最終話:The NEXT STAGE
最後にお知らせがあります!!
「星芒高校...監督...」
受け取った名刺に書かれていた名前をそのまま
読み上げる一輝。それを横から覗く焦斗
「えー!なんでそんな人がパパなんかと知り合いなんですか?!」
割って入るように結が東條へ質問する。
強豪校の監督といえど、日本の最高傑作と言われた智幸と知り合いなのは些か不可解だ。
(結...よく聞いてくれた)
一輝が内心、結に感謝をする。
聞づらい事を聞けるのは結の強みなのかも知れない
「なんかって(笑)お父さんの方が立派でしょ?」
「そんな事ないですー!
星芒高校は今年の夏の甲子園決めてますし!」
目をキラキラ輝かせながらそう聞く結に
少し誇らしげに東條が笑う
「俺と智幸は同じ高校で野球やってたんだよ。
そっからの腐れ縁さ」
「腐れ縁...」
複雑な顔をする智幸
「...本題に入ったらどうだ?」
監督が流れを変えるように提案する
「!いいのか親父!」
「智幸じゃない!創の方だ!」
「あぁ...うん」
「良いんですか?」
「あぁ。ワシとしてもこの子らの進路の話だ。
ほれ智幸、結。ワシらは出るぞ」
そう言い監督は立ち上がりドアから出ていく
釣られるように智幸と結の2人も続く
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「じゃぁ早速本題なんだけど」
東條が座りその対角に一輝と焦斗が並んで座る
「単刀直入に言うと君達2人には星芒高校に
来て欲しいと考えている。
もしもう行きたい高校が決まっているなら
構わず断ってくれて良い。どうだ??」
本来は監督と選手、そして高校のスカウトで
話をするのが筋だ。
しかし監督は席を外して3人だけで話させた。
それだけ東條を信頼しているのか?
いや、ただ智幸さんがうるさいから引き剥がす為に出ていっただけかも...
「あの...東條...監督?」
「さんで良いよ。なに?」
「...親父とはどういう関係なんですか??」
「...晋佑か。晋佑と智幸が古くからの友人ってのは知ってるか??」
「はい。小学生からずっと一緒って聞いた事は
あります。」
親父と智幸さんは俺と結が生まれる前からの
友達ってのは聞いたことがある。
大スターの智幸さんと普通のサラリーマンだった
親父がなんで友達なのか聞いた事はあった。
「晋佑、智幸、そして俺は高校時代同じ高校で
野球やってた仲間なんだ」
「そうだったんですか...」
「...気になるか?お父さんの事が?」
「...はい」
俺の返事に東條さんは髪をかきあげながら
少し思い出すように一息着く
「一輝の親父さん、晋佑は...」
「ゴクッ...」
息を飲む俺
「野球がめちゃくちゃ下手くそだった」
「...え??」
「スカウトしている子の親を悪く言いたくないん
だが、今は俺の友人の息子として君に向き合う」
「はい...」
「晋佑とは高校からの付き合いでな。
初対面でいきなり大声で自己紹介したり
馴れ馴れしく下の名前で呼んできたりして
最初はウザかったよ」
「ウザイですね。僕の身近にもそんな奴がいます」
焦斗が俺の方をちらっと見ながら話す
「当時の俺らの高校は甲子園に行けるほど強く
無かった。そんな高校でも晋佑はレギュラーどころか
ベンチメンバーに入れるかも怪しかった。」
「...」
「それでも、俺らのキャプテンはあいつだった。
試合に出れないがチームを優先して練習に
夜遅くまで付き合ってくれていた。
俺は晋佑がいたから初の甲子園に出れたと思ってる。俺と智幸は晋佑の事を恩人とさえ思っているよ。」
「恩人...ですか?野球が下手くそなのに?」
不思議そうに言う俺に東條さんは微笑む
「野球に技術は必要だ。
ひと握りの天才達は努力をして更に力を付ける
...ただ俺は晋佑みたいなのを本当の天才だと
思っている。」
「親父が??」
「人を惹きつけ引っ張る力
これは努力で手の届くものじゃない」
「惹きつける力...」
一輝が呟いた瞬間、東條は立ち上がる
「まぁ。まだ本格的なスカウトじゃない
少しお話しをしたかっただけだ。結論は
じっくり後で考えてからでも...」
「あの!」
一輝も椅子をガタッと後ろに倒しながら立ち上がり東條に質問をする
「その親父がいた高校って?」
「...あぁ。星芒高校だ」
一輝は少し考え東條の目を真っ直ぐ見て
口を開く
「俺、星芒高校に行きたいです。
星芒高校で野球をやらせてください」
「...」
「じゃー俺も行きます」
座ったままの焦斗も口を開く
「焦斗?!」
「お前が行くなら俺も行く。
東京なら結も行きやすいだろ。
3人で甲子園に行けば最高だろ」
「焦斗...!」
熱くなる2人を見ながら東條は微笑み言う
「それはありがたい。ぜひよろしく頼む...
と言いたい所だが、まだ時間はある。
君達にはよく考えて...」
東條が言いかけた瞬間、バンッ!っとドアが
開かれる
「いつまで話してんだ!次は俺のターンだ!」
と智幸が割って入ってきた。
「おいバカ息子!もう練習の時間だ!
部外者はとっとと帰らんか!!」
智幸の服を引っ張りながら監督が言う
「智幸さん?!さっきからなんなんすか!」
「いい大人がみっともないです」
「ほれ見ろ親父!一輝も焦斗も興味津々だ!」
「やかましいおっさんに引いとるだけじゃ!」
静止する監督の腕をするりと抜け服を正し
一輝と焦斗に1枚ずつ封筒を渡す
それを見た監督はやれやれという顔をする
「なんですか?これ」
「招待状だ」
「招待状??」
そう言いながら2人は封筒を開け中を確認する
結も二人の間に入り覗く
1行目には「日本少年野球連盟」と書かれていた
「日本少年野球連盟...ボーイズリーグ本部から
俺らに??焦斗なんかした?」
「なんでだよ。やらかすのはお前だろ」
不思議そうにする俺らを他所に
智幸さんは不敵な笑みを浮かべていた
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大阪府堺市・藤宅
「あー...あぅー...」
「こらこら瑞希!あかんやろ手紙口にしたら!」
1歳を迎えたばかりの妹の瑞希にそう言い
ながら手紙を奪い取る天王ボーイズ藤大吾
「あー!!!」
「これは兄ちゃんのや!ったく...
それにしてもなんやこの封筒?ボーイズリーグの本部から直接来るって...俺なんかしたか?」
大吾がそう呟いていると携帯が鳴る
「ん?優心??」
相手は泉からだった。ピッと電話を切り手紙
を見ようとすると再び携帯が鳴る。
やれやれと出ると泉の声がする
「こらぁ!大吾!なんで1回電話切るねん!
ぶっ飛ばすぞ!」
「スマンスマン。オフの日にお前から電話
来てええ事ないから切ってしまったわ」
「この...まぁええわ。それよりなんか封筒
来てへんか??」
「封筒??連盟からか?」
そう言いながら手に持っている封筒を見る
「開けてみ!えぐいこと書かれとるで!」
「んー」
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京都府伏見区・ある公園
パンッ!パンッ!
公園に鳴り響く乾いたグローブの音。
そこには舞鶴ボーイズの鷹宮蓮と白鳥凪翔が
キャッチボールをしていた
「なぁ蓮!志望校決まったか~?」
「怪我明けの俺でも拾ってくれる言うところが
あったわ。俺はそこに行く」
「まさか夏大も出れんとは思わんかったわ。
監督の優しさかもな!」
「んな訳無いやろ。あの置物がそんなん考えとる訳無いわ」
2人がたわいもない話をしながらキャッチボールをしていると、1人の少女が走ってくる
「お兄ちゃーん!!凪くーん!!」
蓮の妹、鷹宮凛だ。
「どしたん凛ちゃん。そんな慌てて」
「キャッチボールしたいならグラブ持ってこい」
心配そうに尋ねる白鳥と対象的に
軽くあしらう蓮
「そんなんちゃう!それよりこの封筒見て!」
「「あ??」」
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神奈川県横浜市・某児童施設
ダムッダムッ...ガコォン!!
バスケットボールが地面を跳ねる音が聞こえると
思っていたら、ゴールに突き刺さる音に変わる
「良にぃすげぇー!」
「ヘッヘーン!にぃちゃんはなんでも出来るぜ!
なんの遊びしてもにぃちゃんには勝てねぇぜ!」
「そんな事ないもん!」
義弟達と遊んでいるのは桜木ボーイズの
那須野良平だ。
「小学校低学年になにやってんの...」
呆れた顔で歩いてくるのは
マネージャーの吉良明里だ。
「おう明里!明里もやるか?!」
「やらん。ほら、なんか良ちゃん宛に届いてたよ」
呆れた顔で良平にひとつの封筒を差し出す
「ん...?ナニコレ?」
「開けてないからわかんない。」
「ふーん...開けてみるか」
ベリッと思い切り剥がし中の紙を二人で見る
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その手紙は埼玉、山梨、果てには沖縄の地まで
届いた。
~桑山ボーイズグラウンド・監督室~
「星一輝様、平素より日本野球連盟の活動に...」
「そんなの飛ばせ飛ばせ!偉い人の長い話とか
聞かなくて良いわ!」
「何よ!人が読んであげてるのに!」
一輝の茶々に順ギレする結
「大事なとこ読めよ」
「じゃーあんたらが読みなさいよ!」
焦斗の無神経な言葉にもキレる
「ハァ...えぇっと...え?!」
下の方の文に驚く結
「ナニ?!」
「なんだ??」
「「星一輝様を第11回ボーイズリーグ世界大会へ招待します...」だって...」
その言葉に焦斗を見る一輝。
どうやら焦斗の方にも同じことが書かれている
様だった。
息を深く飲み一輝が呟く
「ボーイズリーグ...世界大会...」
ダイヤモンドスター1部完
ここまで「ダイヤモンドスター」をご視聴頂き
ありがとうございました!
2025年5月から始めた連載ですが何とか完走出来ました!
それもこれも全て読者の皆様のおかげです!
さて、第1部のお話はここでおしまいです。
「ダイヤモンドスター」は3月より第2部
「ダイヤモンドスターW」を連載致します!
是非よろしくお願いします!!




