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会話するということ その1

要約:コミュ障はまず上手な聞き役、つまり空気になって空気を読めるようになりましょう

 人とコミュニケーションを取る一番手っ取り早い方法は何か、と問われれば多分私は『会話をすること』と答えます。文章が読み書きできずとも、言葉が通じてさえいれば口を動かすだけで可能であり、紙や機械を必要とせずにカロリーと時間だけしか消費しないので非常に低コストです。


 ですが、単に自分の頭の中をべらべらと喋るのではなく、何か目的を持って話そうとするとその簡便さに反比例するかのように難易度が高くなると感じられます。例えば誰かに何かをわかりやすく伝えるためだとか、相手と仲良くなるための会話だとか、議論をするための会話だとかがありますでしょうか。


 そういった会話をするための『技術書』のようなものが書店や通信販売などでよく見かけられる以上、そういった技術に需要があることは確かですので、元コミュ障である私が、どのようにして初対面の人間が相手でも一定以上に良好な関係を築けるようになったかを基にして会話についての私見を書こうと考えた次第です。


 さて、相手と良好なコミュニケーションを取る前提として一番重要な事は『会話の相手が自分に対して悪意を持っていない』ことです。相手も自分と楽しくコミュニケーションしたいと考えているのが最上(さいじょう)ですが、せめて相手が自分に対して無関心という程度ではあって欲しいです。


 仮に相手が悪意を持っている場合、一番して欲しくない対応を積極的に行う可能性が高く、仮にあなたがコミュ障だと自覚があるとするならばトラウマになってしまう可能性すらあります。『相手が自分に無関心な場合も大変なのでは』と思われるかもしれませんが、その場合は『その場ではその人と会話を行わない』という選択肢も存在するのです。それではコミュニケーションが取れないではないかと思われるかもしれませんが、全ての人間と仲良くなることなど不可能です。さらに言えば自身がコミュ障であるのに、無関心な相手とコミュニケーションを取るのは難易度が高すぎると思われます。下手に関わって関係を拗らせるよりも、まず自身がコミュニケーションを問題なく行えるようになってから彼らへの対応を改めましょう。


 本題に入ります。コミュニケーションの初歩、会話をする時に重要なのは何なのか。それは『相手を楽しませること』です。何を当たり前なことを、と思われるかもしれませんがこれは非常に重要なことなのです。例えば相手が興味を持ちそうな話を面白おかしく、要点を掻い摘んで話し、相手の反応を窺いながらどこまで話すべきか判断するというのはコミュ障にとっては超が付くほど高難易度と言っても過言ではありません。


 それが出来ないからこそ、例えば会話のきっかけとして質問されただけなのに、今行われている会話の話題の一つとしてちょっと取り上げられただけなのに、相手の様子も見ないで捲し立てるように自分の好きな分野の話を興奮して早口で話すオタクが後を絶たないのです。もちろん相手はその話題に大して興味を持っていないことに加え、話している内容もてんでつまらないのでちっとも楽しくありません。その結果、そのオタクは『コミュ障』の烙印を押されます。


 では自身の興味のあることしか詳しくなく、そのことを面白おかしく話すことも出来ず、面白いボケも言えないコミュ障はどうすれば相手を楽しませることが出来るのでしょうか。答えは『聞き役に徹する』ことです。単に相手の話に相槌を打つだけの簡単なお仕事ではありません。相手に気持ちよく話をさせるために気を払いながら聞き役になるのです。


 仮にあなたが話をしていたとして、とてもつまらなさそうで相槌も適当で話を聞き流しているのが丸わかりな相手と、こちらの目を見ており、話もちゃんと聞いているように見えて、要所要所で質問をして話を促すような相手と、果たしてどちらとまた会話をしたいと思いますか? 恐らく多くの人が後者を選ぶでしょう。


 話が前後してしまいましたが、私が思う良い聞き役とは的確な質問とリアクションをしてくる聞き役です。基本的に人間は語りたがりですので、質問されて嫌に思う人は居ないでしょうし、大抵はより熱心に語ってくれるはずです。但し気を付けるべき点はいくつかあります。質問をしたにも関わらず、質問の答えを聞いても相槌が適当では『失礼なヤツだ』と思われてしまい意味がありません。多少大げさになっても良いので『あー、成程! そういうことね!』とでも返しましょう。あまり大げさすぎると今度は『気色悪いヤツだ』という評価を下されるので注意は必要ですが。次に、同じ質問を何度も行わないことです。その一連の会話だけでなく数日前にした質問も出来れば避けるべきです。何度も同じ質問をしては『またそれか』と思われますし、『本当にこいつは俺の話を聞いているのか?』と思われてしまいます。最後に、話が一段落してから質問を行うということです。話の途中で質問をされては話の腰が折れてしまいますし、話のオチのネタバラしになる可能性もあるため、相手の話を一度最後まで聞くべきです。もちろん、それが分からなければ先の話が全然理解出来ないような場合は話が途中であっても質問する必要がありますが。


 また、質問をしたり相槌を打ったりするときには早口すぎたりしないように気を付けるべきです。会話とは自分が喋って終わりではありません。相手が聞き取り、その意味を理解してもらって初めて意味があるのです。早口すぎて聞き取れないのは論外です。


 そのように相手に上手く話させ、周りの集団に埋もれて極力自分は話さず、周りのリアクションを見習って的確なリアクションを返せるようになれば少なくとも『空気が読めないヤツ』という評価を下されることはなくなるでしょう。


 会話上手になるにはまだまだやるべきことは大量に残っていますが、そのためにはまず『空気が読める』ようになる必要があります。空気が読めるようになれば、例えば先のオタクのように自身の好きな分野を語っていたとしても、『あ、この人つまらなさそうにしている』と分かるようになり、ほかの人の話し方を真似して上手い具合に話を切るという芸当も可能になります。それが上手くできなかったとしても、『話を切ろうとしている』ということが伝われば相手から別の話題に切り替えてくれるかもしれません。


 ずっと意識することはできませんが、とにかく会話においては『相手を楽しませる』ことを意識するのが重要です。自身が語っている最中でも一度相手を見てやってください。苦笑いしていませんか? つまらなさそうにしていませんか? 相手がどう思っているかもわかりませんか? 自分が喋る側になるとつい夢中になってそういったことに気を配りにくくなります。だからこそ相手に喋らせるのです。喋っている時は大抵楽しくなるのですから。

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