仙台駅、爆発
『速報です。今日内閣法務省により発表された法案によりますとラーメンの値段が本日より10.5倍になるそうです。以上ニュースでした』
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「はは、はははは、何を馬鹿な。ラーメンの値段が? 10.5倍? 本日より? 笑っちゃうよなぁ綾。しかも10.5倍だってよ、何が10.5倍だよ普通に10倍にしとけよって話さぁ、笑っちゃう笑っちゃう。さあ笑い話はあとにして会計に行こうぜ。まあ俺たちはタダだけどな、だあっはっはっはっは」
「6300円です」
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「見ろよ綾、この店員の冗談めいた顔を。え?とてもじゃないが冗談を言っているようには見えないって?やだなぁ(笑)見ろよこいつのこぎれいなユニフォームを。こいつはまだ野球でいえば二塁ベースにスライディングもしたことのないド素人のペーペーよぉ。きっと今日この店にアルバイトにでも来たまだ新米さんの店員にちげえねえってことよぉ。お固くなって笑顔もぎこちなくなる理由も分からなくもないよな。そうだろ?さあ店員さんもう一度聞くぜ。おいくらですか?」
「6300円です」
「綾。バッドあるか」
「はい」
バキッ
「綾のホラ吹き野郎!何がタダだよ。何がサイン色紙だよ。全然通用しねぇじゃねーか。おかげで俺たちはラーメン代踏み倒した上に店員をバッドで殴り倒した食い逃げ犯だよ!どうしてくれる!」
「新しいガム買ってあげるから」
「ガムに新しいもくそもねーよ。新しいガムしか噛まねーんだよ、そもそも」
俺たちは走る。とりあえず我らが根城仙台駅駐車場に足を運ぶしかなかった。
仙台駅ヨ〇バシ〇メラ立体駐車場にて。俺たちは熟考する。
そして呆然とし
やがて
発狂する
「発狂ぅいのこった!」
「いや綾さん。今はそんなこと言ってる場合じゃないですって。ヤバいですって。てーってってって~~~~♪」
「宗一の方が発狂してるじゃないの」
「いやいやいやいや、何をおっしゃるやら、俺は常に冷静ですよ、レ・イ・セー。とりあえずこれからどうする?」
綾は身を乗り出し、片目を瞑り、手で作った銃を構えたあと、極めてレ・イ・セーなことをのたまった。
「…………銀行強盗」
何をおっしゃるやらあああああああああ!ヤバい、ヤバいぞすでに綾はそっちの道に走りつつある。そっちの道?そっちの道?窒素の道?奥の細道?いやいや、細の奥道。って何考えてんねん。ひっひっふー。ここは得意のラマーズ法で事なきを得ねば。
「綾さん綾さん、銀行強盗ってヤバいですって。いやそもそもなんでギンコーゴートー?発想が宇宙過ぎて分からんですよ」
「分からんのか。ラーメン屋→店員→バッド→銀行強盗。つまりそうゆーこと」
いやいやいやいや、つまりどうゆーこと?分からない分からない宇宙の問題難しすぎて分からない。せめて地球レベルの問題にしてもらわないと。
「わかった。それを地球的に言うと?」
「ワレワレハチキュウジンダ」
予想通りだよ。何のひねりもないよ。これだったら内村航平の方がまだひねってるよ。
「シカシ田中ノコトモ好キダ」
いやいや意味不明、意味不明だから。
「ああ、そうだな俺は児島のことも好きだ。しかしそんなことはこの際どうでもよし。これからの俺らの未来のことを考えよう」
「うーん、とりあえず盗んだバイクで走り出したらどうかな?」