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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
72/73

身体(フィジカル)と技術

パァァン!! 「ボールツー!!」


破裂音が球場に響き、観客がどよめく


マウンドに立つ那須野は高めに浮つくボールが気に入らないのか、腕を地面に叩きつけるようなジェスチャーを

行っている。


(速ぇ...打席に立つと唸るようにこっちに向かってくる

焦斗程じゃないにしてもキレも有るな...)

那須野の球を冷静に分析し「フー」っと息を吐く一輝。


(にしてもホント...)

パァァン!!「ストライク!!」

(出どころが変だしタイミングも取りづれぇな...)


タイミングの取りづらいフォーム、

そして読めない制球力。

相手のバッテリーの考えを読んで打つ一輝にはどうにも苦手な相手だった。


パァァン!! 「ストライクツー!!」


「おぉ!!4番の島崎に続いて星まで真っ直ぐで

追い込んだぞ!!」

「逆に何ができないんだよ那須野あいつ!!」


その投球に観客も思わず立ち上がる


(読めない制球、力のある球威。

厄介な相手だけどこういう相手はいるにはいた...

だから簡単に討ち取られる訳には行かねーんだよ!!)


グッ!! 思い切り足を上げた那須野に合わせ一輝も

タイミングを取る。


ボッ!! 5球とも同じ真っ直ぐが一輝に向かっていく


(あ、甘い!!)

キャッチャーの石川がそう思うと同時に一輝も

迎えに行くようにスイングする。


(真っ直ぐ!!打て...)

そう思った瞬間


ズキン!! っと右手に激痛が走る

「くっ...!!」


カァァン!

「セカンド!!」 那須野が指差しながら叫ぶ

パンッ! っとセカンドの田中が捕球する。


「お、抑えたー!完璧に詰まらせたぞ!!」

「なんて奴だ!那須野良平!!」


セカンドが取るのを一塁ベースを過ぎた所で見ていた

一輝が「クソ...紙一重だったか...」と呟く。


その様子をマネージャーの結が唾を飲み込みながら

見ていた。


パァァン!! 「ボールフォア!!」


一輝を討ち取った後、6番の新沼がフォアボールで出塁する。

もう後がない桑山ボーイズ。

この回点を取らなければ負けという展開だが

全員の目はまだ死んでいなかった。


キィン!

キィン!!

パァァン!! 「ボールフォア!!」


「だぁー!くそっ!全然入んねぇ!」

連続フォアボールをした那須野が悔しそうに

マウンドで吠える


「良兄落ち着けー!」

「島崎と星の事は忘れて投げろー!!」

そう野次を飛ばすバックの皆に「そうだな!」と

開き直る那須野。


パァァン! 「ストライク!!」

持ち直した那須野が初球を取る。


「くっ...」 キャッチャーの石川が苦しそうにしているのを桑山ボーイズ名将・朝日は見逃さなかった。


ぱっぱとサインを出すと8番の梶原が一瞬驚く。

梶原を真っ直ぐみる監督の目を見て、梶原はそれが

サインミスではないと確信する。


2球目、グッと足を上げた那須野を見ると


ダッ!!っと2塁ランナーの新沼、一塁ランナーの山崎が駆け出す。


「良兄スチール!!」


「ここでダブルスチール!?」

「自殺行為だ!!」


観客のその声とチームメイトの声に那須野の気が散る。

しかしすぐ目の前を見て冷静に対処しようとした瞬間、

梶原がバントの構えをしているのを視認する


ボッ!! 「あっ、しまっ...」


叩きつけたボールはベースの遥か手前でバウンドする


「うぉ!!」 ガッ!!

そのボールをキャッチャー石川が弾く


「梶原4つだ!!帰ってこい!!」

「良兄!カバーだ!!」


その声に梶原が3塁ベースを、那須野が一瞬遅れて

ベースカバーに入る。


ザァァー!!! バシッ!!

那須野が取った時には既に梶原がホームへ生還していた

7回の裏、土壇場で桑山ボーイズが3-3と同点に追いつく


「ごめん...良兄...」

申し訳無さそうにする石川に肩をガッと掴んで那須野が言う。


「俺もテンパった!!秀太ならこうはならなかった!

お前のせいじゃない!俺がピッチャーとして未熟すぎるだけだ!このバッターで切ろうぜ!」

その笑顔に「あぁ!」と返事する石川。

その顔を見て朝日は「もうこの手は通じない」と感じた


ボッ!! パァァン!!「ストライクバッターアウト!」


8番梶原を三振で抑え、吠える那須野。

そしてベンチに帰ると

「みんなすまん!俺の制球が!言うこと聞かなくて!」

とベンチ前で謝る。


「元からコントロールは期待してないから!」

「今日ほぼ良兄が点とってるから俺らが最後は決めてやるよ!!」と意気込む


カァン! 「アウト!!」

タァン! 「ストライクバッターアウト!!チェンジ!」


延長8回の表、タイブレークで迎えた上位打線を

内野フライ、三振で白田が見事に3人で抑える。


「満塁から点入れないとは...」

「桑山はピッチャーの層も暑いな!!」


規定により8回からタイブレーク形式で1アウト満塁から

となっており、桑山ボーイズも同じ形式で攻撃に入る。

そしてマウンドには7回に引き続き那須野がマウンドへ


パァァン!! 「ボール!!」

1人でもフォアボールを出せば決着のこの緊張下で

那須野はフォアボールを恐れず投げ込む。


ボッ!! カァン!!

9番投手の白田がショートへ打つ。

「ショート!!」


パシッ! ビッ!

ショートの喜山が高いバウンドに上手く合わせ捕球、

そしてホームへ転送する。


バシッ! 「アウト!!」


ショートからの少し逸れた送球を貰ったキャッチャー

石川がホームフォースプレイを成功させる。


「しゃぁぁ!!!」

「ナイス圭人!辰哉もいいカバー!」

ショート喜山のプレーに那須野が褒める。


2アウトランナー満塁と変わり、打順は1番御手洗に戻る


「フー...」

打席に入る前、御手洗がバットにおでこを当てながら

深く息を吐く。


(天野は投球制限で投げれない。白田も頑張ってくれているが今ランナーのあいつをマウンドには送れねぇ...

俺が決める...!!)


打席に入り那須野を見る。

すると仲間に接している那須野とは違う雰囲気が漂う。一瞬、その雰囲気に飲まれるという時


「御手洗ー!」と一輝が叫ぶ


「決めようとしなくていいぞ!!

最後は俺が持ってくから余計なことすんなよ!

三振して戻ってこい!!」


そう言いながらパチッとレガースをつけ始める

一輝。

その様子を見てベンチにいる全員が続く


「そーだ!!今日ノーヒットだから欲張んな!」

「今日の御手洗は絶不調だからな!

みんな!ランナーのグラブと帽子持っとけ!」


とからかうように言う。


だがそんな声を聞いた御手洗は「ぷっ」っと

笑ってしまう。


ベンチに背を向け再び那須野に向き合う。

先程とは違う佇まいに那須野にも緊張が走る。


ググッ!っと力を溜めるように足を上げる那須野。

ボッ!! パァァン!! 「ストライク!!」


ミットから煙が出そうなボールをがっちり掴む捕手石川

そのボールを見て御手洗はいつも通り冷静に構える



小学生の時、星や天野と全国制覇をした。

チームじゃ俺が1番足が早いし1番守備が上手かった。

バッティングやピッチングはあの2人には敵わなかったけど、それでもあの2人とは対等だと、十分見合う

選手だって思ってた。

けど中学上がって、2年生になって、星が入団して

全て俺の思い間違いだと知った。



ボッ!! パァァン!! 「ストライクツー!!」

那須野のボールに思い切り振る御手洗。


(こんなスイング、「俺」じゃねぇよな...!)


ググッ...っと力を溜める那須野。

そして全てを解放するようにボッ!!っと放る




勝手にあの2人を上に置いて、

ついには同格と思い込んだ愚かな俺...

そんなまだまだな俺の野球人生。

ここから面白くなっていくんだよな...

俺の...御手洗奏汰(みたらいかなた)の野球人生は...!!



カァァァン!!

力のあるボールを綺麗にセンターに返す。

それはいつも見る御手洗の打撃だった。


ドッ!

センターは目の前に転がるボールに膝をつきうずくまる


「さ、サヨナラー!!!」

「決めたのは桑山ボーイズ御手洗奏汰!!」

「豪速球をいつも通り綺麗に運ぶ

サヨナラセンター前ヒット!!」


グッと手を握り

「うぉぉぉぉ!!!」っと吠える御手洗。


その御手洗にベンチを飛び出し全員が迎えに行く。


春の全国大会準決勝。

4-3で桑山ボーイズが御手洗のサヨナラタイムリーで

勝利を収めた。






ご視聴ありがとうございました!

明日も更新予定です!

よろしくお願いします!

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