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ここは未知の館
人は人の間にしか存在できない、と誰かは言った。
孤独は虚しいものだ、と誰かは嘆いた。
なら、今の俺は誰よりもそれに相応しいはずだ。
明かり一つ灯らない世界に一人佇むことしかできないのだから。
部屋の中だというのに、風で床に生えた石器が左右に揺れる。
多分、気を抜いて触れば痛いじゃすまない。
跳ね回る本も邪魔だ。
八百万に魂は宿るというが、昔の人が見たのはこういうものなのだろうか?
「ここはどこなんだよ」
出てきたのはそんな乾いた声だけ。
自分は確かに生きている。
その確信だけが救いだった。
窓は──ない、壊れそうな壁も──ない。
あるのは開閉を一定の間隔で繰り返すデカい目の前の扉だけだ。
「何やってんだ?」
・・・いや、居た。
先程から、俺の生存本能が警鐘を鳴らすコイツが。
「人面コウモリっ、」
そう形容するしかないほど悍ましい造形が、憎たらしい笑みを浮かべた。
「おいおい、ひどいな兄弟。俺はライゼンだぞ?人面コウモリなんて呼び方はよしてくれよ」
「あ、ああ。分かった」
ライゼンと名乗ったそのコウモリは翼(手?)を差し出して。
「ここから出るなら助けてやるぞ」
と、確かにそう告げた。
それに頷いてしまった瞬間。
俺はピンク色の槍に貫かれて死んだ。




