ツンドラ?ツンデレ?
一月中旬、遅めの正月休みを実家で過ごし、アパートに戻るとそこには未来が待っていた。
「おーそーいー、今日帰ってくるって言っていたから、ずっと待ってたんだよ。」
「おう、ただいま。そりゃ済まなかったな。」
「ねぇ、お土産はないの?」
「そうそう、はいコレ。」
「ストラップ?」
「おう、これとお揃いだ。」
私は自分の携帯に付けていた地元のゆるキャラのストラップを未来に見せた。
「うわっ、キモっ、ペアだなんて・・・。」
「なんだよ、せっかく買ってきたのによぉ・・・」
そう言いながらも、未来は無言で自分の携帯を差し出した
「えっ?」
「んっ!!」
「何だよ。」
「鈍いなぁ・・・私の携帯にも付けてって言ってんの!!」
「お前・・・キモいとか言ってたくせに・・・どんだけツンデレなんだよ・・・。・・・これで良いのか?」
「うん・・・ありがとう。ふふっ・・・お揃い・・・」
口ではキモいと悪態をついていた未来だったが、ストラップを見つめながら嬉しそうに微笑んでいる姿はとても可愛かった。
「そうだ!!今日は優樹にお願いがあって来たんだった。」
「何だ?お願いって。」
「あのね・・・私に勉強を教えてくれないかなぁ・・・って・・・」
「勉強って?おっぱいを大きくする方法なら知らないぞ。」
「・・・っバカ!!学校の勉強に決まってんでしょ!!」
「どうしたんだ急に?そんな事言い出すなんて。」
「一応今年は3年生で来年は受験だし、少しは勉強しなきゃいけないかなぁ~って。」
「そりゃあ空き時間に勉強を教えるくらいはしてやれるけど、それにはちゃんとお母さんの了解を得てからだからな。」
「ふふふ、それにぬかりは無いのだよ、優樹くん。もうお母さんは『絶対に迷惑はかけないこと』って条件付きで了解貰ってるんだ、帰ったら優樹にOK貰ったって話すよ。」
「そうか、それなら優樹塾の開校だな。」
「うん、よろしくね、優樹センセ」
「因みに、おっぱいを大き・・・」
「それはもういいって!!アハハ」
『月謝を払う。』と母親からの申し出もあったが『そんな事をするくらいなら、普通の学習塾に通わせて欲しい』と断り、私のアルバイトが休みの毎週月曜日とシフトに併せた1日の週2日、私の部屋で未来の勉強を見てやることになった。
最初の頃の成績はお世辞にも『良い』と言えるものではなく、特に社会は酷かった。
地理のノートに『タイガとツンデレ、ドラマのタイトルみたいwww』と書かれていた時には思わず
「ツンデレはお前じゃんwww」
とツッコミを入れてしまった程だった。
しかし根気よく教えると、意外にも飲み込みは良く見る見るうちに成績も上がっていき、一学期末のテストでは学年で20位を取れるほどになっていた。
未来の母親からも感謝され『彼女さんと行かれて下さい。』と某テーマ―パークのチケットとパーク内のホテルの宿泊券を頂いたが、一緒に行ってくれるような相手はいなかったので、友人に格安で転売させて頂くことにした。