表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
56/73

景色

「ボールバック!!」


7回の表、2-1とリードしたまま守備に着く桑山ナイン。

一輝の声掛けでボール回しがおわる


ビッ! パァン!

「ナイスボール!」

一輝の2塁送球の後、御手洗がボールをマウンドにいる

焦斗にボールを渡す


「最終回!しまっていくぞ!!」

「「しゃぁ!!」」


打席には首里ボーイズ4番中曽根

一輝は面をグッと被り腰を下ろす。


「初球から振ってけ!!」

「まずは同点!ランナー貯めていこうぜ!!」


首里ボーイズもベンチから声を張り上げる。

その目にはまだ負けていないという意思が宿っていた。


「プレイ!!」

審判の掛け声と同時に一輝がサインを出す

それに首を縦に振り、焦斗が大きく振りかぶる。


スッ...ボッ!! パァァン!!「ボール!!」

初球はアウトローに真っ直ぐ。

しかし低めにはずれ判定はボール。

中曽根は見えていたのか、それとも手が出なかったのか

反応はすれど、バットは止まっていた。


(早い...140kmなんて打ったこともない...

けど...だからってここで引くわけには行かないんだ!

俺があいつらに優勝の景色をみせ...)


パァァン!! 「ストライク!!」

「くっ...!」


先程より数cm上に真っ直ぐが決まる。


タァン!! 「ストライクツー!」

続く2球目、真ん中から外低めに逃げるスライダー。

中曽根は追い込まれるとバットを持ち直し

短く持ちベースに被るように構える。


ボッ!! カァン! 「ファール!!」

真っ直ぐについて行きファールとなる。


(天野と言えど、こんなにベースに被られたら嫌なはず!外の真っ直ぐを思い切りシバく!!)


スッ... 焦斗が足をゆっくり上げる

グッと中曽根が構える。


ビッ!!

(!!インコース!しかも抜けてる!打てる!)

中曽根がそう思った瞬間。


クンッ!! っとボールが落ちる。

「なに?!」タンッ!! 「ストライクバッターアウト!」

胸元から腰にまで落ちたフォークボールを

中曽根は空振った。

そのボールを難なく取る一輝。


「まずは1アウト!いいボールだ焦斗!」

「しゃぁ!1アウト!ナイスピー!」

「天野さんナイスボール!!」

一輝の声に全員が反応する


《5番、サード島袋くん》

パァァァン!! 「ストライク!!」

中曽根同様、ホームベースに対し被るように構えるも

そんなのお構い無しにインコースに投げるバッテリー。


(インコースにスライダー。仰け反らせてフライにさせるぞ。腕振ってこい焦斗!)

サインに頷き構える。


スッ...ビッ!!

(よしいいコース!確実に仰け反る!!)


カァァン!


(振ってきたな!)「ファースト!!」

一輝の思惑通りフライを打ち上げる島袋

しかし打球は思惑通りには行かなかった。


「っ!届かない!」


打ち上げたボールはファーストの摩耶の頭を大きく超えライン内側にポテンと落ちる。


「くっ!島崎!バックセカン!!」

読みが外れた事を切り替え、指示を出す一輝


「走れ島袋!!2つ行ける!!」


パシッ!っと島袋がボールを握りセカンドへ放る


「「突っ込めぇー!!!」」

首里ベンチの声に呼応するようにザァー!っと

ヘッドスライディングをする島袋。

しかしボールはショート御手洗が捕球、そしてタッチをする。

土埃が舞う2塁ベース上埃が晴れていき全員が注目する。


「...!セーフ!!」

「「よっしゃぁぁぁ!!!」」


手にタッチをしに行ったが、その手は先にベースに触れていた。

塁上で島袋も吠える。


「おいおい同点のランナー出たぞ!」

「まだまだわかんねぇなこれは!」

スタンドも首里ボーイズの逆転の兆しにワクワクを隠せずいた。


「すいません、タイムお願いします」

「ターイム!!」


審判に告げ、一輝がマウンドにいる焦斗に近寄る。

他の内野手も行こうとしていたが

「俺らはいい!内野手ちょっとこっち来い!」と

御手洗が内野手を集める。


「なんだ?別に気にしてねーぞ」

と焦斗がマウンドに来る一輝に不満そうに言う

「まぁまぁ。さっきのは事故だからな!

俺も勝負焦りすぎたわ...もっと落ち込んでても良いけど」

「落ち込むかよ。言うなればあれは打者の信念が起こした奇跡だな」

「なんだその達観した感想は」

「で?何しに来たんだよ」

「いや、多分最後のタイムだからさ。1個言っとこうと思って」

「??」

「小3からずっとバッテリー組んできて、小学生の時に全国制覇。そして今、中学生でも全国制覇に王手をかけてる。これってすげーことだろ??」

「...ああ。」

「結なんて見てみろよ。ずーっと手合わせて祈ってんぞ」

「そうだな。」

「俺ってば、親父のことあってから結とお前に助けられて、ここまで来れるとは思ってなかったんだ。」

「…」

「上手いこと言えねーけどさ!

こんなバッテリー俺ら以外居ねーと思うんだよ。」

「…」

「お前と組めて良かった。俺らが最強のバッテリーだ!」


そう言いながらグローブを焦斗に突き出す一輝。

焦斗は少しの沈黙の後、そのグローブに自分のグローブを突き合わす。


「あと二人で切って結にも最高の景色見せてやろうぜ!」

「あぁ。決めるぞ相棒」


フッと笑い一輝がホームへ戻っていく。

その後ろ姿を見ながらロジンをポンポンと着ける焦斗。

セットポジションに入り、足を上げる。


(一輝、助けられたのは...)


ボッ!! パァァン!!

「俺も一緒だ」

「ストライク!!」


力の乗ったストレート。ミットから煙が出そうなそのボールに6番宮里は手が出ない。


ボッ!! パァァン!! 「ストライクツー!」

「くっ!!しゃぁ来い!!」


吠える宮里。そしてテンポよくサインを組み交わし

足を上げる焦斗。


ボッ!! キィィン!

打った打球はファーストベンチ側、つまり桑山ベンチへ

飛んでいく


その瞬間、ダッ!!っと走り出す一輝


「嘘だろ?!取りに行くのか?!」

「間に合わねぇ!間に合わねぇ...はず...だ...」


ザァァ!! パシッ!

上手く滑り込み、ベンチの柵に足を着かせながら

捕球した一輝。

そしてすぐさま立ち上がりセカンドへ送球する。

ビッ!! タァァン!! 「セ、セーフ!!」


セーフになったが、その守備力にどよめく球場。


一輝はふと、ベンチに目を向ける

片目を瞑りながら何かを祈る結がそこにはいた。


ニッと笑い一輝が結に指をさしながら

「目ぇ瞑ってると最高の瞬間を見落とすぜ!!」

と言う。


そういう一輝に結はふふっと笑いながら

「じゃーしっかり見てるから!見せてよね!!」

祈る手を解き、目をグッと見開く。

「しししっ!あぁ!!」


再び腰を下ろしながら構える。

スッ...ボッ!! パァァン!! 「ストライク!!」

鳴り止まぬそのミットの音を聞きながら

首里ボーイズの新垣、比嘉が話す。


「なぁ琉太?」

「なんだ??」

「全国ってやっぱすげーな」

「そうだな」

「俺らは早すぎたのかな?」

「...挑戦に遅いはあっても早いなんて無いだろ」

「そうだな...」

「それに、今日が最後じゃないんだ」

「...そう...だな...!!」

「泣くなよ。秋の大会でよ」

「泣いてねぇよ...」


パァァン!! 「ストライクツー!!」


「しゃぁ!!いいボールだピッチャー!」

「最後のボールは俺んとこ打たせろ!!」

「いいや俺に!!」

「俺だァ!!」


期待と緊張が走る桑山ナイン

まだ闘志が消えない打者。


(最後は...「コレ」だろ??)

一輝の出すサインに大きく頷き足を上げる焦斗。


スッ...

(さぁ見ようぜ焦斗、全国の頂の景色!!)


ボッ!!!

パァァァン!!!


唸りを上げた真っ直ぐのボールが、

轟音を鳴り響かせミットに収まる。


「ストライク!バッターアウト! ゲーム!!」


その掛け声に一輝が立ち上がり、焦斗が腕を掲げ、

守備をしていた野手達がマウンドへ集まっていく。


「しゃぁ!!!日本一だぁ!!!」

「俺らが日本一だぁ!!!」


もみくちゃになるマウンド。

監督の朝日陽一も「ふー」っと息を吐き方の力を抜いた。



マウンドで喜びを分かち合った後、選手整列。

「お互いに素晴らしい、まさに決勝に相応しい試合でした。礼の後、全員で握手を...礼!!」

「「ありがとうございました!!」」


全員がお互いに固い握手を交わす。

そしてキャプテン同士の一輝と新垣も握手をする。


「今までのどの試合も比にならねぇくらいの

最高の試合だった!!またやろうぜ!星...一輝!!」

「あぁ!次やった時はぜってぇ打つからな!渉!!」

「お前3タコだったもんな一輝」

「渉、お前も打たれたあとめっちゃ泣いてたな」

「「う、うるせぇよ!!」」


焦斗と比嘉のチャチャに恥ずかしそうに声を荒らげる

一輝と新垣。


中学ボーイズリーグ秋の全国大会

2-1で勝者桑山ボーイズ


ご視聴ありがとうございました!

秋の大会編、これにて完結です!

次回もよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ