気づき
「お、泉あの球使ったみたいやな」
「...」
「あの球打てんと始まらんからな。な?蓮」
「知るか俺打席立ってへんし」
「まぁそやけど」
3塁側スタンド入口で話しているのは
舞鶴ボーイズの鷹宮蓮と同じく主将の白鳥凪翔。
準決勝で天王ボーイズに敗れた2人は京都に帰らず
決勝戦を見に来ていた。
すると
「おわー!もう始まってんじゃん!見過ごしたー!」
「良ちゃんが中々起きなかったからでしょ。もう...」
鷹宮と白鳥が話していると大きな声でそう話す男と
冷静にツッコム少女が入口から入ってきた。
桜木ボーイズ主将、那須野良平と
マネージャーの吉良明里だった。
「いやーすまんすまん...て...ん?あ、すまんすまん!
うるさかったか!お宅もこの試合見に来たの?」
迷惑そうな顔をしている鷹宮に那須野が話しかける
だが相手の顔を見て那須野良平と言うのを理解した
鷹宮が口を開く
「キミ、桜木ボーイズの那須野良平君やろ」
「え?!俺ん事知ってんの?!」
「有名やからね。施設育ちの有名人ってな」
「なっ?!」
「おい蓮!」
少し棘のある発言に凪翔と明里が反応する。
那須野は依然マヌケな顔を崩さない
「んーそうだけどキミは?」
「俺は鷹宮蓮や。ヨロシク」
「タカミヤ...鷹宮!お前が鷹宮か!」
「は?」
嬉しそうにする那須野に鷹宮は鳩が豆鉄砲を食らった
ような顔をする
「一輝が言ってたぜ!舞鶴ボーイズってのと秋やって
スゲー奴がいたって!お前の事だろ!」
那須野が鷹宮に指を指しながら言う
「初対面で失礼な事行ってきたんだったら警戒してる
合図って言ってた!!」
「あのボケ...」
「まあ施設育ちってのは間違いじゃねーからな!
まぁまぁ!座って見ようぜ!」
「...」
「はっは!やられたな蓮!」
「うっさいアホカス」
4人は席に座り観戦を始めた。
桑山ボーイズと天王ボーイズの試合は2回の表となり
桑山ボーイズが守備に着く。
天王ボーイズ先頭の5番キャッチャー北島が
フォアボールで出塁するも6番をピッチャーフライに
打ち取り7番柴崎に回る。
パァァン! 「ストライク!!」
立ち上がりはあまり良くなかった焦斗は北島に四球を
与えたが調子はどんどん上がっていく。
「ナイスボールだ焦斗!」と言いながら一輝が返球する
ように腕を上げ、球を投げようとした時
「ビキッ!」っと再び右手に激痛が走る
「くっ...」ビッ! パァン!
一瞬モーションが止まるがそのまま投げ返す一輝。
その違和感に一塁ランナーの北島が違和感を覚える。
(なんだ...今一瞬手が止まった??)
北島がそう思うのと同時に、スタンドに居た鷹宮が
那須野に尋ねる
「おい那須野、あの一輝は怪我してんのか??」
「え??...なんでだよ?」
「してるのかしてねーのかどっちだ?」
「...わかんない。一昨日の俺らとの試合では特に
そういうのは無かった...ただ...」
「なんだ??」
「終盤、俺とのクロスプレーで右手に体重かけてて...」
「右手に体重か...」
「別れ際聞いてみたんだけど何も言ってくれなくてよ
でも多分、右の手首はやってると思う」
心配しているような面持ちの那須野とは違い
フーッと息を吐きながら「なるほどな」と鷹宮が一言
一塁上にいる北島は疑いながらも決心する
(...確かめて見るか...)
グッと焦斗が足を地面から話した瞬間
ダンッ!っと北島が駆け出す
「!!スチール!!」
ファーストの摩耶が声を出す
(くっ...!スチールか!!)
パァァン!っと捕球した一輝がすぐさま投球フォーム
に切り替えボールを持ち替える。
ビギッ! っと再び一輝の右手に激痛が走る
「くっ...あぁぁ!!」
ボッ!! ダンッ! 一輝らしからぬマウンドを過ぎた所で球が弾む。
「おっ...」少し逸れた球を御手洗がカバーする。
パンッ! ザー! 「...アウト!!」
タイミングが遅れていたとは言えバウンドしながらも
盗塁を試みた北島をアウトにする一輝。
「ふーーー...ヨシ!ツーアウトな!」
深く息を吐きながら一輝がそう皆に伝える
アウトになった北島がベンチへ帰る
「どうした北島!サインミスか!」
「いや、そうじゃない。みんな集まってくれ」
北島の元へ皆が集まる。
その一部始終を見ていた鷹宮、那須野達が再び話す。
「アウトにしたってことは怪我は無いって事か?」
白鳥が口にする
「いや、今ので確信になったわ」
それに対し鷹宮が返す
「星の握り変えのスピードや足運び...送球までの流れが早かったからアウトにできた。あと北島が遅せぇ」
「一輝の技術あってのワンプレーだな!!」
「...だが北島は気づいたようやな。
これは天王にとっては有利な状況になる。」
〜再び天王ベンチ〜
「マジか!全然そんなんに思えんかったわ」
「よー気づいたな北島」
「あぁ。そういう人を見た事あるからな。
それにキャッチャーやっててあいつから学ぶこと多くていつもと動作が違ったからな。」
「ほ〜にしてもそれで刺す星も凄いけど刺されたお前
足遅すぎやろ。肥えたんちゃう?」
「うっさいわ!」
その話を聞いていた藤と泉の2人が話し合う
「向こうの監督さんは知っとるんやろか」
「さぁ。ホンマに些細な変化やから...」
「気になるん?大吾」
「...あぁ。だが自分の意思でグラウンドに立ったのは
一輝や。そこを突かれるのも覚悟の上やろ。」
そう言いながら立ち上がり皆に告げる藤
「スチール行ける奴は積極的に狙ってくぞ!
1点がいつも以上に重い今日のこの展開、絶対にウチが取るぞ!」
「「しゃぁぁ!!」」
2回はこの後、焦斗が三振に抑え攻守交代。
だが裏の桑山の攻撃はエース泉の前に三者凡退に終わる
3回、4回と両チーム無得点で試合が運ばれる。
そして5回の表、天王ボーイズの攻撃は
2アウトランナー2塁で再び打順は4番藤に回る。
この日2回目の打席に稀代のスラッガーが入る
ご視聴ありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!!




