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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
最終章:中学3年春季大会
79/85

真価

一輝と結がロッカールームで話している間にも試合は

続いており、6回の裏2点を追う桑山ボーイズは

5番天野から始まる攻撃。

選手はベンチの前で小さく円を作り監督の指示を仰ぐ


「天王の泉、間違いなく世代でも最高峰の投手だ。

球威、制球、そして投げ抜くという意思...まさにエース

ワシが見てきた中学生でも群を抜いていい投手だ。」


その高い評価に選手達は納得しながらも複雑な気持ち

を胸に秘める。

天野焦斗はその評価に人一倍悔しそうな顔をする

監督は続ける


「だがうち崩さなければこの試合は勝てん。

島崎、泉の決め球はなんだ??」

「はい、スライダーです。」

「そうだ。浮き上がるスライダー、ホップスライダー。

高校生でもあの精度の変化球を放る者はそう居ない。

だが狙うのはそのスライダーだ。」

「「?!」」


決め球を狙う。普通の事だ。

普通の事を言うが泉のそのスライダーは全員が手を焼いている。

そのスライダーを捨てるではなく狙えという。


「分かっていてもあのボールは打てる代物ではない。

が、決め球を浮き上がるスライダーにしている事に

ワシらの勝機がある。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


小ミーティングを終えた桑山ボーイズが攻撃入る。

打席には5番投手天野。


グッと構え泉の球を待つ


初球、カットボールが内にくい込みストライク

2球目も真っ直ぐが決まり2球で追い込まれる焦斗。

3球目、4球目が外れ2-2となる。


5球目を投じる直前、キャッチャー北島のサインに

深く頷き泉が足を上げ振りかぶる


ビッ!! っと放ったボールは外角低めに向かうが

ギュッとブレーキが掛かり曲がる。

浮き上がって来ない普通のスライダーだ。


キィィン!! この打席初めてバットを振る焦斗の

打球は思い切り引っ張られファールゾーンに落ちる。

続く球は真っ直ぐ、それもカット。

カーブ、スライダーをカットしていく。

8球粘った焦斗は9球目のボールを待つ。


ビッ!! タァン! 「ストライクバッターアウト!」

9球目にしてホップスライダーを投げさせるも

見逃し三振に倒れる。

少し悔しそうな顔をしながらも焦斗はベンチへ引き下がる。


(ホップスライダーを捨てた?

...いや手が出なかったのか??)

北島がそう考えているのを尻目に6番山崎が打席に入る


初球、2球目、3球目とバットを振らずに追い込まれる。

3球目、4球目はカットする。


(球数増やす気か??それで優心を降板させる

狙いなのか桑山は??なら...)


タァン!!「ストライクバッターアウト!!」

5球目はホップスライダーを使い山崎をアウトにする。


(打つ気がないなら速攻で終わらせればいい。

優心の制球力なら球数を使わず最終回まで行ける。

ガンガン真っ直ぐで攻めていくぞ!!)

北島が泉に合図すると泉は頷く。


だが次の打者の7番綾部にホップスライダーを

2球目に投げた瞬間


カァァン!っと綺麗にセンター前に弾き返される。

泉は信じられないという様子で自分の右手を見つめる


「落ち着け優心!次出来ればええだけや!」

北島も声をかける。

8番梶原を三振に仕留めこの回も失点を許さず

天王ボーイズは最後の攻撃に移る。


交代の為桑山ナインが守備に着く準備をしていると

ベンチのドアがガチャリと開く。


「さ!守備行くぞ!!

ここ守りきって次の攻撃に繋げていくぞ!!」

防具を付けた一輝が元気よく飛び出してきた。

右手首には先程よりも多いテーピングがされていた。


「よっしゃ!ここきっちり守ってサヨナラ決めんぞ!」

「あぁ!1個ずつ行こう!天野!欲張るなよ!」

負け越している。のに桑山ナインの目はまだ

死んでいなかった。


「うし!行くか!」

「一輝!」

ベンチから出ようとする一輝を焦斗が呼び止める


「どした?焦斗??」

「手、大丈夫なんだろうな?」

その一言に少し驚いた一輝だが直ぐに微笑みながら返す


「やっぱ気づく?」

「他の奴らは分かんねーだろうな」

「...やっぱお前と結にはバレるか...

でも大丈夫だ!少し痛むだけだ。遠慮せず投げろよ!」

「...あぁ。手加減なんてしねーよ。」


天王ボーイズの攻撃は1番、白浜からだ。

ギュッと靴紐を結び直し打席に入る

すると違和感を覚える。

いつもの打席、いつもの自分のリズム。

なのに目の前にいるピッチャーから打てる気が全くしない。

打者が一生に一度は体験する「打てない」という感覚。

決して自信がない訳では無い。

だが目の前にいるピッチャーから漂う殺気のような物が

己の自信をかき消している様だった。


パァァン!!「ストライクバッターアウト!!」

三球三振。全て真っ直ぐだ。

観客だけではなく後ろを守る選手達はその気迫に震える


「天野が投げれば簡単に点は取られない」

皆にそう思わせる圧倒的な投球。

背中に書かれた「1」という番号は

まさにエースと言える。


パァァン!!「ストライク!!」

続く2番永留に初球真っ直ぐを放る。


「おぉ...速ぇ...」

「7回だっつーのになんて球威だよ...!」

「145キロ...ここに来て自己最速かよ!!」

145キロという数字に観客も驚きを通り越して

若干引いていた。


パァァン!!

「ストライクバッターアウト!チェンジ!」


2番、3番も3球全て真っ直ぐに仕留め

マウンドを去る焦斗。一輝は気持ちの乗ったその

真っ直ぐに手を痺れさせ、身震いすらした。

それはネクストで控えていた藤も同じだった。


「やりてぇ...!!お前とガチンコ勝負もっかい

やりてぇよ...!焦斗!!」

笑みを浮かべるがこの回が最終回というのをスコアをみて思い出し少し寂しそうにベンチへ引き下がる藤。




7回の裏、桑山ボーイズ最後の攻撃。

打順は9番新沼からだ。


桑山ボーイズはこの回2点取れなかった場合

敗北が確定する。



ご視聴ありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!!

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