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一体何が起きているのか?

 それにしても、よく落ちないものだとマミは思った。


 ドラゴンの口に咥えられているとはいえ、いわゆる猫の背中つまみ状態なのだ。


 服を口に咥えたドラゴンは悠然としたままの状態で空を飛ぶ。


 前世を思い出せば、飛行機の外にいるようなものだろう。当然すごい風が周りを吹き荒れているはずなのだが、マミの周りは穏やかだったし、落ちようにも服が破れる気配もない。何かにそっと包まれているそんな気分だった。


 不思議だ。


 だから、周りを見てしまう。最後の思い出にこの世界を見てします。


 ふとどこに連れていかれるんだろうと疑問もあった。


 ドラゴンってやっぱり山奥のダンジョンなんかに住んでいるんだろうか?


 前世の記憶にある小説で、ひよっこパーティなのに山の中のダンジョンでホワイトドラゴンに出会い、主人公が頼んだからついてきたというもふもふのかわいいホワイトドラゴンを思い出す。それから、ゲーム好きなブラックドラゴンも山の中のダンジョンに住んでたっけ?


 もしかして、このドラゴンも山の中のダンジョンに行くかなあとなんとなく思った。


 巣穴で食べるのだろうか?


 ああ、やっぱり二度めの人生はたった10歳で終わりを迎えるのかと思うと情けない。


 モブでも良かったよ。いつか村娘Aは村人Bと結婚して、慎ましやかな生活をして子供が生まれて

子育てに追われ穏やかに年を取り終わる人生。どこにでもある退屈な人生だけれど、意外とそれを手にするには難しいのかもしれない。


 マミの前世にしたって、30歳の誕生日に浮かれた挙句に事故であっけなく亡くなったのだから。



 唐突に空の旅は終わった。



 目の前に大きな屋敷の庭にドラゴンは降りるとマミを優しく地面におろした。


 それから、ブルんと体を震わせると一人の男性に姿を変えてって・・・


 懐かしい黒い髪。そうだよ。日本人ならみんな黒い髪だった。生憎とマミのいた村は、西洋系なんだろうなあ、金髪に青い目の人が多かったから。だから懐かしかったのだ。


 懐かしくて思わずその長い黒髪を撫でてしまった。



 失敗だったかも



 元ドラゴンだった男は自分が連れてきた少女が、まさか自分の髪をなでるなどとは思わなかったのだろう。不意に小さな手が髪をつかみ、懐かしそうに撫でているのを最初はぎょっとして、その後は奇異な目て見ていた。


「お帰りなさいませ、旦那様」


 いきなり聞こえた声は、丁寧だけれどもブリザートが吹き荒れそうな低い怒りを必死に抑えているような口調だった。


「その方はどなたですか?」


「うん、くれるっていうから貰ってきた」


 ああ、そうだっけとマミは思い出した。


 自分は生贄に差し出された身なのだ。


 って、おい、なんだその「くれるっていうから貰ってきた」って。確かにマミを生贄にささげたのは村の方だけれど、涼しい顔して立っている元ドラゴンの男が村の近くの森にいきなりドラゴンの姿で降りてきて、慌てた村人たちに「いい匂いがするから気になった」って言ったのはお前じゃないかっと突っ込みたい。


 そのいい匂いの元がマミだと判明された挙句に、生贄に決まり、ドラゴンに差し出されたわけだ。今世の両親は泣きもしなかった。それよりも、食物連鎖の頂点に立つと思われるドラゴンに早く村から消えてほしくて、夢中で村人たち全員で嫌がるマミをドラゴンの前に差し出したのだ。


 それからは誘拐もとい生贄を喜んでお持ち帰りしたのは、目の前の元ドラゴンだった男である。



 執事、たぶん執事だろうなあ、執事カフェに入ったことがないけれど、映画とかで見る執事によく似た格好の壮年の男は呆れたように自分の主人と主人の髪をつかんで離さない少女を見つめて、思いっきり溜息を吐いて、近くに控えていたらしいメイドなんだろうなあと思われるお仕着せの服を着た女性にマミを任せ、男を連れてさっさと家の中に入っていった。



 メイドさんだよね。メイドカフェに入ったことはないが、たぶんメイドなんだろうなあ。そういえば、前世でアニメで見たメイドさんの恰好にそっくりだ。あのアニメはよかったなあ、身分違いの恋って萌えるよね。そのあと、母親もお気に入りになって、マンガを全巻大人買いしてたっけ。



 お風呂に入れられて、じゃぶじゃぶ洗われて、なんかこう、犬や猫の子を洗っているようなそんな感じに思えたのは気のせいだろうか?


 10歳の力では到底かなうわけもなく、嫌がって逃げようとしても犬や猫の子を抑えるようにして、きれいに洗われて、ごしごしとタオルで拭かれて、ワンピースもどきな服と靴を着せられた。もちろん、今まで来ていたみすぼらしい服と靴は焼却処分なんだろうなあと思ったよ。


 どう考えても、主が気まぐれに拾ってきた犬や猫の子をきれいにしたよって感じに見える。



 いや待て、何で気づかなかったんだ。ドラゴンが人間になれるなんて!!



 今さらながら気が付いた。ドラゴンはドラゴンのままじゃないのか?



 う~~んと考え込んで、またあの小説を思い出した。ひよっこパーティのマスコットになったホワイトドラゴンには母親がいて人間に変身したんだっけ。



 そうか、そうか、この世界はたぶん前世で言うところの異世界のファンタジー、さすがに何でもありなのかもしれない。


 ということは、魔法もあるんだろうかと思いっきり期待してみたマミだった。


 人生が詰んだつもりが、なぜか、食べられる気配はなく、犬や猫の子扱いでも、生きてられるならいつかはこの世界を見てみたい。



 そう思ったら、いきなりさっきの元ドラゴンの男が入ってきて、マミの手を引いて窓からふわりと飛び降りると、また、ドラゴンに変身してマミを口に咥えて空に舞い上がった。


 男のあとから、たくさんの人が慌てたように出てきたが止める間もなく、ドラゴンはさっそうとその場を逃げ去った。



 またドラゴンに口に咥えられて猫の背つかみにされたマミは、今度こそ人生が詰んだかもとがっくりとうなだれた。

まだお話の骨格しかできてなくて、全体的なお話を具体的に作っていないので、とりあえず、まださわりだけです。本当ならいろいろとプロットを作って話を作るんですが、今回は行き当たりばったりですね。


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