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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
68/70

天狗

〜試合開始から数分後〜


投球練習をしている焦斗を見て桜木ベンチが驚愕する。

パァァン!っと鳴らすその剛腕

140を超える速球を打つ体験をするのは中学生でも

そうはいないだろう。


「おいおい…ブルペンの時より早く感じるよ...」

「ほんとに同じ中学生かよ??」

口々にそう告げる桜木ナイン達。

するとヘルメットを被りバットを持った一人の男が

ベンチの前に立ち堂々と宣言する


「よし!お前ら任せろ!

この俺が先頭打者ホームランかましてやるからよ!

そうすれば後も続きやすくなるだろ!がはは!」


そう叫ぶのは桜木ボーイズ主将、那須野良平

鳩が豆鉄砲を食らったようにポカーンとするメンバー。

そしてすぐさま


「何言ってやがるアホ良平!」

「こんっのど素人が!そんな単純じゃねーんだよ!!」

次々に罵声を浴びせる選手達。

「ばか」とマネージャーの明里も続ける


「ガーハッハ!見とけよお前ら!」

と言いながらズケズケ歩いていく那須野

その後ろ姿を見てやれやれと言いながらキャプテンを

放置し作戦会議を始める桜木ボーイズ




カァァァン!! ドンッ!!


時は戻り焦斗vs那須野。

3球目の真っ直ぐを真芯で捉えバックスクリーン直撃の

先制ソロホームランを放った那須野がクールにベースを周りながら手を見る


(い、いってぇー!!!

真芯だぞ?!なのにこの手の痛さ!球重すぎだろ!)

クールな表情を何とか崩さないようにしながら

ダイヤモンドを走る。


(でも有言実行!

まさかほんとに打てるとは思わなかったけど...

外に真っ直ぐ来るのが投げた瞬間、感覚的にわかったぜ

これでカッコつけられるな〜!)


ドンッ!っとホームベースを踏みベンチへ帰る那須野。

ヘルメットを取り両手をバッと広げ皆が飛び込んでくるのを待っていたが誰も近寄ってこない。

その態度に那須野が興奮しながら叫ぶ


「おい!ホームランだぞ!

キャプテンが先頭打者ホームラン打ったのに何だその

反応はよぉ!」


那須野の声に1人が「ぷっ...」と笑いが堪えきれず

全員が笑い出してしまう。


「な、なんだよ?!何がおかしいんだよ?!」

そう聞く那須野


「いや、だって良ちゃんカッコつけて

喜ばないんだもん!ちゃんと喜びなよ!!」

そのツッコミに那須野は顔を赤くしてそそくさとベンチへ下がっていく


「しっかし、まだ初めて2年ちょいだってのに...

なんであんなのが打てるんだろうな」

「才能...野生の勘??

分かんないけどすげー頼りになるよな」


わちゃわちゃ話している桜木ボーイズを尻目に

桑山ボーイズはタイムを取りマウンドに集まる


「すまん...ストレート3球目続けた俺のミスだ...」

「いや、俺も力で押し切ろうとした。

戸山だけのせいじゃないさ。」


戸山と焦斗が話し合っていると


「んな事はもういい。

天野、ショートにどんどん打たせろよ。俺が全部捌く」

「御手洗...?」

「いや、サードに打たせろ。俺が全部アウトにしてやる。」


サードの梶原、ショートの御手洗がそう言う


「と、とりあえず落ち着きましょう。1個ずつアウト取ってリズムを作っていきましょう?」


2年生の摩耶がピリついた空気を変えようとするが

意味はなく、そのままタイムの時間が終わる。


「プレイ!」

2番の喜山が打席に入る。

しかし焦斗は制球が定まらずフォアボールを出す


「天野!自力で抑えようとするな!打たせろ!」

「セカンドに打たせろ!」

「いいやサードだ!ゲッツー取ってやる!」


その光景をベンチで見ていた一輝は違和感を覚える。


みんな...なんか変だぞ...?

先制点を取られたからじゃない。いつもはこんな焦り方

していないだろ...なんだ??


カァァン! 3番鈴木がショートゴロを放つ。


「そらきた!」

そう言い御手洗の前に大きくワンバンした打球が飛ぶ。


「2つは無理だ!1個を...」


戸山のその指示を無視し御手洗が(行ける!)と確信する

捕球しボールを握り変えようとした瞬間


ポロッと右手からボールが落ちる


「しまっ...!」そう後悔するのも遅く

一塁ランナー、そしてバッターランナーもセーフとなる

「くそっ...!」そう言いながら地面を蹴る御手洗。


続く4番、鬼頭。

カァァン!っと4球目を引っ張り打球がサードへ飛ぶ。


パンッ! サード綾部が打球を取り

3塁ベースを踏みゲッツーを試みようとする。


ダンッ!っと3塁を踏みアウト、バッターランナーを見ると既に半分以上進んでいた。


「無理です!ノースロ...」

ファースト摩耶がそう伝えるも、梶原が一塁へ放る


ビッ! しかし送球は逸れライトの島崎がカバーをする


1アウト2.3塁と得点圏にランナーを置き

桜木ボーイズの5番田中が打席に入る。


「いけー!パワー自慢!」

「流れ最高だぞ!玉砕覚悟でいけ!」

「それはダメだろ!」


楽しそうに応援をする桜木ベンチ。

「うるせぇな...草野球じゃねーんだよ」と

イライラが募ってくる桑山ナイン。


カァァン!! 5番田中がカットボールを上手く捉え

外野に運ぶ


「ライトー!」

右中間よりの打球をライト島崎が追いかける。


(体制が悪い...!中継を挟まなきゃ...)

そう思い戸山が声を出す


「セカンド!中継だ!」


その声にセカンド新沼が反応しカバーラインに入る。

が、ビッ! っと放った島崎の球は高く逸れてしまう。


「なに?!」


ダンッ!

パシっ! 3塁ランナーは楽々タッチアップで生還。

2アウトランナー2塁で未だピンチだ。


(島崎、今一人で行こうとして...)

その勝手なプレーに一輝は違和感を覚える。


6番鈴村をピッチャーゴロに仕留め

スリーアウトチェンジ。


桑山ナインはベンチの前で円陣を組み小ミーティングを行う。


「…」

監督の朝日が喋らずにそこに居た


「これが、お前らのしたかった野球か?」

その言葉に全員がバツが悪そうな顔をする


「戸山だけだぞ

最良の判断を下し全員に伝えているのは。

こんなチームでここまで勝ち上がれた事に、ワシは

驚きと恥ずかしさがある。」


誰も何も言い返せない


「秋大を制したからといって、そこで終わりか?

まさか全員が全員、天狗になるとはな。

もう少し考えて野球をしたらどうだ?」


最後に「いけ」とだけ言ってベンチに下がっていく監督



《1回の裏、桑山ボーイズの攻撃は

1番、ショート、御手洗くん》


(くそっ...俺から始まったミスだ...

ここで一発でかいの打ってチャラに...)


ビッ! コォォン! 「しまった!」


初球、アウトローの変化球を引っ掛け御手洗はアウト。

続く摩耶、焦斗も初球から仕掛けて全て凡打になる。


「お前ら3人とも早い段階から打ちすぎだ!

球数投げさせろよ!」

「わかってんだよ!次は打ってやるから黙っとけや!」


最悪の雰囲気のまま桑山ボーイズはベンチを飛び出す




《桜木ボーイズベンチ》


「ちょ!吉川!お前今日どうした?!」

「いやわからん。(笑)全部引っ掛けてくるよ桑山」

「最強ピッチャー生まれたか?!」


桜木ベンチはピッチャーの吉川を褒めながら

ムードを作っていく。


「うっしゃ!そのまま打ってこいよ秀太!」

「おぉう!那須野(おまえ)より飛ばしてやるよ!」


桜木ボーイズが2回の攻撃に入ろうとしていた。


ご視聴ありがとうございます!

明日も投稿予定です!

よろしくお願いします!

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