出会い
[東京の超新星、散る!]そうでかでかと書かれた
記事に結は憤慨していた。
スポーツ掲載雑誌[スポホン!]では
最近ボーイズリーグの記事が度々見受けられる
結は7万人のフォロワーを誇る「球ファン」
というSNSアカウントを誰にも言わず(一輝除)
1人で運営している。
記事にはこう書かれていた
[東京の超新星、散る!]
〇日に行われた日本少年野球連盟夏の世界大会予選で、
波乱が起きていた。
昨年夏ベスト4、秋優勝、春準優勝の桑山ボーイズが
西東京市部予選大会3回戦で
中附ボーイズに敗北を喫した。
桑山ボーイズはキャプテン星が怪我の影響で
出場出来なかったこともあり、中附ボーイズ
エース長房から得点を奪えなかった。
世代の顔と言われた星が出場すれば結果も
変わっていたかも知らない
...と
「...はぁ?!何よコレ!!
桑山は一輝1人のチームじゃないわよ!
絶対に炎上させてや...」
ガタガタと力強くキーボードを押す手が止まる
結は日頃から桑山ボーイズについての投稿は
避けていた。それは「球ファン」が自分では
無いかと疑われるのを防ぐため、そして
自分のチームに肩入れし過ぎないようにするため
だった。一輝や焦斗が切り取られた記事を
引用してSNSにアップする等も行って来なかったのだ。
それはひとえに祖父が作ったチームを
見てほしい。一輝や焦斗に注目が集まり
チームメイトからの不信感を助長させないため
でもあった。
「~~...!!!あぁぁぁー!!!」
声にもならない声の後、叫びたいように叫ぶ
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カァァァン!! ガシャァン!!
土曜日、桑山ボーイズグラウンドA面
夏の選手権大会予選で敗退した桑山ボーイズは
次なる大会、ジャイアンツカップに向けて練習に励んでいた。
ジャイアンツカップは夏の選手権大会で出場機会に恵まれなかった者、ベンチ外だった3年生を
中心に挑む大会であり、一輝も大会に向け
準備を整えていた。
この日は夏の選手権大会出場組と
ジャイアンツカップ出場組の紅白戦が行われていた。
初回、選手権組の投手天野から復活早々
真っ直ぐを一輝が特大ホームランにし皆が驚愕する
「飛んだなー。120は行ったか?」
「ブランク明けとは思えないスイングだな」
守っていた二遊間の新沼、御手洗の2人が
そう話し合う。
打たれた焦斗はものすごく悔しそうにベースを
回る一輝を見る
一輝はクールに装いながらもベンチへ戻るとチームメイトとハイタッチをし喜びを隠せないでいた。
練習後、解散し各自帰路へ着く
帰り道、ホームランの事をいつまでも
自慢する一輝に焦斗が思い切りビンタしていた
事以外は何事もなく終わった。
〜翌日〜
いつも通り他の選手より早めにグラウンドに
到着した一輝、焦斗、結の3人は監督室へ
朝の挨拶をしに行く。
コンコンッ
「失礼しまー」
「なぁ頼むよ!一輝と焦斗に相談させてくれよ!」
「こんな朝早くから来てまたそれか!!」
一輝の挨拶を遮るように1人の男が
監督の朝日に何かを頼み込んでいた。
それは結の父、朝日智幸だった
結の祖父が監督で智幸が結の父だから
監督は智幸の父に当たる続柄である。
その隣では智幸と同じくらいの背丈の男が
智幸を冷ややかな目で見ていた
「!!結ちゃん!」
扉の俺たちに気づいた智幸さんが
近づいてくる。正確には結にだが。
結はそれをスっと避け監督に問う
「監督!どーゆーこと?!なんでパパがここにいるの?!」
「いやぁワシは呼んどらん。智幸が
朝早くからここに乗り込んできたんじゃ」
何故か言い訳するような言い方でそう話す
監督。監督も孫娘には弱いのか??
「ごめんねぇー。結ちゃん。朝からうるさい
中年なんて見たくなかったよね」
智幸の隣に居た男が口を開く
「えっ...あのー?」
結が気まずそうにする。
名前を忘れたのかとか気にしてるんだろうか
「まぁ結ちゃんは覚えてないよな。
会ったのは赤ん坊の頃だから。それに...」
その男が俺と焦斗の方にクルッと顔を向ける。
いや、目は俺の方を見ていた
「晋佑の倅、一輝」
「え??」
星晋佑、一昨年亡くなった俺の親父の名前だ。
親父を知っている人がなんで智幸さんと...
「...似てるな。アイツに」
「え?え?」
「あぁ。申し遅れた。俺は東條創。
星芒高校で監督をしている者だ」
そう言いながら渡された名刺には確かに
星芒高校監督と書かれていた。
ご視聴ありがとうございました!
次回、ついに完結です!!




