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第3話 決着

私は驚いていた。

昔はイメージをして、魔法を放つということが知られていたけど、それはなかなかできることではなくて魔法を使える人はごく一部だった。

しかし、ある人物が魔法のイメージを助けるために呪文を作った。

その結果、魔法をイメージできない人でも使えるようになり、一般人は魔法を使う際に呪文を唱えるようになった。

そして、呪文を唱えて魔法を使うのが当たり前になって、イメージをして魔法を使うということを人々は忘れ去った。

人々は魔法を使う時は呪文を唱える必要があると教えられるようになった。

目の前の女エリナもおそらくそう教えられた。

だからイメージで魔法を使うと言われてもできないだろうなと思っていた。

イメージで魔法を放つということは今まで教わった呪文を全て否定するようなものだ。

でもエリナは簡単に無詠唱で巨大火球を放った。

私はこいつのことを天才だと思った。

でもあくまで同じ土俵に立っただけだ。

魔力や経験の差は明らかだ。

エリナはなにやら集中して魔法を考えているようだった。

本来なら隙だらけなんだけど私は攻撃しないと言ったので攻撃してくるのを待つことにした。



エリナ・ルビナンス視点

師匠は私の魔法を「消した」んじゃない。魔力を送り込んで「分解」したんだ。

だったら、分解しきれないほどのイメージを叩き込めばいい?……いや、それじゃさっきと同じだ。

大事なのは「当てればいい」ということ。

私は、これまでの人生で一番大きな魔力を練り上げた。

「ファイアボール!!」

視界が白く染まるほどの巨大な火。師匠の意識がそっちに向いた、その瞬間。

私はその「熱」の一部を切り離し、地面に潜らせるイメージを強く描いた。



ユイ視点

またそれ?

私はエリナの前に生み出された火球を見てそう思っていた。

何回放っても無駄だよ?

もっと他の魔法を使って欲しいなぁ…。

「ファイアボール!」

エリナは火球を十分でかくした後に私に放ってきた。

どれだけでかくしても私の魔力の前じゃ変わらない。

そう思い、さっきと同じように向かってくる火球を分解しようとした。

しかし、その瞬間足元に違和感を覚える。

足元を見ると私の足を炎が包み込んでいた。

「ハァハァ…いわれた通り攻撃を当てましたよ。ししょ…」

その一言と共に彼女は倒れた。


エリナ・ルビナンス視点

目を覚ますと、そこは木のぬくもりに包まれた、見たこともないほど高い場所にある部屋だった。

窓の外はもう夕焼けに染まっていて、私がどれほど長く眠っていたかを物語っている。

「あ……」

体を起こそうとして、自分の体に違和感がないことに気づいた。

さっきまでの、魔力を使い果たして内側から焼けるような痛みも、泥のような倦怠感もない。

ふと横を見ると、小さな机の上に、湯気が上がっている木彫りのコップが置かれていた。

「……起きたなら、それ飲みなよ」

部屋の隅、影になった場所で、ユイさんが椅子に深く腰掛けて本を読んでいた。

私の方を見ようともせず、淡々とした声で。

「それは?」

「ただの薬草茶。あんたがあんまりにもひどい顔で倒れるから、こっちの寝覚めが悪かっただけ」

そう言って彼女はページをめくった。

でも、その手元にある本は……よく見ると、さっきまで読んでいた形跡がない。

それに、私のボロボロだった服の泥も落とされているし、擦りむいた膝には丁寧に薬が塗られている。

「あの、私……」

「弟子、やりたいんでしょ。勝負には勝ったんだから、文句は言わないよ」

「っ! ありがとうございます!」

「……ふん。あ、自己紹介がまだだったね。私の名前はユイだよ」

「ユイさん! これからよろしくお願いします!」

私が勢いよく頭を下げると、ユイさんは一瞬だけ呆気にとられたような顔をして、それからすぐに窓の外へ視線を戻した。

「……はいはい。そんなに大きな声出さなくても聞こえてるって。さ、明日からは地獄の特訓だよ。覚悟しなよー!」

ぶっきらぼうな言い方だったけれど、夕闇に溶けていくその横顔は、少しだけ笑っていたように見えた。

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