『嫌なモノ』それは・・・
今日二回目の風呂に浸かりながら少女の事を考えていた。
話してみると、家出なんてするような雰囲気など全く感じさせないような明るい女の子。
ちょっと・・・いや、かなり可愛いことを除けばどこにでもいるような14歳の女の子。
そんな14歳の女の子の全裸を風呂から助け上げる為の不可抗力とは言え見てしまい、ロリコンの趣味がなくても普通の若い男性ならば胸の膨らみや腰のくびれなど、何かしら印象に残っていそうだが私はほとんど覚えていない。
なぜならば、少女の裸にはそんな性的な感覚を起こさせないほどに強烈な印象を残すものが他にあったからだ。
少女自身が自分の裸を見られたと知ったうえで『嫌なモノ』だと表現したそれは、身体に残る『痣』だった、それも一つや二つではなく、少女の胸、腹部、大腿、背中、臀部・・・普段の生活では隠れて見えないような箇所に古いものから、明らかに最近付けられたと分かるものまで、数多くの痣が残っていた。
素人目に見ても、それは転んだり、何処かにぶつけてできた痣ではないことは一目瞭然で、あきらかに第三者による暴力によってつけられたものであり『一体誰が?』『どんな理由で?』『いじめ?』『DV?』・・・様々な考えが頭をよぎる。
しかし、こんな小さく華奢な少女の身体が何者かに傷付けられているのは間違いのない事実であって、偶然にもそれを知ることとなってしまった私。
普段の私ならば性格上『係わり合いになりたくない』と思うはずなのだが、このときは『この少女の為に何かしてやれることはないのだろうか?』という自分自身でも不思議な感情が芽生え、色々な考えが頭を巡ってしまい、風呂から上がってもソファーに横になったまま眠ることが出来ずにいた。