玉座をねらえ!
PM15:00航空公園球場 第3試合
天王ボーイズ (大阪)VS舞鶴ボーイズ (京都)
パァァン!!
「ナイスボール優心!」
「次、ラスト。」
天王ボーイズエース、泉優心がブルペンで肩を作っていた。
ブォン!! ブォン!!
そしてベンチ前で素振りをしているのは
4番にしてキャプテン、今大会2試合で3本塁打を記録している男、藤大吾。
「なんかあの二人、妙に気合い入ってへんか??
まだ3回戦っちゅーに。」
「確かに。大吾とか試合前いつも眼球ストレッチとかしてんのに、ずっと振ってんな。」
「大吾!そろそろ試合!みんな集めて!!」
「お、あぁ。わかったよハナちゃん。」
「監督代理や!!」
[舞鶴ボーイズベンチ側]
「いやー天王ボーイズ間近にするとなんて言うか...
やっぱ迫力あんなぁ〜。」
「せやなぁ。4番の藤とか高校生にしか見えへんし。」
「なぁたかみ...」
話している選手の後ろで目を閉じ座っているのは
舞鶴ボーイズ:鷹宮蓮。
「アホ!試合前に鷹宮に声掛けんなや!殺されんで!」
「選手ベンチ前!!」
審判の声で両チームが整列する。
鷹宮が整列すると視線を感じた。視線の先には
対に並んでいる藤と泉が睨みを利かす。
それを嘲笑うように鷹宮が見下す。
(おーおー意識しちゃってー。そない睨んでたら怖くて自分のプレー出来んくなってしまうわ。 作戦通りやわ。)
《1回の表、舞鶴ボーイズの攻撃は1番、センター西君。》
「プレイ!!」
「フー...」っと泉が息を吐く。
スッ... 静かに足を上げる。
ビッ! パァァン!! 「ストライク!!」
(うわぁ〜初球からスライダーって...しかもこのキレ...
えっぐいわぁ...)
「本戦...どころか予選大会でも無失点。桑山の天野も無失点やったな。観客はこのふたりの投げ合い見たいんやろなぁ〜。」
鷹宮がそう呟く。
ビッ! カァァン! 「?!」
「サード!!」 パンッ! サードの倉木が取る。
「大吾!!」 パンッ!! 「アウト!!」
「たぁー!おっしぃ!」
「...」
「優心!少し内に入ったな!腕振って来いよ!」
(バットに当てられるのは別に驚くことじゃないが...
2球目でヒット性の当たり...いや、いちいち不安に思うことじゃないな。)
キャッチャーの北島が考える。
《2番、ショート白鳥君。》
白鳥がバッターボックスに入る。
「スライダーのキレホンマエグいわ。真っ直ぐも結構伸びて来よった。」
ベンチに戻った西が全員に情報を伝達していた。
「1番なのになに2球目で終わっとんの??」
ネクストに入ろうとしていた鷹宮が口を開く。
「たった2球で何を伝えることがあんねん。
打てる自信があるならええけどサードゴロて(笑)
見送って球数稼いで球種見せてもらえばええやろ。
なんの為の1番やねんカスが。」
「お、俺は行けると思って」
「行けてへんやん。結果打ってへんのに何反論してきてるん?」
「すまん...」
キィィィン!! 「ファール!!」
キィィィン!!「ファール!!」
「おっけーおっけー!優心ええボールや!攻めてけ!」
(7球...結構粘ってんな。)
キィィィン! パンッ!!
痛烈な当たりはピッチャーライナーとなる。
「すまん蓮。」
「まぁええわ。最低限や最低限。」
《3番セカンド、鷹宮君。》
鷹宮が左のバッターボックスに入る。
(来たな...)
藤、泉の2人が身構える。
(さぁ〜て。お手並み拝見やね。)
バッ!っと泉が振りかぶる
ビッ!! 「おっ?!」 パァァン! 「ボール!」
インコース高め、顔付近に真っ直ぐが突き刺さる。
「おー怖。力んで抜けたんか、わざとなんか。
キャッチャーさんのサイン??」
「...」
「少しくらいお話してくれてもええやろ。」
ビッ!! パァァン!! 「ストライク!!」
「おぉ〜。ええ球!今のスラ?カット??」
「...」
「君!グラウンド内での不要な会話は謹んで!」
「あー。すんませんすんません。気ぃつけます。」
(ボールは走っているぞ優心!!妙な雰囲気を纏って居るが、夏のお前とは真っ直ぐのキレも変化のキレも全て上だ!内に逃げるスライダーだ。自信もって腕を振ってこい!!)
ビッ!! ギュルっと手元で球が変化する。
カァァァン!!! 「「?!」」
完璧に捉えた打球はファースト、藤の元へ
バチィ!! 強い球を藤が弾く。
「くっ!!」 「はっはぁ!」
弾いた球をすぐさま広い、ボールを拾うも、鷹宮が俊足を飛ばす。
ドッ!! ドムッ! 「...セーーフ!!」
「しゃぁー!鷹宮出たァ!」
「続けよォ!四条!!」
「クソっ!取れへんかった!すまん優心!」
謝る藤に泉は片手をフイっと「大丈夫」とでも言うように振る。
「すまんなぁー藤くん。怪我とかないかぁ?
ビッグスターに怪我させたら外あるけんからなぁ〜。」
「ツッ...」
「おー怖。わざとや無いで??事故やん事故。」
《4番、レフト、四条君。》
「さぁ!四条行こうぜ!!ランナー返そう!!」
舞鶴ベンチが声を出す。
ビッ! パンッ!
泉が牽制をする。
「おっとぉ。はは、泉クン気合い入っとるね。
なんか気に触ったこと言うたかなぁ??なぁ藤クン。」
「...黙れ」
「ハハッ...怖いからここに居たくないなぁ。はよ次の塁行こっと。」
「は??」
セットポジションに入る泉、スっと素早いクイックを行う。が、動いたと同時に完璧なタイミングで鷹宮が走り出す。「スチール!!」「「な?!」」
パンッ!! 北島がボールを持ち替える。
(初球ビシバシスタート?!牽制されたばっかで?!)
「来い北島!!」
「遅いわァ」
ズザァーっと鷹宮が滑り込む。「セーフ!!」
「よぉーし!得点圏!!」
「先制点貰おうや!!」
「すまん優心!!」
北島の声に先程同様、手を上げるだけの返事をする。
(ここで切れば盗塁もカンケーない。2球目取りいくぞ)
コクリと頷き振りかぶる。
スッ... 「スチール!!!」
「「なっ?!!」」
2球目、鷹宮がまた駆け出す。
「舐めんなぁ!」 ビッ! ズザァー! パンッ!
「セーフ!!」
「くっ!マジか...」
「フー...セーフセーフ。」
「気にすんな北島!ここ切ればええ!」
「お、おぉ!すまんな!切ろう!」
パァァン!! 「ストライクツー!」
「あーこりゃあかんな。まぁプレッシャーはかけられたやろ。」
パァァン!! 「ストライクバッターアウト!!」
三振に切って落としマウンドを降りる。
去り際、泉と鷹宮の目が合う。
ニヤリと笑う鷹宮、見続ける泉。
ポンッと藤が泉に手を置く。
「ナイスピッチ優心。ここからは俺らの攻撃や!」
「...ふんっ!エラーしとったやつが偉そうにすんなや。」「うっ!だからすまんて。」
「頼りにしとるわ。4番。」
「任せろ!」
ご視聴ありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!!




