螺旋呪
人が生きる理由は
より自己に近い情報を、より長くこの世に残し続ける事ではないだろうか
だから皆名声を求める
もしたった1人だけ死者を蘇らせる事ができるとなれば、それに選ばれるのはきっと世界で一番有名な人物だろう
だから皆芸術を極める
人は絵画や彫刻、ただの文字列からもその製作者に思いを馳せる
だから皆子供をつくる
子供は自分の遺伝子を引き継いでいる
そしてそれを更に後世に残してくれる
きっとこれらは全て本能なのだ
現状は名声や芸術よりも、子供⎯⎯⎯⎯⎯つまりは遺伝子よりも情報保存に適した媒体は存在しえないだろう
およそ40億年も前の、世界で最初の生命体から脈々と受け継がれてきた実績が私であり、君だ
しかしだ
もし遺伝子よりも確実に、より詳細に自分の情報を残せる「何か」が作られたならば⎯⎯⎯⎯⎯⎯その「何か」は皆にとって他の何よりも、それこそ我が子よりも大切なモノになるのではないだろうか
この文字列が共感されるとは思っていない
ただこれが広まれば、見た内の誰かが覚えてくれるのでは、と思ったのだ
ようは私も人生の最後に、自分の情報を残したくなったのだ
例えそれが遺伝子よりもずっとか細く、取るに足らないものだとしても
言い忘れていたが、これは遺書である
私という情報が残り、保存される最後の希望としてこれを書いている
この遺書を読む者よ
どうか忘れてくれるな
この紙に押し付けられた炭の並びを
私はお前の中にいる
お前が忘れない限り
私は私の為に
お前に取り憑く亡霊にもなろう




