桜木ボーイズ 那須野良平
大田スタジアムAM11:30
春季全国大会準決勝
桑山ボーイズvs桜木ボーイズが始まろうとしていた。
[スターティングメンバー]
1.遊 御手洗
2.一 摩耶
3.投 天野
4.右 島崎
5.捕 戸山
6.二 新沼
7.中 山崎
8.三梶原
9.左 綾部
スターティングメンバーを発表された瞬間
全員に疑問と緊張が走る。
中には「どうして星じゃないんだ?」
「昨日監督に呼ばれたのは怪我とかあったのか?」など
疑問を口にする選手もいた。
電光掲示板に映し出されたスタメンを見た瞬間
観客、スカウトも驚いていた。
エース天野が緊張で硬くなっていた戸山に声をかける
「戸山、今日はお前が正捕手だ。緊張しないでいこう」
「お、おう!わかってるわ!!」
そう強気に話すが、やはり重圧はあるのだろう。
「試合開始は10分後です!」と審判が告げ、各々準備に励む。
[桜木ボーイズベンチ]
メンバー表を見た選手達がざわつく
「おいおい!星でねーのかよ!舐めプか?!」
「怪我とかだろ?決勝で舐めプなんてある訳ないだろ」
そう様々な考察をする選手達。
「何か作戦があるのかも...」と1人の選手が呟くと
全員が険しい顔になる。
すると
「なーに暗い顔してんだよ!元気に行こうぜ!
元気に!!」
そう大声で話したのは桜木ボーイズ主将、那須野良平。
その声を聞き全員から緊張の糸が切れる
「いやいや良平兄ちゃん気楽すぎんだよ!!」
「そうだ!相手は去年の秋取ってるチームだぞ?!」
総ツッコミを受け那須野は少したじろぐが
「そんなの関係無いだろ!!俺らがガチでやれば
どんなチームにも負けねぇよ!な!!」
その勢いに全員が「やれやれ」と言いながらも笑顔が
戻る。
「良ちゃん、そろそろ試合始まるからトイレ行けば?」
マネージャーの吉良明里がそう言うと
「た、確かに!腹痛くなってきた!ちょっと行ってくる!」と那須野が駆け出す
「良ちゃんの試合前ルーティンはどこでも同じだね」
「「ははは!!」」
「自分がいちばん緊張してんじゃないの?」
さっきまでと打って変わって那須野が居なくなっても明るいチーム。
再び桑山ベンチに戻る
ブルペンで投げていた焦斗が一輝に声をかける
「一輝、ちょっとトイレ付き合ってくれ」
「え、うん」
どこか元気の無さそうな一輝を焦斗が連れ出す
「昨日、監督となんかあったのか??」
「いや...特には...」
歯切れの悪い回答に焦斗が詰め寄る
「なんも無ければお前が出てない訳ねーだろ
何があった??」
「いや...ホントに分からねぇんだよ...
今のチームを外から見てみろって言われて...」
「...」
少しの沈黙の後
「すみませーん!!扉の前にいる人!!
紙とって貰えませんかー?!!」
と男の声がトイレに響く
「え、あ、はい!」と言い一輝が紙を放り投げる
ジャーっという音が流れたあと、一人の男が出てくる
「いやー!助かりました!試合に間に合わなくなる所でした!!」
「「さ、桜木ボーイズ?!」」
「え?」
トイレから出てきたのは先程トイレに行っていた那須野
その姿を見て一輝と焦斗のふたりは驚く。
(やばい...今の会話聞かれたか?!)そう思う2人を他所に
那須野が口を開く
「え?!桑山ボーイズやん!
しかも星一輝と天野焦斗?!うわーめっちゃ恥ずい!」
2人の気も知らず一人ハイテンションで話す那須野
(な、なんか思ってたのと違うな...)
2人を避け手を洗う那須野
「こんな所で作戦会議とか...やっぱ意識がちげーな!
相手に知られないようにこっそり話してた訳だ!」
「い、いや別に...」
「...どこまで聞いていた??」
焦斗が鋭い目をしながら聞く
「え?何も聞いてないぞ?」
「...本当か??」
「うん。昨日星が監督室に呼ばれてチームを外から
見てみろって言われたこと以外何も」
「「…」」
(聞いてんじゃねーか!)と2人はツッコミたくなったが
あえて黙る。
「でも良かったよ。手抜きとかじゃなくて何か狙いがあって星が出ないっていうのてさ。」
「…分からないんだ」
「ん??」
「なんで外されたのか、分からないんだ」
一輝の一言に那須野がピタッと洗う手を止める
「那須野...お前もキャプテンならなんか分からないか?俺が...キャプテンが外された理由を...!」
「んー....」
考え込む那須野に2人は唾を飲む
「…わからん!」
「え?」
「分からん!ってか分かったとしてもこれから戦う相手にそんなこと教えないだろ〜」
「そ、それもそうだよな...すまん」
申し訳なさそうにする一輝に那須野は腰に手を当てながら見る。
そして一輝の肩にポンっと手を置き言う
「分からんけど...俺がキャプテンやってんのは
チーム全員で勝つ為だ!あと消去法!
一輝が何を悩んでんのかは知らんけど、チームを見る
ってのは、チームを集団じゃなくて個として見ろって事じゃないのか??」
「...個??」(てか急に名前呼び...)
その時、ガチャ!っと勢いよくドアが開けられる
「良兄何やったんだよ!試合始まんぞ!」と
桜木ボーイズの選手が入ってくる
「おう!今行く!
じゃ、またな、一輝!焦斗!」
そう言い那須野は去っていく
「なんだかよく分からんが俺らも行こうぜ」
焦斗が言う
「そうだな...」
「双方例!!」
「「お願いします!!」」
審判の合図で両チームが挨拶を交わす
マウンドに上がった焦斗がポンポンっとロジンをつけ
構える
《1回の表、桜木ボーイズの攻撃は
1番、センター、那須野くん。背番号10》
右打席に那須野が入りグッと深く構える。
キャッチャー戸山のサインに焦斗が頷き振りかぶる。
ググッ...ボッ! パァァァン!! 「ストライク!!」
「うぉ!速っ!」
思わず大きな声でそう言った那須野。
それもそのはず、初球の真っ直ぐが144kmと
焦斗は絶好調だ。
ベンチでは一輝が結に質問する
「なぁ結、那須野ってどんな選手なんだ??」
「わっ!もうっ!急に話しかけないでって!」
「すまんすまん。で?那須野はどんな選手??」
「...那須野良平君。右投両打ちの外野手。
中学生離れした身体能力を活かす選手...」
「両打ち...そうなのか。あんま見ないな」
「でも1番特異なのは...」
2人が話している間にも焦斗が振りかぶり足を上げる
ググッ...ボッ!
カッ!! 焦斗の真っ直ぐを真芯で捉える音がする
カァァァン!!
「センター!」戸山がそう叫ぶ。
「結構伸びるな...」そうセンターの綾部がゆっくり後ろ向きで落下地点に入ろうと思っていると
ドンッっとフェンスにぶつかる
「は??」
ゴンッ!!
那須野の打球はセンターの頭、そしてフェンスを超え
バックスクリーン下段に消えていった。
驚く一輝に結が告げる
「彼は..野球を初めてまだ3年も経っていないの...」
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