表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
40/70

再戦

《1回の裏、天王ボーイズの攻撃は、1番ショート白浜(しらはま)君》

舞鶴ボーイズの攻撃を0で抑えた天王ボーイズの攻撃が始まる。


「白浜ー!まず塁に出よう!」

「甘いのは叩けよー!」


「プレイ!!」

「さぁ〜て。お手並み拝見やね。」


セカンドの鷹宮が不敵な笑みを浮かべる。


スッ...ビッ! パンッ! 「ストライク!」

舞鶴ボーイズの投手東山、今大会初登板である。


(球はそこそこ来てるけど120〜125くらいの普通のピッチャーだな。なるべく球種見たいけど...甘いとこ来たらぶっ叩く!)


ビッ!

(言ってる側からイン激甘!)

カァァン! ドッ!

引っ張った鋭い打球は右中間に飛ぶ。


「バックセカン!!」


キャッチャーの声を置き去りに、白浜がダイヤモンドを駆ける。


「セーフ!!」

「しゃー!先頭いい出方!」

(フー。ライトの中継送球悪いな。外野飛んだら帰れるな。)

「いやぁーええバッティングやね〜。ウチの1番に爪の垢を煎じて飲ませたいわぁ〜。」


鷹宮が声を掛ける。


「うわっ!なんだお前!」

「あぁ〜すまんすまん。いい選手見つけると声掛けたくなるねん。」

「そりゃどうも。」

(なんやこいつ??変な雰囲気やな)

「よっしゃ!外野下がろか!天王さんはみんなええスイングやからな!長打警戒やで」

「!」

(下がってくれるなら結構!帰りやすくなるわ。)


ビッ! パンッ! 「ボール!」

(打たれた直後にインコース。舐めとんのか肝座ってんのかよぉ分からんわ。)


迎えるは2番 永留(ながとめ)。今大会3割を打つ中距離打者。


(まぁ...打って欲しいんなら思っきし打ったるわ!!)

カァァン!


「しゃー!センター返し!1て...」


バッ! パンッ!!

永留の鋭い当たりをセカンド鷹宮がダイビングキャッチをする。

「しまっ!」

「はっはぁ!」


飛び出していた2塁ランナーの白浜が急いで戻る。


(飛び込んで起き上がった頃には戻っとる!へーきや!)


そう白浜が思っているのも束の間、鷹宮は持ち替えることなくクイッ...っとグラブからボールをショート白鳥に パスする。


パスっと言う音を白浜は目の前で聞いた。


「アウト!!」

「くっ!!」

悔しがる白浜に鷹宮が言い寄る。


「いや〜たまたま寝転がったとこにボール来たわ〜。

普段から徳を積んどくとええことあるね♪」

「ふざけやがって...!」


そのプレーに球場がザワつく。

「おいおいなんだよあのセカンド...ボールショート寄りだったろ?」

「握り替えが間に合わないと思ってグラブトスか。判断も速い。」


そう話していたのは、桑山ボーイズ御手洗と島崎。

その目の前に座っている男、星一輝はじっと鷹宮を見ていた。


「どんまいどんまい!そーゆうこともあるわ!

ええ当たり続いてるし力まず行こか!」


カァァァン!!! ドムッ!

続く3番バッター、エース泉がレフトフェンス直撃のツーベースヒットを放つ。


「よっしゃ!ツーアウトから得点圏!」

「あぁ!しかも次は...」


《4番、ファースト、藤君。》


「きたぁー!藤!!」

「今大会一番の注目選手だ!!」


観客が今日1番の感性に包まれる。

今大会0.491 4本塁打という記録を残しているからそれも頷ける。


迎える初球。

パンッ!っと鳴らすミットはインロー。

丁寧な投球で初球をストライクにする。


「大吾!チビは要らんで!デカいの行こうや!」

「エース楽に帰らせたれ!」


ビッ! パンッ! 「ボール!」

またもインコース。

藤はピッチャーが投げる度、セカンドの男を見る。

ニヤケ顔が張り付いている男を。


「東山!落ち着いて行こう!一塁空いてるんや!」

コクリと頷きモーションに入る。


ビッ! キィィィン!!

甲高い音は凄まじい打球を放つ。


「よっしゃー!今度こそ...」

引っ張った当たりをセカンドが追いかける。

バッ! パンッッ!! 「「な?!」」


飛んだ。セカンドが飛んだのだ。

右中間を割る勢いの速い打球を当たり前の如く。


「アウト!スリーアウトチェンジ!!」


呆然と立ち尽くす藤。

鷹宮はチラリと藤を見るが、何事も無かったかのように

その場を去る。


「くぅ...」

「コラッ!あんま引きずんなよ!」


白浜が藤の頭を叩く。


「あイタ。」

「そーだそーだ。無様に飛び出しアウト食らった奴が居るんだ。しゃーないしゃーない。」

「おぉい!永留ぇ!」

「せやな!次じゃ次!俺にいい形で回せよ!気合い入れていくぞぉ!!」

「「しゃぁ!!」」


天王ボーイズの指揮が上がる。





[4回表]

カァァン! 「くっ!」

4回の表、舞鶴ボーイズの攻撃は、先頭打者の白鳥がセンター前で出塁する。


「勝負した結果だ!またゲッツー貰おか!」

「どんどん打たせてこい泉!!」

「フゥ...フゥー...」

初回から粘られかなりの球を投げている泉の息が上がってくる。

球数は63球。踏ん張り所である。


「あーまたヒット。ちょっと球数多くないか?」

「あぁ。サインも決まってないし、泉は本調子じゃ無さそうだな〜。」


観客のため息が聞こえ始めた。



《3番、セカンド、鷹宮君。》

「優心!ここ抑えて裏で点とったる!せやから楽に!」

「おーおー。めっちゃ声かけんなー。

あのピッチャー君より周りの方が焦ってるやん。

格下だと思ってた相手に1点も取られへんからかな??」

「...」

「あぁ!不要な私語はアカンかったんや!すまんすまん。」


ビッ! パァァン!!「ボール!」

「せやけど...70球近く放ってんのに球速落ちへんなぁ...さすが去年優勝チームのエースや。」

「...よく喋るな。お前。そんなに余裕け?」

「くくく...余裕やね。息のあってないバッテリーとか俺の1番好きな相手やもん。」

「な?!」

「気づいてんねやろ?泉クンとバッテリー組むに値しない選手っちゅうこと。泉クンに声をかけているように見せ掛けて、自分を落ち着かせようとしてるコト。」

「何を...」

「意識してんやろ?夏に見た桑山のキャッチャークン。」

「ッ!!」

「お?当たり?当たった??くくっ。そら意識してまうよなぁ〜?天王ボーイズにいれば世代ナンバーワンキャッチャーの座もワンチャンあるのに、あんな傑物おったらそら劣等感も抱くわ!」

(ち、ちが...俺は...俺はただ...)

「北島ァ!!」


泉の言葉にハッとする北島。

強い眼力で語りかける泉。


(全力で腕を振る!ランナーは...任せたぞ!)

(そうだ...俺はただ優心の最高のボールを受けるだけ!

星や他の選手は気にするな!来い!優心!!)


コクリと頷き、スッ..と足を上げる泉。

グッ...ボッ!!

鋭いストレートがインローへ刺さる。


(ええボールや!打ってもファール!ここから組み立て...)


「単調なリード、タイムも取らない余裕のなさ。

付け入る隙を作ってくれてあんがとさん。北島クン。」


カッ...キィィィン!!

「「!!!?」」


打った瞬間、球場が静まり返った。


ライトは見上げ鷹宮が微笑む。


ドムッ!! その静まり返った球場に大きな音が響く。

ライトフェンスに突き刺さるツーランHR。

鷹宮はバットをゆっくり投げ、ベースを走る。


「うぉーー!!!!!」

「ツーラン!!ツーランホームランだぁ!!」

「しゃぁぁ!!先制点!!」

「鷹宮ナイバッチー!!」


沸き立つベンチ、観客。

立ち尽くす泉、北島。

一塁ベースを踏む際、鷹宮が藤に声をかける。


「友情ゴッコもええけど、ぬるすぎなんだよ。

勝ちへの執着が、熱さが感じられない。ダッサイ王者倒しても、何も面白くない。」

「ッ!!!」


ダンッ!! 鷹宮が強くホームベースを踏みつけ、北島に向かい口を開く。


「仲良しこよし結構。譲ってくれる道があんなら。俺らはそれを堂々と渡るだけや。春大まで、サヨナラ。」


天王ボーイズ監督代理の指示で泉がマウンドを降りる。

秋季全国大会準々決勝、2-0で舞鶴ボーイズがリードする。

ご視聴ありがとうございました!

明日は投稿できなさそうなので、また次回お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ