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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
最終章:中学3年春季大会
65/83

夏鈴が出塁し1アウトランナー1塁


3-0とリードしている桑山ボーイズだが

相手は古豪狭山市ボーイズ

油断も隙も見せられない。


ボッ!! パァァン!! 「ボールスリー!」


6回、50球を超えた焦斗のボールが荒れ出す。


「焦斗!ランナー気にせず行こう!

内野はゲッツーこだわり過ぎず、1個1個行こう!」


...夏鈴は初回2塁で刺せたけど、動きが激しい...

引きずってない動きだな。

ここでフォアボールは痛い。

剣心の前に塁を埋めたく無い...

甘めでもいい!腕を振り抜け焦斗!!


スッっと足をスライドさせボッ!っと腕を振る焦斗


ガキィン! っと2番の小野がつまらされショートに

ぼてぼてとボールが転がっていく。

一塁ランナーの夏鈴はスタートがよくボールも

ぼてぼてだった為2塁は無理か...


(剣心の前に得点圏ランナーいるのは嫌だが...)


一輝がそう思い、「1つでいい!!」と声を張る。

しかし御手洗がパシッと取ると一塁ではなく

2塁に無理に送球しようとする。


「お、おい!」

(いける!俺だって...このまま何もしないで

終わらねーんだ...!)


腕を振ろうとした瞬間、グラブからポロッとボールが零れる。


「しまっ...」


1アウトランナー1.2塁迎えるのは3番加賀美


「すまん」とボールを手で拭いながら焦斗にボールを

渡す御手洗。

焦斗は「あぁ」と言うだけだった。


3番加賀美をキャッチャーフライに討ち取り一息つく

チーム。そして


《4番、サード、幸村くん》


俺はネクストから歩いてくる1人の男を見る。

1.2打席目どちらも長打を放っているこの男、幸村剣心。


1打席目とは違い、既にオーラが漏れ出している。

集中しきっているのだろう。


「姉さん...今帰すよ...」

そう言ったのを一輝は聞いた。

バッと立ち上がり外野を後退させ

内野には確実に体で止め、近くのベースを踏むように

指示を出す。

打球速度を考えれば妥当な判断だ。


幸村剣心。彼は学童野球時代から注目されていた逸材。

小学生でありながらプロのスタジアムで柵越を打つなど

その体躯に見合わないパワーで一時期話題にもなった。


しかし彼自身は内気な性格であり注目されるのもあまり

好まない。

先輩達からの風当たりは強く悩まされスランプの時期も

頻繁にあった。

中学生になってもそれは変わらず

1年生〜2年生の夏まではベンチ外になる事もあった。

それと同時に徐々にその名も同世代の選手達に埋もれて行く。


「剣心はさ、アタシと違って才能あるんだから

思いっきりプレーしなよ?アタシも負けないくらい頑張るからさ!」


双子の姉、夏鈴にはいつもそう励まされていた。

勝気な姉が羨ましく、憧れでもあった。

そんな姉が今日、その自尊心を破壊された。

彼はそれが堪らなく許せなかったのだ


ボッ!! パァァン!! 「ボール!!」

厳しめに攻めていく一輝、焦斗バッテリー。


(この球威をスタンドまで運ばれるのはまずない...

大吾や蓮でも手を焼くレベルで今日は球威がいい...)


一輝がそう思い、内角低めに構える

コクリと頷きグッっと力を溜め、焦斗が放る


ボッ!!


僕の原点は姉さんだ...

姉さんを負け投手にする訳には...行かないんだ!!


そう強く思い、剣心がバットを前に出す。

瞬間、クンッ!っとボールがカットする。


「なっ?!」

カァァァン!!!


打ち上がったボールがセカンドの頭を、そして

ライトの頭を超えていく


「行くな!!」 叫ぶ一輝

「越えろー!!!」 叫ぶ剣心


ガシャン!!

放たれた弾丸はライトフェンスに突き刺さる

しかしフェンスは超えていない。


はっとした一輝が

「島崎バックホーム!!一塁ランナー帰るぞ!!」


パシッと掴み島崎が中継へボールを送る


ダンッ! 2塁ランナーの夏鈴が生還し

一塁ランナーの小野がベースを回る


「4つ来い!!」

再び叫ぶ一輝

「星ぃー!!!」

セカンドの新沼がホームへ送球する


「おぉぉぉぉ!!」

パンッ!!

ザァァァ....!


ギリギリの交差。審判もその交差をじっくり見る。


「...アウト!!!」

「くっ....」

悔しそうに膝を地面に付けたままの小野

2塁ベース上でその光景を見る剣心


その後6回の裏桑山ボーイズの攻撃は得点は無く

狭山市ボーイズが最後の攻撃に入り

どうにか剣心に回そうと下位打線も奮闘するが続かず

3-1で桑山ボーイズが勝利収める。



勝ち上がった桑山ボーイズはその日2回戦を行う為

1度ベンチを去る。


お昼ご飯を食べようとスタンドに向かおうとした

一輝と結。焦斗は幸村姉弟に打たれたのが悔しかったのか、「走ってくる」と話しどっかに行ってしまった。


「結ちゃん」

呼ばれた方に結が振り向くと、そこには少し哀愁漂うを

していた夏鈴が立っていた。


「夏鈴ちゃん...」

「悔しいけど、負けちゃった...強いね、桑山は...」


夏鈴の後ろに隠れている剣心も少し顔が引きつっていた


「うん...でも、夏鈴ちゃんもほんとに凄かったよ。

男の子にも負けないくらい凄かったよ。」

「!...ありがとう」


その言葉に一瞬嬉しそうに笑う夏鈴


一輝は剣心にこっちで話そうと

結と夏鈴を2人きりにさせる。


「ねぇ結ちゃん。なんで野球辞めたの??」

座りながら2人が話す


「...ウチのパパさ、プロ野球選手だったんだよね。」

「うん。知ってる。朝日選手。メジャーで三冠王取った初めての日本人選手...一昨年引退したよね」

「そう。プロでもメジャーでも凄い活躍でね。

ウチが野球始めたのもそんなパパがカッコよくて、

憧れで、自分もそうなりたいって思ってた。」


結が楽しそうに話を続ける


「お兄ちゃんもいてね、2個上のお兄ちゃん。

今年甲子園にも出てて、ウチが初めて入った学童チームでもスタメンで、それはもう凄かったの」

「うん」

「そんな凄い人達が前を走ってて、ウチも

そうなれるって信じてた。でも当時のチームの

監督、コーチ、仲間達は期待しすぎてたのかな〜。

並レベルのウチに凄い落胆しちゃってて...」

「並なんて!絶対そんな事ないよ!!」


立ち上がりそう叫ぶ夏鈴に結は驚きながらも

少し微笑む


「でね、「そこまで上手くないのにキャッチャーで

レギュラーなのはお前の親が、兄貴が凄いからだー!」って言われて...」

「結ちゃん...」


「あ、勿論それだけでやめた訳じゃないよ?!

...1番はね、ウチは甲子園で野球したかったの。」

「あっ...」

「そう。女子は男子と一緒に甲子園に出れないのよね

女子甲子園はあるけど、ウチはあの甲子園の熱気が好きなの...別に女子野球の甲子園が良くないとか、そういう事を言ってるわけじゃないんだよ?!」

「うん」

「それでも出たかったの。夏の甲子園に」


その言葉に、夏鈴はなんと言えばいいか分からなかった


「でもね。当時一緒のチームだった子が言ってくれたの」

「??」

「「結の夢は俺が継いでやる!同じプレースタイルで俺が甲子園に行けば、結の実力で甲子園に行くのと同じだろ!」って。」

「その子って...」


ふふっと結は笑いながら剣心と話している一輝を見る


「馬鹿だよね。わざわざ左打ちから右打ちに、

外野手からキャッチャーになるなんて。

でもウチはそれがすごく嬉しくてね...託しちゃったんだ。一輝(あいつ)にさ」

「一輝君が??」

「うん...それからもう普通の幼馴染としては

見れなくなっちゃったよ」


そう嬉しそうに話す結の横顔に夏鈴は顔を赤くしながら

聞く


「え、え?!結ちゃん...一輝くんの事...」

「もー!良いでしょ!ほら!ウチら次の試合もあるからもう行くよ!」


恥ずかしそうに立ち上がり歩いていく結

「あ、待って!」夏鈴のその声に結が振り向く


「絶対、勝ってね!次の試合も、その次も...

その後も!!」

「うん!!任せて!!」


結はそう笑い、剣心と話していた一輝に戻るぞーと

腕を引きチームの元へ戻っていく。


夏鈴の元へ戻ってきた剣心が夏鈴を見る。

その顔はとても満足に満ち溢れた顔をしていた。


ご視聴ありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!!

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