初試合②
「プレイボール!!」
審判の一言で試合が始まった。
日野さんが大きく振り被る。
ビッ バチン!! 「ストライク!」
初球からストライクを取りに行った。
相手バッターは170後半くらいのデカイ左打者だ。
「なーマネージャー、相手の選手でやばいのって
誰だー?」
「わぁ!!びっくりした!あんたがここで喋ってるとうちも怒られるんだけど!」
「いや監督が相手のことと自分のチームのことは結衣に聞けって」
「え〜。うちスコアつけてんだけど...」
「まぁ〜いーじゃん。」
少し面倒くさそうに結衣が続ける。
「...もう。瀬田ボーイズは全員が全国レベルの強豪だけど最も警戒する選手は4人。
一番の外岡さん。3年生で足があってコンタクトヒッター。」
キンッ
話しているとちょうど一番の外岡が打球を前に飛ばした。しかし運悪くセカンド正面だ。
続く2番打者はセーフティを仕掛けるが多田に阻止された。
日野は軽く舌打ちをした。
「中軸の3番岡さん。瀬田ボーイズで一番本塁打が多い。確か30本くらい打ってると思う。
去年日野さんこの人にホームラン打たれてるのよねぇ〜」
「ふーん。」
初球内角低めのストライクを取ると日野はワインドアップをやめてセットポジションで球をほおる。
キンッ
軽い打球音が響きサード後方に飛んでゆく。
ダッダッダ パシッ
それを御手洗がサード線ギリギリのところで捕球する。
「アウト!チェンジ!」
あっけなく終わった。なんというか簡単に打たされてるような感じだ。
「?結衣が言うほどの打線か?これが」
「あんた、日野さんから打ったからって調子乗ってるんじゃないの?」
「え?」
桑山ボーイズの攻撃。
1番は御手洗だ。
「ピッチャーの竹富さんね。最速120kmの速球と
スライダーが、武器の投手。でも...」
キンッ
御手洗が打球音とともに左打席から既に走り出していた。
打球は伸びに伸びて左中間真っ二つ。
「中継確実に〜」
「バカか!焦れ!3つだ!」
叫ぶ喜田に驚くセカンドだが既に遅く、
御手洗が原付のようなスピードを出しあっという間に
三塁に到着した。
「御手洗くんはこの投手から今年の春3-3
それだけじゃなくても中学通算出塁率は.610
多分中学生で御手洗くん程高い水準の1番も中々いないと思うな。」
「2番は山下さん。ココ最近打率は下がってきてるけど本塁打は結構打ってるね。長打の2番打者ってやつ。」
「おいコラ竹富ぃ。フォアボールなんてつまんねーことすんじゃねーぞ。」
「くっ!!」
ビッ ブォン!! バシッ。
バットが勢いよく空を斬る。
いや空気を殴っているようなスイングだ。
「すげぇ球だぜぇ!!」
そのスイングと気迫に押されてか
竹富はフォアボールで無死一二塁を作ってしまう。
「3番の武田さんね。この人以上に嫌な打者はうちにはいないわよ。」
ビッ バシッ ビッ バシッ ビッ キンッ ビッ キンッ
武田さんだけにもう9球を、投げ込んでいる。
結衣が言っていたのは本当のこと見たいだ。
「ボールフォア。」
「ちぇ。俺3塁まで走った意味ねーじゃん。」
御手洗がなんか言った気がした。
「よろしくお願いします。」
「4番の鎌田さんね。打率5割近くて本塁打も38本。この世代No.1って言われてる打者よ。」
「あぁ、この人は地元住んでて知らねー人はいねーよ。」
ピッチャーが振り被る
ググッと背中を半分投手の方に向ける鎌田。
ビッ キーーーン!!! ドォォン!!
俺の時とは比べ物にならない打球が
室内練習場に突き刺さった。
今週はここまでです!
次回「初試合③」です!よろしくお願いします!