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第三話 始まる物語

「ひゃっ!」




後ろからいきなり腕を掴まれた。




朝妃の声に美形二人はこちらを向く。




「お前っいつの間にっ…」



「あっ!おい!!その子放せよ!!」




あたしは…何故かさっきまで怯えて座り込んでた男に捕まっていた。




あんたまだ動けたのね!!


何て感心してないで…。




はぁ…と短いため息と共に、後ろに居る男に怒声を浴びせる。




「ちょっと、放してよ。腕痛いんだけど」




男は震えていたが、腕の力は弱めてくれそうになかった。




「この女は持って帰るんだよ!!隙を見せたのが悪かったなお前等!!」




持って帰る!?

ふざけないでよ!!

誰があんたなんかにお持ち帰りされなきゃいけないのよっ!!




「放して!!聞いてんの!?」


「おい」




ビクリと男の体が震えた。


男の人がもの凄い低い声で呟いたから。




「そいつ放せよ、ほんとに殺されてーのか?」




鋭く光った薄紫色の瞳が男を捉える。



男はその声にまた怯え、腰からナイフを取った。




その瞬間――。




あたしは男に肘打ちを食らわした。




うっと、くぐもった声が聞こえたが気にせず、振り向いて腹に一発。




ドスッと鈍い音が聞こえたと同時に、男は目を白くして下に倒れた。




「まったく…放してって言った時に放してよ」




パンパンと手を叩いて、美形二人の方に振り向く。



二人は固まってあたしを凝視している。




…あ、ついやっちゃった。



「えっと…」




まずは周囲の人に謝らなきゃね!




「お騒がせしてすいません!もう大丈夫ですから!!」




あたしは頭を下げながら周囲の人達にお辞儀をしていく。



周囲の人達も固まったままだ。




まずいと思い、あたしはすぐに美形二人に向き直り、頭を下げる。




「助けてくれてありがとうございました!!ではこれでっ!」




ダッシュでこの場所から離れようとした時…。




「…あっ待ってよ!!」




後ろから抱きつかれてしまった。




「えぇ!?」



な、何!?




あたしは金髪の美形に抱きつかれてた。




「怪我とかしてないのっ?」


「へ…?」




怪我…?怪我なんてしてないけど…。




「大丈夫だよ」



「そっか…良かった!」




うぅぅ!そんな瞳で上目遣いしないでください!!

かっこ良いから!!

いや可愛いから!!




と一人葛藤していると、剣のカチンッという音が聞こえた。



見ると、どうやら剣を腰に収めた音らしい。




男の人はこちらを向き、歩いてくる。




あたしに抱きついてた男の子は、それを合図に離れた。




「カムイ、無事だって。カムイが守ったからだよ」



「レイン、そうやって無闇に抱きつくな。ったく…」




カムイとレイン…。



薄い赤色の髪をした男の人がカムイで、金髪の可愛い男の子がレイン。




カムイはあたしに視線を向け、小さなため息を吐いた。



「お前…今のは凄かったな、女のくせにやるな」



「えっ?」



「そうだよ!!さっきのは凄かった!一瞬の内にあいつ倒しちゃうんだもん!!」




あぁ…それは…。




朝妃は、実は父から武道を習っていたのだ。




痴漢撃退用に。




それがこんな所で役に立った。




「ねぇ!名前何ていうの?教えて!」



「えっと…朝妃…」



「アサヒ?可愛い名前!」




いえ、あなたの笑顔の方が可愛いです。




「カムイ!!アサヒを一緒に連れて行ってもいい?」



「えぇ!?何言って…」



「また襲われた大変でしょ?一緒に行こう!アサヒ!!」




ど…どうしよう。



あたしはお兄ちゃんを探しに来たんだけどな…。



一人は危ないけど探しやすいし…。



…ここは断っておこう!!




「あのっ…!」



「あぁいいぜ」




えっ!?




「お前は言う事聞かないからな、それに…俺もこいつに聞きたい事あるし」




カムイはあたしを見つめ、そして倒れている男に目を向けた。




「こいつ等を警役所に送ったら俺の家に行こう」



「うん!!」




レインは満面の笑顔で頷くと、あたしの手を取って走り出した。




「ちょっ…」



「行こうアサヒ!!」




えっと……あたしどうなるんだろう…。






お兄ちゃん…行く先不安です……。




無事お兄ちゃんを見つけられるといいけど…。







そして三人は出逢い、始まっていく…。









運命の糸が、絡まり始める―――…。

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