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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
第2章:中学2年夏の選手権大会編
4/85

初試合

ドンッ!!

鋭い打球音と鈍い屋根の音が室内練習場に響く。


「ん?誰だ?第2から飛んできたのか?」

「今第2球場使ってんのって今日入った新入りと

日野達だろ?新入りが打ったのがここまで飛んできたんじゃね?」

「んな事あるかー?日野の球ァここまで運べるなんて鎌田くらいだろ。」


T打撃をしていた3年生の3人

武田昌也たけだまさや山下透やましたとおる

そして桑山ボーイズ主将、主砲の鎌田賢かまたけんが屋根の音を聞いて口を昼く


「無くはないっすよ。

相手があの星一輝なら有り得ますよ。」

そう話すのは一輝達と同年代でありながら

桑山ボーイズのライトを守る2年の島崎恵しまざきめぐみ


「なんだぁ?島崎お前あいつ知ってんのかぁ?」

「知ってるも何も、少年野球の時俺らの年で

全国制覇したチームのキャプテンっすよ。

地元であいつ知らない奴いないし、中学上がる前は全国でもあいつと天野倒すって目標のヤツらがこぞってボーイズリーグに入ったんですよ。

1年くらいいなくなってましたけど

今日いきなり入ってきてびっくりしましたよ。」


山下と島崎が話していると、主将の鎌田が

「それなら見に行って見るか!」と提案をする



ー第2グラウンドー

一輝が特大ホームランを放ったあと、

傍観していた1年生達が少しの静寂の後

「「「ぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」と口にする。

打たれた日野は少し驚いた顔をしながら

室内練習場を見ていた。


「ほぉ。打撃は腐っとらんようじゃなぁ。」

「うん。桑山に入るって決まった時から

ずーっと素振りしてるとこウチ見てた!」


1人の老人と、女の子が話している。

それに気づいた1年生のひとりが声を上げる。

「こ、こんにちは!!」

「!!こんにちは!!!」

つられて1年生全員が声を上げる。


監督の朝日陽一あさひよういち

隣にいるのはその孫でありマネージャーの朝日結


「お疲れさん」と

挨拶を返す朝日監督にマウンドの日野、

キャッチャーの多田、外野の焦斗、御手洗が

頭を下げ「「「「お疲れ様です!」」」」と

大きな声で挨拶をした。


うんうんと頷きながら監督は一輝に目を向け

言い放つ


「一輝!どうだ?

このチームは!やって行けそうか?」

優しい声音で語りかける監督に

一輝が元気よく返事をする


「はい!日野先輩と多田先輩に少し練習を手伝って貰ってます!

小学生とはレベルが全然違いました!

でも気にかけてくれる先輩もいるし

上手くやって行けそうです!」


そう話すと監督は少し微笑み、球場を後にする。



監督が去った後、日野が口を開く


「あーあ。監督に恥ずいとこ見られたぜ。

オマケに後輩に気を使われるとはよォ〜」

バツが悪そうにそういう日野に一輝が声を掛ける


「気を使う?なんの事ですか?

日野さんは全然本気じゃないですよね?」

日野が横目で一輝を見る。


「日野さんって直球もいいボールですが、

一番の武器は多彩な変化球とコントロールですよね?今日は一球も変化は来てません。」

純粋な瞳でそう話す一輝に日野は少し驚く

するとキャッチャーの多田が肩に手を起きながら

一輝に語りかける


「すまんないっき。

あいつはあれでもお前を気遣ってたんだが

言葉にするのが人一倍...百倍苦手なだけなんだ。

だから許してやってくれ。」


そう言う多田に

(あ、初めて喋った...)と思う一輝。


「っせーよしょーま!負けは負けだ。

俺が変化球投げなくても抑えられると思って投げただけだ。

そんなに言うなら俺に変化投げさせるまでの打者になってみろよ小僧!」


小っ恥ずかしそうに話す日野に焦斗が口を挟む。


「あのすいません。俺の番はいつですか?

ずっと待ってるんですけど」

「あ〜?天野〜。

おめーも打席入りてーならそー言えや。」

「いや、俺は日野さん抑えに来てるんで、

早くメットとバット持って打席入ってください。あ、良ければ多田さんも。」

淡々と話す焦斗に眉をピクつかせながら

「こ、このガキィ...」と言う日野。

しかしそう言いながらも渋々打席に入る


「キャッチャー変わります。」

一輝がそういうと黙々と防具を脱ぎ始める多田。


パチッ!っというレガースを止める音、

そしてプロテクターの重み

(この重さ...久しぶりだな。)

防具をつけならがら一輝が少し微笑む。


「1打席だ!俺としょーま2人で2打席!

それで終わりだ!いいなぁ?!」

「はい!」


返事をしたのは焦斗ではなく一輝だったが構わず

日野は構える。


「あれ?天野投げてんじゃん」

「ほんとだ。初めて見るわ。」

「あいつは投げれんのかァ?なぁ?島崎ぃー」


室内練習場から出てきたのは先程

ティー打撃をしていた4人

片付けが終わってから来たようだ。


「投げれますよ。

肘の状態悪くて去年投げなかっただけっていうのはみなさん知ってるでしょう?」

「そういうことじゃねぇ...いい球放るんかぁ?」

「いい球も何も...小学生の時天野より

いいピッチャーなんていませんでした。」


パァァン!!!


話していた4人がその乾いたミットの音を聞き

グラウンドの方を向く


「は、速ぇー!!」

「なんだよあの球!

日野さんより速くねーか?!」

そのボールに1年生達が驚く


「おぉ...あれは凄いな。」

「速ぇ〜。130後半は出てんじゃねーか??」

「...はやっ」


感心する3人を横目に、鎌田は思う。


(あの新入りらあの球をいとも簡単に捕球しゾーンに納めたな。

多田に勝るとも劣らないキャッチングだ。)



「ふん...まぁまぁだな。」

冷静に分析する日野、しかし内心は穏やかでは無かった。

(うっそだろ?!こいつこんなに球速ぇーんかよ!

ほんとに中二かよ。)


(球の速さだけじゃない。

低いリリースポイントから浮き上がるような球。それを軽々取るいっき...か)

ネクストサークルでそのボールを

日野より冷静に分析する多田。



ボッ!! カァン!


2球目、早速当ててきた日野。

これには一輝も驚く。


(この人、ピッチングだけじゃなくて

バッティングもすげーんだな。

すぐに修正して焦斗の球に当ててきた...)

少しニヤリとして一輝は焦斗の方を見る。


(すげぇ!これが桑山ボーイズ!

俺はこんな凄い人達と全国制覇を目指すんだ!)

ミットを何回も叩き嬉しさを隠しきれないで居ると

「早くサイン出せ」と言わんばかりに焦斗が

一輝を凝視する



ボッ!! パァァン!!

3球目、日野が振りぬいたボールがミットに

綺麗に収まる。

ボールから伝わる球の圧、手の痛さ。

全てを噛み締め一輝が言う


「ナイスボール」


その掛け声に反応するように

焦斗が帽子のつばをクイッと持ち被り直す。


「せんぱーい。三振ですからね〜。」

「っせーよ御手洗!!

おいしょーま!次お前だろ!メットかぶれ!」

「いや、俺はいい。

お前みたいに惨めに討ち取られたくないし。」

「はぁ?ざけんなぁ!

おめーなら打てんだろーが!」


そんな風に騒いでいると、キャプテン鎌田が

日野の肩に手をかけながら声を掛ける。


「なら俺に譲ってくれるか??」

「!...鎌田、室内なかじゃなかったのかよ。」

「誰かさんが打たれた音がしたんでな。

飛び出してきたぞ!」

「うるせー!星と天野に聞けや!」


荒い口調で日野がそういうと鎌田は一輝の方に

目を向け、質問をなげかける。


「なぁいっき!いいだろ?俺も入れてくれよ。」

(で、デケェ。180cm超えてる?焦斗よりでけぇ)


息を飲みながら、一輝は答える


「僕は全然いいですよ。焦斗がいいなら。」

「なんだよ。みんなあやふやな回答ばっかだな。

天野ー?いいかー?」

「...お願いします」


焦斗は少し動揺したのか言葉が詰まっていた。

若干顔が引きずっているも承諾した。

その会話を聞き御手洗がショートからレフトへ

移動する


記事や動画サイトで見たことある一輝とは違い。

焦斗と御手洗はこの男の凄さを理解している。

中学通算31本塁打、中学生とは思えない身体。

一言に恐ろしい。


そんな気持ちを押しのけ、

焦斗はセットポジションに入る。


すると。

「そこまでだー!」と声が聞こえた。

コーチの高島だ。


「お前らもう18:00だぞ!そろそろ終わっとけ!

明日は試合だぞ!」


その掛け声に、鎌田はしょんぼりしながら言う。


「なんだ終わりか。しょうがないな。

天野!続きはまた今度だ!」

「あ、はい」


気の抜けた声で焦斗が受け答えする。


「いっき...お前と天野の実力はある程度分かった

そして今日から俺らはチームメイト、

夏の選手権大会に向けて9人18脚で頑張るぞ。」

「!は、はい!(9人18脚??)」


困惑している一輝に山下がトンボを持ちながら

声を荒らげる。

「おいコラおめぇーら!

話してねーで整備すんぞ!」


「は、はい!」(手伝ってくれるのかな?)




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


帰り道で一輝、焦斗、結の3人が

自転車に乗らずとぼとぼ歩いていた。


「いや〜日野さんはすげー投手だったなー!

エースって言われるだけあるわー。」

「打った癖に何言ってんの。って言われ待ち?」

「あ、バレた?(笑)でも満足なんてしてないよ。

あの人変化投げてないし、なによりわざと俺に

打たせてくれた気もする。」

「あの人がー?なんでよ。意味わかんないっ!」

「なんとなくだよ!次は本気出させる!」


キャッキャ話してる2人に焦斗が口を開く。


「鎌田さんとやりたかったな。高島コーチが

入らなければ抑えてたのに。」

「コーチは時間を守っただけだから!

明日も試合なんだし大人しく帰るの!」


その言葉に、一輝はハッとする。


「そう!明日試合じゃん!1年と5ヶ月11日ぶりだな〜!楽しみすぎる!俺出るか?!」

「細かく覚えすぎだろ。キモい」

「んだと?!そんだけ楽しみなんだよ!」

俺の記憶力に嫉妬してか焦斗が暴言を吐く

そんなことお構い無しに結が告げる


「明日日野さんが先発らしいし取るのは多田さんじゃない?」

「あーやっぱ?まじの時の日野さんはどんな球

投げんだろ!

でも今日の日野さんや鎌田さんを

見る限り、上級生はやばいな!燃えるぜ。」

「俺も投げたい」

目に闘志を燃やす一輝に同意する焦斗。


盛り上がる2人を後ろから見ていた結。

(あぁ...懐かしいなこの感じ。

ほんとにまた野球やってくれて良かった。)

3人の影は夕日で伸びていた。


次回!試合です!

評価してくれると嬉しいです!

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