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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
最終章:中学3年春季大会
83/85

後悔

7月。桑山ボーイズは夏の選手権大会予選を

勝ち抜くため、2回戦へとコマを進めていた。


相手は丸太三兄弟率いる多摩大ボーイズ。

3-1とリードしている桑山ボーイズだが7回の裏

2アウトランナー2.3塁のピンチでバッターは

3番丸太一郎太。一打同点も有り得るこの状況に

エース天野はキャッチャー戸山を見る。


「天野楽にいけ!!後ろは守る!!」

「内野身体で止めろよ!外野は2塁ランナー帰すな!」

バックを守る野手陣の声を聞きながら焦斗は振りかぶる


パァァン! 「ボールスリー!」

フルカウントとなり緊張が走る

キャッチャーの戸山もサインを決めあぐねていた。


「おらぁー!バッテリー!逃げんな!」

すると、ベンチから大きな声で2人を呼ぶ声がする

副主将の一輝だ。


「お前らの持ってるもの全部ぶつけろ!!

逃げ腰なんてやめて全力でぶつかってけ!!」

その言葉にピクっと眉を動かす焦斗。

戸山は少し笑いサインを出す

頷き焦斗が思い切り腕を振る


パァァン!! 「ストライクバッターアウト!集合!」

何とか切り抜き2回戦を突破した桑山ボーイズ。

整列した際多摩大ボーイズの3年生達が涙を流していた


これで引退する訳では無い。する訳では無いが

3年生達はもう二度と夏の選手権大会全国大会への

切符を失ったのだ。

その涙を噛み締めながら、一輝はギプスの外れた

自分の右手を見る


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミーティングの後、解散した桑山ボーイズ。

一輝、焦斗、結の3人はいつも通り歩いて帰っていた


「一輝ベンチでうるさすぎ!

野球観戦してるおじさんじゃないんだから!」

「うるさくないです。おじさんじゃないです。

応援です。」

結に言われそっぽを向きながらそう返す一輝。

ワチャワチャ話している2人に焦斗が声をかける


「なぁ一輝。手はもう平気なんだろ?」

「えっ??」

「少しずつだが回復してんだろ?

試合にはまだ出れねーのか?」

「...俺も出てぇよ。でもまだ完全には治ってない。

バットもまだまともに振れる状態じゃないし...」

「...」


バシッ!

「痛ってぇ!」「痛てぇ...」

暗い顔をする2人に結が背中を叩きながら言う


「今はとにかく予選を勝ち抜くこと!

それに戸山君も居るんだから、焦斗もそんなに一輝を

焦らせないでよね!」

「...あぁ。悪ぃ。確かに戸山の方が相性良いかもな」

「なぁにぃ?!浮気かお前!」

「黙れ。取り敢えず明後日の中附との試合に勝たなきゃ

全国はねぇ。黙ってベンチ温めとけよ」

「ほっかほかにしといてやるわ!!」


夕日に照らされた3人の影が伸びる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌々日。ジャイアンツタウンスタジアム

桑山ボーイズと中附ボーイズの試合当日。

球場の外でアップしている桑山ボーイズに1人の選手が

近寄ってくる。


「久しぶり。元気?」

一輝に声をかけるその男。

「わっ!長房!ビビらすなよ!」

「別にビビらせてないし。そっちが勝手にビビっただけでしょ」


長房泰斗。古豪中附ボーイズエースで4番。

身長190cmを超える大型中学生だ


「怪我したらしいね。」

「まぁな...」

「キミ無しでウチに勝てんの??」

「舐めんなよ!!お前こそ顔面の怪我へーきかよ!」

憎まれ口を叩き合いながらもお互い楽しそうに話す


「キミが居ても居なくても、ボクらが勝つよ。

その瞬間を指加えて見てなよ」

「望むところだ!お前が打ち込まれる瞬間見ててやる!」

長房はニコッと笑いその場を後にする


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結果から言って、桑山ボーイズはこの日

長房に完敗を喫した。

2-0と完敗したのだった。


長房は投げては140kmを叩き出し

打っては2安打2打点。長房ワンマンチームと言われていた他の選手も動きが良くなっており桑山ボーイズは

この日、夏の選手権大会全国大会への切符を失った。


ミーティング後、監督、コーチから労いの言葉を

貰っていた選手たちだったが全く耳に入っては来なかった。


「星を再び全国へ」

この思いを胸にずっと戦い続けきたのだから。


ベンチ入りした3年生計16名はここで中学野球を

実質的に引退。後の大会に出場する機会はあれど

それはベンチ外の3年生が主力となる。

堪らず涙する者や一輝に謝る者。

人それぞれ悔しさを発散させていた。



「終わったなぁ〜...」

「あぁ。」

「終わっちゃったね」

一輝、焦斗、結の3人はベンチに座り込み話す


「長房、えぐかったなぁ〜」

「あぁ。」

「凄かったね」

「試合...したかったな〜」

「「.....」」

一輝の言葉に続かない焦斗と結。


しばらくの静寂の後、結が口を開く


「...ねぇ。2人ってさ、どこの高校行くの??」

「あー?」

「なんで?」

急な質問に疑問を抱く2人。


「色んな所から誘われてるんでしょ?それなら

もう絞ってんのかなって。」

「あー...俺は怪我してから誘いが減ったって聞いたなー」

「俺は増えた。」

何校(いくつ)?」

「70以上」

「覚えてんのきめー!」

「お前が聞いてきたんだろ」

「...ぷっ」


いつの間にか3人は一緒に笑っていた。

まるで小学生の時に戻った時のようだった


「まぁーでも、俺と焦斗は同じ所だなー」

「あぁ」

「え?どこどこ??」

大阪桐皇(おおさかとうこう)学園」

「あっ....」

「な?焦斗」

「あぁ。どうせなら1番強い高校で野球したい。

特S待遇って言われたしまず間違いなく桐皇だ」

「そう...なんだ...またウチだけ別の学校なんだ...」


悲しそうに座る結に一輝が正面に立ち言う

「高校違うからなんだよ?」

「え?」

「高校違っても俺らは俺らだろ!

お前が寂しいって言うなら俺...らは会いに行くし

逆に俺が助けて欲しいって時は大阪来てくれよ!」

「一輝...」

「なっ!」

笑顔で話す一輝に結も笑顔が戻る


「東京から大阪の距離どんだけあると思ってんだ」

「あー?遠いのは知ってるわ!舐めんなよ!」

「ならどこにあんのか言ってみろよ」

「はぁ?...それは...甲子園がある所だろ!」


2人の会話を他所に結は立ち上がる


「あーあ!ウチも桐皇行こーかな!勉強で!」

「はぁー?何する為だよ!」

「教えなーい。キャッチボールしよ!

ウチが投げるから一輝取って!焦斗が投げ返して!」

そう言いボールを持ち出して少し離れたところに

行く結。一輝はミットを取り出し構える

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