沖縄二枚看板
「よし。全員揃ったな。それじゃぁチームミーティング始めるぞ」
ある公民館の一室で桑山ボーイズのミーティングが始まろうとしていた。
舞鶴ボーイズとの試合を終え一夜明けた夕方、
ベンチ入りメンバーが集まっていた。
コーチの高島がある資料を手に説明を始める。
「まず、昨日の試合は良くやった。相手も癖のあるチームだったが、それを打ち崩し、守り抜いた。
昨日の勝利は明日の試合への大事な経験だと俺は思う。」
つらつらと話し始める高島、いつも選手のデータは
マネージャーの結が説明をするのだが、今日は用事が
あったようでお休みだ。
「昨日、大宮球場での埼玉の狭山西ボーイズと沖縄の首里ボーイズが戦い、首里ボーイズが決勝へのチケットを手にした。今年の夏は全国予選敗退、春も同様だ。
その為あまりデータはないがマネージャーの朝日ができる限り集めてくれた。」
さすがは結だ。自分の行っていない球場の事も
バッチリだ。今頃ドラフト会議を見ているだろうが。
「首里ボーイズは投手をローテーションさせて投げていて、全く掴めないチームだ。だが今からあげる2人が、間違いなくエース級だろう。」
高島コーチはそういうとペラりと資料をめくる。
「まず1人目は左サイドスロー新垣渉。
最速115kmと早くは無いが、手元で四方に曲がる変化球が特徴的だ。」
変則ピッチャーで四方にバラける球...
対戦したことないなぁ〜。
一輝がそう考え込みながら聞いていると、高島は続ける。
「次に2人目が右の本格派比嘉大弥。最速128kmの真っ直ぐと鋭いカットボールを投げるそうだ。」
カット...投げてみたいなぁ...
今度一輝に聞いてみるか。
焦斗もボケ〜っと聞き流しながら右手でボールを遊ばせていた。
「この比嘉という選手は基本中継ぎ、抑えのような系統をされていて、基本的には1番でショートを守っている。
ローテーション的には明日は新垣が投げるという。
だが今更何を準備しても遅い。自分達の全力を100%でぶつけていけ!!」
「「はい!!」」
泣いても笑っても明日で秋は終わりだ。
負けて散った奴ら、俺らに経験をさせてくれた奴らの
分まで、全力で明日は挑むのみだ!
[首里ボーイズサイド]
タンッ!! 日が落ちた公園に3人の影が映る。
首里ボーイズエース新垣渉
同じくエース比嘉琉太
そして正捕手であり主砲の仲宗根仁だ。
「今のはどうだ?!手ぇでんだろ?!」
「ダメだダメだ。星だったら行かれてるぞ。」
「厳しいな琉太!このコースなら絶対打たれないだろ!」
「そんくらい高ぇ壁っつー事だ。ダウンして帰ろう。明日試合だ。」
「お前は投げんのかー?」
「俺が投げんくても勝てる試合作れ。」
「なんじゃ!そりゃ!」
「だいじょぶやっさ渉。琉太が出て俺が返す。渉が抑えて俺らが勝つ。それでいいさ。」
「そねが言うなら良いよ〜。でも琉太適当に言ってるからな〜。」
とぼとぼと歩いていく3人の後ろ姿はやがて見えなくなる。
次の日、大田スタジアムPM12:30。
両チームが整列する。
桑山ボーイズ8年の歴史で全国大会出場7回。
首里ボーイズは19年の歴史で5回。
共に強豪と言われるチーム同士、
700チームの頂点をかけた試合が始まろうとしていた。
「礼!!」
「「「しゃぁす!!!」」」
ご視聴ありがとうございました!
次回より秋の全国大会決勝、VS首里ボーイズが始まります!よろしくお願いします!!




