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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
38/70

それじゃぁ、また。

「ストライク!バッターアウト!」


迫から三振を奪った焦斗が帽子のつばをクイッと上る。

バッターボックスにいる迫は悔しいような、嬉しいような顔で打席を後にする。


パァァァァン!! 「ストライクバッターアウト!チェンジ!」

後続の3.4番を三振に抑え、この回を終える。


「さぁ。そろそろ頑張っている天野に追加点をやらんとな。」

監督の朝日が口を開く。


「まずは綾部、相手投手も頑張って居るが、ここまで51球とかなり投げ込んでる。浮いた球が増えてくるイニングじゃ。際どいところは捨てて甘い所を狙いなさい。」

「はい!」

「緊迫したこの状況で次に投げる投手は気が気じゃないだろう。今準備している投手もブルペンで球が浮きまくっとる。この意味、分かるな?」


4回裏、桑山ボーイズの攻撃が始まる。


ビッ! カァァン! ビッ!カァァン!

7番綾部が8球程粘り、9目でフォアボールを勝ち取る。

球数はら60球。投手交代も考えられたが、投手は変わらず続投。


8番の山崎は2球で追い込まれるも、センター返し放つ。しかしまたしてもショート迫にその打球を阻まれ

ゲッツー。9番新沼も三振に倒れる。


「ヨシ!!ヨシ!!」

坂町ボーイズエース林が吠えながらマウンドを降りる。


「やっぱ迫だな。あそこ超えなきゃ焦斗、感覚は平気か?」

「あぁ。問題ない。今日絶好調だ。」

「そっっか。じゃぁ早く楽にできるよう、点とってやる!」


5回の表、焦斗はこの回も3人に切って捨てる。


「結。焦斗の球数は?」

「59球。あと11球だね、6回に5.6.7番、7回に8.9.1で行けたとしても結構ギリギリだし...」

「結構投げてんな。まぁ粘られてたしな。」

「問題ない。1人3球ずつで終わらせる。」

「それがベストだな。」

「ちょっと!そんなの現実的じゃないよ!あと一人の場面で70球超えたら、焦斗の後ろ投げる人は1人にしか投げれない!そんな状況下でベストなピッチングできる訳ないよ!」

「そうさせないように投げる。向こうもそれが狙いで粘ってくるだろうけど、俺には関係ない。」

「はっはっは!そう来なくちゃなぁ!」

「だから点とって来てくれよ。最後まで投げさせろ。」

「おう!任せろ!」


キィーーン!

3人で話していると、1番の御手洗が左中間を抜くツーベースヒットを放っていた。


「しゃおらぁ!続けよ摩耶ぁ!」


摩耶が打席に入る。


(一輝君に繋ぐ。よりもランナーを前に進める!

欲張り過ぎず、コンタクトに...)


コンッと絶妙なバントが3塁に転がる。

1アウトランナー3塁。打者は3番星。

坂町ボーイズは堪らずタイムをとる。


「どがぁするん?次は星じゃ。」

「一塁空いとるけぇって敬遠しても、次ぁ4番の島崎じゃ。勝負するしかなぁじゃろ!」


野手陣で話していると伝令が来る。


「上位打線じゃけぇ逃げても後がおる。ここは腹ァ括って勝負じゃと!」

「じゃろうな。内野は前、外野も前じゃ。」

迫も口を開く。

「運任せで抑えられる打者じゃない。攻めてけよバッテリー。」

「おぉ!そうじゃ内山!お前の後ろにゃ、しっかりしたんがおるけぇ!思っきし腕振ってこい!」


タイムが終わり再びプレイが始まる。

内野外野前進で1点も許さないシフトだ。


ピッチャーの内山が足を上げる。

その瞬間、一輝がバントの構えを取る。


「「スクイズ!!」」

構えた瞬間、サードファーストが前にでる。

しかし迫は考えた。


(早すぎる!いくらなんでも構えるのが早すぎる!

そんな凡ミスをここで犯すか?!星も緊張でおかしなった?!)


ふとサードランナーの御手洗を横目で見る。


(走っとらん!!)

「待て!出るなぁ!!」


ビッ!! ピッチャーが投げた瞬間、一輝がバットを立てる。


カァァン! ヒッティングだ。サード後方のライン際に

フライが上がる。


(クソ!早打ちしすぎた!でも落ちる!!)


ダッダッダ! 前進していたレフトより早く、迫が走る。


「それ取れるん?!」

バッ!! パシッ!!

迫のダイヒングキャッチで何とかぽてんを防ぐ。


「4つだァァー!!!」


捕手のその叫びにバッと顔をホームへ向ける。

御手洗がスタートしていた。


(や、やばい!この距離で走りよるんじゃ!間に合えぇ)


ビッ!! ザァー!! パンッ!!

「セーーーフ!!」


「しゃぁー!!!!」

「「セーフだぁ!!!」」

「ナイスラン御手洗!!」

「どんなギャンブルだよお前!!」

「サンキュー!御手洗!冷っとしたわ!」


桑山ボーイズ1点先取。


6回表、焦斗は援護に答えるかのように

5.6.7番にバットを触れさせず三振に切ってとる。


さらに6回裏

キィィィーン!! ドンッ!


「おぉぉぉ!!天野行ったァー!」

「追加の2点ソロホームラン!!」


天野の自援護でさらに突き放す。


7回表、坂町ボーイズが2点とらなければ終わる最終回、

8番、9番を宣言通り三振で抑える。


《1番、セカンド、有田君。背番号、4》

(まずいまずいまずい!引きずり下ろす所かこのままじゃ6者連続三振で終わる!!そんなこと絶対ダメだ!)


そんな事を考えながら、有田が左打席に入る。


ボッ!! パァァン!「ストライク!!」

「くっ...!」

(70球近く投げても衰えないこのスピード...)

ボッ!! パァァァァン! 「ストライクツー!」


「フー...」

有田と焦斗が同時に息を吐く。

(天野は次で69球。外れて70球になっても俺義務投球で俺までは投げないと行けない...俺らが勝利する為には、どちらにしろ俺が打たないと意味が無い...って投げんの速ぇよ!!)


ボッ!! カァァン! 「クソっ!...あ...」

ドッ! 振り遅れたのが功を奏してか、レフト前に落ちる。


「しゃぁー!ランナー出たぞぉ!」

「球数も次で70球!見送れば交代だぁ!」

「...いや、70球目の打者には投球義務がある。

つまり迫には投げなければならないんだ...」

「そん...いや!迫なら打ってくれる!いけー!迫!!」

「繋げ!いや、決めろー!」


坂町ナインが声を絞り切る。


「うるせぇな。わかってるよ。どの道俺は打たなきゃ

焦斗に勝った気で居られねぇんだよ!」


(有言実行...出来なかった...未熟...!)


焦斗がそう思っていると、パンッ!っと一輝が

ミットを鳴らす。


「焦斗!あと一人!俺のミットぶち抜く気で投げて来い!!」

「!!あぁ。元からそのつもりだ!」


グッ...ボッ!! キィーーン!「ファール!」

ボッ!! キィーーン!「ファール!!」


両者譲らず思いがぶつかり合う。


(ここで引くな!引いたら一生...焦斗に追いつけなくなる!)

(攻めるのみ!逃げたら和也の気持ちを裏切る事になる!)


グッ...ボッ!!! カァァン!!!


鋭い打球は焦斗の足をくぐりぬける。


「しゃぁー!センター前!ランナー1.2る...」


パンッ!!! 御手洗が飛び込む。


「なっ?!」


「お前にやられてばっかじゃ勝った気にならねーんだよ!!」


御手洗は倒れたまま、ピッ とセカンドにトスをする。

有田も滑り込む。


パシッ! ズザァー! 「...アウト!!!」


「しゃぁぁー!!!」

「ナイス御手洗ー!」

「流石の、守備力!!」


一塁を駆け抜けた迫の足が止まる。


「集合!!」







試合後、迫が焦斗と一輝の元へ来た。


「負けた。ナイスピッチング。」

「うん。ありがとう。」

「やっぱ凄いな。焦斗。」

「俺だけの力じゃないよ。桑山のみんなで勝ったんだ。和也に、坂町ボーイズに。」

「...そうだな。」


そう言いながら迫はくるっと後ろに向き歩いていく。


「焦斗、年末くらい広島(こっち)来いよ。待ってるから。」

「!!」


その言葉に、少しハッとしたが、焦斗は微笑みながら返す。


「うん。またね。和くん。」


照れくさそうに腕を振る和也を、二人で見送った。


桑山ボーイズ、2回戦突破。





「一輝〜!」

「結!どうした??」

「次の試合、見ていくんでしょ??」

「次の試合??」

「...天王ボーイズと...舞鶴ボーイズの試合だよ...」

「!!」

ご視聴ありがとうございました!

次回、藤VS鷹宮。

よろしくお願いいたします!!

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