発覚
それから4ヶ月が過ぎ、未来と出会ってから1年が経とうとしていた12月半ばのことだった
いつものように未来の勉強を見てやり、マンションまで送り届け『またね』の意味を込めたキスを交わし、未来がオートロックの玄関に入るまで見送ると私は家路へと着いた。
いつもならば帰る途中で届くはずの未来からメールがその日は無く、少し不思議な感じはしたが、大して気にもせず家に帰った。
風呂から上がり、ビールを片手に携帯を見るがやはり未来からのメールは届いておらず
『今日はどうした?メールもしないで。』
とメールしたが何の返信もなかった。
さすがに心配になり未来の携帯に電話をかけたが出ない、母親に連絡したが彼女も今日は残業中でまだ家には帰っていないので分からないが、急いで帰ってみるとの事だった。
リダイヤルを繰り返すが未来は出ない、私はマンションの前まで行き電話をかけつづけた。
それからしばらく電話をかけ続けると、やっと未来が電話にでた
「お前、何やって・・・」
「優樹!!助けて!!」
私の言葉を遮るように未来の悲鳴にも似た声が響いた。
「どうした?」
「助け・・・」
とそこまでで電話は切れてしまった。
私は呆然としてしまい、何が起こったのか理解できずにいたが、未来の身に何か起こっているのは事実だった。
慌ててマンションに入ろうとしたが、玄関はオートロックで入る事が出来ない。
マンションの周囲を見回すと、一箇所だけ電柱から飛び移れそうな場所があった。
私は必死で電柱をよじ登ると、そこから2階の廊下に飛び移りどうにかマンションの中に入ることが出来た。
エレベーターを待つのももどかしく、階段を駆け上がり9階へ、未来の部屋のチャイムを鳴らしても応答は無かったが、ドアノブを捻るとあっさりとドアは開いた。
「未来、どうした!!」
玄関から声をかける。
「優樹、助けて!!」
奥のへやから未来の叫び声が聞こえる。
私は靴のまま部屋に上がりこみ、奥の部屋のドアを開けるとそこには、下着姿の未来を組み伏せるている男の姿があった。
「優樹!!」
「てめぇ!!未来に何やってる!!」
私は未来に覆い被さる男を引き剥がすと、未来を助け起こし
「大丈夫か?」
「うん・・・」
「うわああぁぁぁぁ」
その時男が奇声を上げながら私に掴みかかってきたが、私はその腕を受け止めると男の鳩尾に正拳を叩き込んだ。
「ぐっ・・・」
「空手2段をなめんな!!」
苦悶の表情を浮かべてそのまま倒れこむ男を横目に未来を抱き寄せると
「どうした?何があった?」
「優樹・・・怖かった・・・」
「この男は何なんだ?」
「お母さんの・・・」
「コレが?」
「優樹には言えなかった、本当は言わなきゃいけないって思ってた。」
「何があったんだ?」
「この男は優樹と知り合う前からずっと私に身体の関係を迫ってた、でもそれを拒否すると殴られて・・・でもこんな男とは絶対に嫌だったから、殴られるのを我慢してた・・・でも今日は違った、無理やり私を・・・」
「俺と知り合う前からって・・・」
私はそれまでに感じたことの無い程の怒りが込みあげてきて、床でうづくまる男の顔面を何度も踏みつけた。
「優樹!!やめて!!死んじゃう!!」
未来の悲鳴にも似た声で我に返ると、彼女に服を着せ部屋の外に連れ出した。
「アイツどうするんだ?もう『お母さんが・・・』なんて言ってられる状態じゃないぞ。」
「うん、分かってる・・・」
「アイツの行動は間違いなく強姦未遂みたいなのだろうし、今までのだって立派な暴力だろ?お母さんが大切なのは分かるけど、そのためにお前が犠牲になる必要なんてないはずだ!!」
「うん・・・」
「さっきお前に連絡とれなかたからお母さんに連絡しちまったし・・・多分もう帰ってくる頃だと思うぞ。」
「うん・・・」
そんな話をしていると、未来の母親が息を切らしながら帰ってきた。
「未来、何があったの?」
「未来、お前が言えないのなら俺が言うぞ。」
「・・・・・・・・・。」
「未来、どうするんだ!?」
「お母さん、あの人と別れて!!」
「何?急にどうしたの?」
「中に入って貰えば分かると思いますが・・・」
「何があったの?」
「あの人は、ずっと私を・・・・・・・・・」
未来が今までに起こった事を包み隠さず母親に伝えると、母親はその全てを聞き、青ざめながら部屋に飛び込んでいった。




