話し声が聞こえてきたり……休憩で停車する時は、割りと優しく話しかけてくれたりもする、途中休憩の際の乗り降り等で、少し運転席が確認できるのだが、運転席にいる2人も仮面を被っていた……
「佐藤さんの世界には……車はあったんですか?」
「………ああ…………車だらけだ」
「そうなんですか!?……凄い世界ですね………」
「……………それよりよ…………」
佐藤は視線をマオからバーニングに移す……
「なんだ?佐藤?」
「なんでオマエはそんなに豚王に固執するんだ?」
「………………………」
「言いづらいなら無理には聞かんけどよ」
「………いや………少なからず皆を巻き込んでいる以上……答える義務がある………」
「別に俺は巻き込まれちゃいねーけどな」
……………………
「…………ワタシには年の離れた姉がいる………姉も魔法使いで、当時かなり上位の魔法使いだった……まだ小さかったワタシは、姉に憧れて魔法使いを目指した……
その頃はまだ豚王は存在していなくて……細かい魔法使い同士の争いとかはあったけど……今よりはまだ平和だったよ…」
「はいはい」
「当時……この世界は"王"という存在によって統治されていて、基本的には皆……王に従う事で大きな争いも無く、平和……と言うか……統制が取れていた……
皆、なぜ王に従うかというと、王の配下には強力な上位魔法使いが何人もいたというのと……王は常に皆がどうすれば争いが無く…平和的な生活できるかを本気で考え、それを実行していたからだと思う……そして王の配下の魔法使いの1人が…ワタシの姉だ……」
「………………………」
「そこに豚王が現れた…………
急に現れたよ……ホントに………
豚王は1人で……………王の配下の魔法使い達を力で屈服させた……
そして王も行方不明………
新たな"王"に1日で君臨してしまったよ……」
「…………すげぇ話しだな……」
「もしかしたら……まだ姉は生きているかもしれない………生きているなら姉を助けたい………そして………アイツを倒して…昔の世界を取り戻したい」
…………………
「……でもよ……そんな強いヤツ………無理とか思わんかったん?」
(…………………)
「…………思ったさ……でも……………………
今は負けを覚悟で行こうとしている訳じゃない………」
「………………ふーーーーん…………………」
佐藤はバーニングに少しの違和感を感じたが……突っ込みはしなかった
………
………………
……………………………
そして……しばらくの間バスに揺られ続けた4人は、とうとう豚王がいるという"P,O,E,"へ到着する………
「………デカイ…………」
P,O,E,は……それこそRPGに出てくる様な大きな…大きなお城だった……
間近でみるとその迫力に圧倒される……この巨大な城を見る限り、豚王がただ者ではない事は容易に想像できた……
そして回りはまた巨大な塀に囲まれており、門の様な入口があった……そして、そこには仮面をつけ…全身を重たそうな鎧に包んだ門番が5〜6人いる……
門番はバスを確認すると、2人かがりで開門する為のチェーンを引っ張り……それによってゆっくりと入口が開いてゆく………
「ロボットいたり車あったりするのに、入口は手動かよ………なんだこの世界はよ………」
佐藤はボヤいている………
入口が完全に開ききると、門番の合図に従いバスはゆっくりと塀の中へと入っていった
………
………………
バスは広い城の入口に停車
そこには鉄仮面と、その側近とみられる大柄で鎧に身を包んだ戦士が2人立っている……門番達とは全く違う……高級感のある鎧で、位の高い戦士の様だった
「お待ちしていましたよ、皆様……
豚王様がお待ちです………」




