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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
最終章:中学3年春季大会
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狼煙

《1回の表天王ボーイズの攻撃は、1番ショート白浜君》


ザッザッと打席を掘りながら立ち位置を決める白浜。

その視線の先、マウンドにはロジンをポンポンと

遊ばせながらも今にも人を殺してしまいそうな形相の

桑山ボーイズエース天野焦斗が目を尖らせている。


「プレイボール!!」

審判のその一声に守っている桑山ナインが腰を低くする

焦斗はグッとワインドアップで構える。


ボッ!! パァァン!! 「ストライク!!」

その放った1球、掲示板に写った球速を見ただけで球場がザワつく


「ひゃ、144km!速ぇ!!」

「冬越してさらに力が増したな...」


《天王ボーイズベンチ》


「星のキャッチングもあるが、物凄く早く見えんなぁ」

「あぁ。多分計測以上のもんが出とるな」


中学生の域を超えた投球を目の当たりにした

天王ナインだが、その発言とは裏腹に冷静だ。

3番の泉がヘルメットを被り用意をしていると

4番の藤もバッテをはめていた。


「速いな大吾。確実に回るか分からんで」

「いいや、回ってくるね。焦斗はええ投手や。

けどな、白浜あいつはずっと燃えてた。

あいつだけや無い。去年の夏出ていなかった同世代の

奴らはみんな燃えとる。気持ちじゃ既に勝っとる」

「...それ、鷹宮が聞いたらど突かれるな」


カァァン!!

2人が話していると金属音が響く


ダンッ! 左中間に打球が落ちる

「バックセカンド!!」一輝が指示を出しレフトの綾部が中継に繋ぐ。

しかしトンっと楽々2塁ベースに足を掛ける白浜。


「よっしゃ!ランナー出たわ!」

「永留続こか!!」


《2番、レフト永留君》


2番の永留は手堅くバントの構えを取る


コンッ っと音を立てサード側に転がす。

1アウトランナー3塁でバッターは3番泉に回る


「内野前でいい!確実に1点は阻止すんぞ!」

「よっしゃ!」

「天野後ろに打たせろ!絶対点は渡さねーからな!」


座りながら一輝は3塁の白浜を横目で見る

(内野ゴロ1点だと思わねーとな。

白浜は足あるし泉はピッチングに気を取られがちだけど

対応力もある。三振、内野フライがベストだ...けど

泉もそれは避けるため叩いてくるだろうな...)


フーッと息を吐きながらサインを出す一輝

深く息を吐きグッと足を上げる焦斗。瞬間


ダン!っと1歩を踏み出す白浜

それを見た一輝は「外すな!」と声を出す

ハッとした焦斗は腕をそのまま振り抜く


パァァン!! 「...ストライク!!」

投げ終えた焦斗はすぐさま3塁ランナーを見る。

しかし白浜は1歩踏み出しただけで動いていない。


(やっぱブラフか...駆け出すのが早すぎる。

そんな凡ミスを天王がやらかす訳ねぇからな...)


ボールを返球しながらそう思う一輝。

ボールを受け取りながら汗を拭う焦斗。


(焦んな。腕を振り抜け!白浜の打球も落ちただけだ。

自分の球を疑うんじゃねーぞ)


ググッ...ボッ!! パァァン! 「ストライクツー!!」

インコースにえぐられた球に手が出ない泉


「ヨーシ良いボールだ焦斗!そのまま来いや!」


パァァン! パァァン!! 「ボールツー!」

2球ともハズれるも球威は増す。


(ここまで真っ直ぐのみ、カウント2-2、

バッティングカウント。だが有利なのはこっちだ。

コレで絞めるぞ)


スライダーのサインを出す一輝を真っ直ぐ見て

足を上げる焦斗。


ビッ! カァァン!

「サー...いやレフト!!」


ファールゾーンの壁際にボールが飛ぶ。

レフトの綾部が追いかけ、ギリギリだが捕球体制に入る


「取るな!!」

一輝のその声に綾部はビクッとしボールをスルーする


「ファールボール!!」


「今のスルー?」

「白浜の足でも今のは帰れないだろ...」

観客が各々の意見を話し合う。


一輝は監督を見る。

監督の朝日はそれでいいと言わんばかりに頷く


(フェンス際ってのと中継ラインが不安定だ。

それならわざわざ1点やる必要は無い...切るぞ焦斗!)


ボッ! キィィン!

右打者のインコースを抉るツーシームを泉が叩く。


パンッ! ピッチャー正面のボールを焦斗が捕球する。


「しゃーナイスボール天野!」

「天野さん2アウトです!」

内野手全員が焦斗に声をかけ、その声に焦斗が何も言わず2アウトのサインだけを返す。


「タイムお願いします」

「ターイム!!」

審判にタイムを貰い一輝がマウンドへ向かう


「よしよし、何とか抑えたな」

「あぁ、だが問題は次だろ」

「そうだな...」


2人の視線の先には大柄な男がバットを振りながら

待っていた。その風切り音は球場全体に響き渡り

揺らしている様だった。


「一塁は空いてる。敬遠も使える」

「...」

「ふっ...使わねーよな」

無言で藤を見る焦斗の顔を見て一輝がそう話す


「絶対に抑えるぞ、相棒」

「あぁ。やるぞ。相棒」


トンっとグラブでタッチをしてポジションに戻る一輝


「作戦会議はもういいん?」

「あぁ。大吾おまえを抑える最高のサイン交換が

今終わった所だ!」

「やっぱ最高やお前ら!」

ニヤリと楽しそうに笑う一輝に同じく楽しそうに

笑い返す藤。


「プレイ!!」 「しゃぁ来いや!!」

審判の声に被せるように藤が吠える


ググッ...ボッ!! ブォォン!! パンッ!

「ストライク!!」


そのスイングを目の前で見た一輝と焦斗バッテリーは

一気に血の気が引く


芯に...バットに当たっただけでスタンド

いや場外にまで運ばれると言うのを確信した。


「外野下がって良いぞ!際まで下がれ!」

一輝の声を聞く前から外野陣は壁際まで下がっていた。


グッ...ビッ! タァァン! 「ボール!」

カーブが低めにハズれカウントは1ボール1ストライク

ピクリとも動かない藤。


グッ...ボッ! カァァン! 「ファール!」

ボッ! カァァン!! 「ファール!!」


際どいボール全てカットする。カットとは思えない打球が外野に飛んでいく。


(ここまではいい...変化も見せた。頭にも残ってるはず

だしな...使うぞ。コレ)


深く頷きながら焦斗が足を上げる


ググッ...ビッ!


(遅い...カーブ?チェンジ?!それでも振り抜く...!!)

考えながらも藤はダンッ!っと足を踏み込む


カァァン!!

体制を崩しながらもバットを振り抜く。


「ライトー!!」

「ウッソだろ?!」


崩されたスイングとは思えない打球がライトへ伸びる


「島崎!!」

「島崎頼む!!」


ライトフェンスを超える勢いの打球。

壁際を守っていた島崎が壁を触りながら飛ぶ


パンッ!! っと音を立てたグラブ。

飛んだ島崎は着地と同時にその場に伏せる


バッとグラブを上に持ち上げる。その手にはボールが

握られていた。


「アウト!!」

審判のその掛け声にナインが喜びながら島崎に

駆け寄って行く


「島崎!大丈夫か?!」

声をかけるチームメイトに肩を借りながらムクリと

起き上がる島崎。

「あぁ...持ってかれそうだったけど何とかな...」


ホッとした一輝は藤が打った後転がっていたバットを

持ち上げる。


バットの先っぽに打痕が残っている。

そのバットを握りしめながら、笑っているような

驚いているような顔で一輝がひと言こぼす


「バケモノだな...ほんとに..ハハッ...」

新年あけましておめでとうございます!

今日から再び再開します!

今年もよろしくお願いします!!

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