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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
最終章:中学3年春季大会
80/85

最終決戦

春季ボーイズリーグ全国大会決勝

最終回の桑山ボーイズ攻撃は9番セカンド新沼から始まる。

この回点取れなかった場合、桑山ボーイズは敗北する

攻撃の前、ベンチ前で全員が集合する


「前の回から狙い球のスライダーを積極的に

振ってきたが、相手キャッチャーの北島は良い捕手だ

桑山こっちの狙いにも気づいているはずだ」


監督の朝日が座り込みながら話す


「梶原、泉のボールはどうだ??」

8番の梶原に朝日が問う

「外から見ても、打席に立っても球威は落ちているように見えません....ただ...」

「ただ??」

「最初に見せたあのスライダーの精度が落ちているように見えます」

「ふっ...そうか。お前ら、分かってるな?

泉はいい投手だ。さっきも言ったが俺が見た中でも

傑出度は歴代でもトップだ。」


誰も何も言い返せない。焦斗も俯いたままだ


「だが...桑山うちのエース程じゃない...だろ??」

その言葉に皆が顔を上げる


「天野、お前はワシが見た投手の中で1番だ。

皆お前の後ろを守ってきた。だから大丈夫だ

桑山おまえらのバッティングを...野球をしてこい!!」

「「はい!!」」

皆の顔には笑顔と自信が戻っていた


焦斗はその場面をぼーっと見ていた

すると肩にポンっと手が置かれる。一輝だ


「俺らのナンバー1はお前だ焦斗。

これから俺らが証明してきてやるよ」

笑顔を向ける一輝に焦斗も微笑みながら頷く




[7回の裏、桑山ボーイズの攻撃は9番、セカンド新沼君]


打席に入る新沼はベースによりグッと構える

初球、2球目、3球目とテンポよく投げる泉

2ストライク1ボールとすぐに追い込む。


ビッ! カァァン!!

食らいつくようにファールで粘っていく新沼


(天野を1番近く見ていたのは俺らなんだ...!

その俺らが情けなく終わる訳には行かねぇ!!)

「しゃぁ来い!!」


不安を吹き飛ばすように声を発する新沼

その気合いに押されてか泉は間を置き汗を拭く


(気圧されるなよ優心...次の5球目、「コレ」で決める)

サインを出しパンッ!っとミットを叩く北島

頼もしいその面越しの顔に泉は少し口角を上げる。


グッ...ビッ!! (真っ直ぐ以下の急速...!叩け!叩け!)

自分にそう言い聞かせバットを出す


カァァン!!

「「!!!」」

驚くバッテリー。打球は一二塁間に飛ぶ

「走れ新沼!!」「行けー!!」

ベンチで叫ぶ桑山ボーイズ。

それを遮るようにパンッ!!っと乾く音が聞こえる


ファーストの藤が飛び込みキャッチする

マウンドの泉がハッとして駆け出す。

起き上がりファーストを見ると新沼と泉が並走していた


「大吾!!放れ!!」

泉のその声掛けに大吾は体制を崩したまま放る

「優心!!!」

「駆け抜けろ新沼ー!!」


ダンッ!!

同時だった。ボールを掴んだ瞬間とベースを踏む瞬間は

同じだった。皆が審判に注目する


「...セーフ!!」

「「しゃぁぁぁ!!!」」

審判の判定に桑山ボーイズの皆が声を上げる


「同点のランナー出たぞ!!」

「桑山ボーイズここで意地見せてきたぞ!!」

「まだ試合展開分からねーぞ!!」


0アウトランナー1塁。打順は1番に帰りショート御手洗

勢いに乗りたい桑山はバントのサインを出す


パァァン!!「ストライク!!」

1球目のその投球に球場が静まり返る

143キロ、泉の自己最速だった。

7回64球を投げた泉のここに来ての最速。

それはまるで桑山ボーイズのエース天野に呼応するような急速だった。


ボッ!!パァァン!!「ストライクツー!」

ボッ!!パァァン!!「ストライクバッターアウト!」

その投球に先程まで騒いでいた桑山ベンチは静まり返る


[2番、ファースト、摩耶君]

続いて打席に立つのは2年、摩耶だ。

ボッ!! パァァン!!「ストライク!!」

変わらぬ球速で圧倒する泉。

「負け」という2文字が桑山ボーイズに浮かんだ瞬間、


「何ビビってんだ摩耶!!」と球場に響く程の声が

こだまする。声の主はキャプテンの星一輝だ。


「桑山《俺ら》の野球するんだろ?!だったら堂々と

打席そこに立て!ベンチ!お前らも声出せ!

3球三振でもいい!次は俺がいる!!」


震える右手でそう叫ぶ一輝をマネージャーの結は直視

出来ずにいた。


「一輝君...」

打席に立っている摩耶が無意識に呟く

「星...」「一輝...」

ベンチにいる選手達も、相棒の焦斗も。


(そうだ...いつだって俺らの中心に居たのは一輝君だ。)

摩耶がそう思いグッと構える

(いつだって俺らを奮い立たせてくれた)

ベンチのチームメイトも顔を上げる


「いけー!摩耶ー!繋げろー!!」

「俺らの野球を見せてやろうぜ!!」

「今までと同じ通りにやるだけだ!!」


ベンチのみならずスタンドで応援するチームメイト

ランナーコーチャー、一塁にいる新沼も声を出す


スッとすり足で泉が足を上げ、腕を振る

ダンッ!っと足を前に出し摩耶が振り抜こうとした瞬間

クンッとスライダーが浮き上がる。

真っ直ぐが調子出てきた泉にスライダーを投げさせる

北島の裏を書いた配球だ。


「うっ!」ストレートにタイミングを合わせていた

摩耶はそのままバットを出してしまう。


(まだ...まだ負けれない...!)

ぎぃぃん!!

鈍い音が響く。ボールの行方も見ず摩耶は駆け出す


「サード!!2つ...は無理だ!1個だ!!」

大きく跳ねたサードへのバウンドボールを見て

ゲッツーは不可能だと判断した北島が素早く指示を出す


(得点圏で星には回したくねぇけど...しゃぁないか...!)

苦い顔をしながら指示を出す北島を見て

サード倉木は捕球し一塁へ放る。

バッターランナーの摩耶はそこでアウト、

しかし2アウトランナー2塁で打席に立つのは星一輝。


観客、守っている天王ボーイズ、そして

同じチームの桑山ボーイズにも緊張が走る


ネクストから立ち上がり一輝が1歩を踏み出した瞬間

「一輝!!」と呼ぶ声がベンチから聞こえる。


振り向くとそこには心配そうにしている結と

一輝を鋭く見つめる焦斗がいた。

2人を見て一輝の脳裏には今までのことを思い出す。


父が亡くなり引きこもっていたあの日、自分を

外の世界へ引っ張ってくれた2人が心配そうに

自分を見ている。

少しの沈黙の後、2人に大した親指をたてながら

「行ってくる!」と言い打席へ向かう。


「行ってこい」

「行ってらっしゃい」2人の返事が聞こえた気がした




ご視聴ありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!!

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