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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
36/70

手加減なし

[スターティングメンバー]

1.遊 御手洗 2年生

2.一 摩耶 1年生

3.捕 星 2年生

4.右 島崎 2年生

5.三 梶原2年生

6.投 天野2年生

7.左 綾部2年生

8.中 山崎2年生

9.二 新沼2年生



「プレイボール!!」

主審が球場に響き渡る声を上げ、試合が始まった。

先行坂町ボーイズ。後攻桑山ボーイズ。


スッ... 焦斗が大きく振りかぶる。

ググッ... ボッ!! パァァァン!!「ストライク!!」


焦斗の一球で会場がどよめく。

それもそのはずで、初球から140kmを計測していたからだ。

「やっぱ速ぇ!マジで別次元じゃねーか!」

「予選1試合しか投げてなかったし昨日も投げてないから故障かと思ったが、むしろ夏より仕上がっているな。」

「なぁ迫!やっぱ従兄弟ってことは天野とキャッチボールとかした事あんの?」

「...まぁ。小さい時は。」


チームメイトのざわつきと質問に少し面倒くさそうな顔で返事をするのは、坂町ボーイズ遊撃手、迫和也。


グッ...ボッ!! クンッ! パァァン!

キレたカットボールに、1番の有田は手が出ない。


「ははっ...変化もキレキレ...星君もよく取れるね。」


そう話かけてきたのは坂町ボーイズ1番二塁手有田。


「まぁ...取り慣れてるから。」

(!!声掛けたら返してくれた!優しい子だな...

ってイヤイヤ。今は集中集中。)

(焦斗。遊び球は要らないぞ。外いっぱい。これで切ろう。)

焦斗が頷き構える。

グッ...ボッ!! キィィン!!

「なっ!」


三遊間に飛んだ打球は抜ける...と思われたが

ショート御手洗がライナーをダイビングキャッチし、

それを防いだ。


「天野ワンアウト!」

「あぁワンアウト。サンキュ。」

(ちゃんと捉えてきたな。焦斗の真っ直ぐに対応してるってのを考えると、すぐに決めに行くのは良くないかもな)


一輝が考えているとカリカリとバットを引きずる音が聞こえてきた。


「格下の奴に焦斗の球を捉えられて焦ったか??」

「! 迫...和也!」

「名前覚えてくれたのか。光栄だな。」

「とてもそうは見えないな。」

「ふふ...俺の事も舐めてくれても良いんだけどな。」


左打席に立ち揺らっとバットを立てる。


(そこまで大きくない身体。若干開いた構え。

昨日の宇都宮ボーイズとは4-4。完全なるアベヒ型。

焦斗の状態は悪くない。ヨシっ!)


パンッとミットを叩きインコース低めに構える。


(初球カットで詰まらせよう。多分、焦斗対策で真っ直ぐ外に絞ってる。腕振ってこい焦斗!)


コクリと焦斗が頷く。

グッ...ダンッ!! 力強く踏み込み腕を振る。

ボッ!

(高い!!) 一輝がそう思った瞬間。

キィィン!! ドッ!

右中間を切り裂く打球が飛んでいく。


「っ!! 島崎2つ!!...な?!」

ダッダッダッ!

地面を思い切り蹴り迫がベースを周る。


「島崎!3つだ!!」

「は?!」

ダンッ!! 島崎がボールに追い付いた時には既に2塁ベースを蹴っていた。


(スピードが落ちねぇ!これ帰る気か?!)

「4つだ!!繋げ!!」

ドンッ!! パシッ!!

セカンドの新沼がボールを受け取った瞬間には

もう既に3塁にいた。

迫はホームへ帰らず、3塁に残っていた。


(...なぜ4つに帰らなかった?!いやいい。まずは焦斗だ)

「しょ...」

一輝が声をかけようとした瞬間、焦斗は右手の掌を見せながら「大丈夫」と言わんばかりに一輝を見ていた。


(だい...丈夫か。ちょっと心配しすぎたな。)


《3番、レフト、島本くん。》


ここからは中軸だ。今の焦斗冷静な焦斗なら問題は無いはず...筈だけど、やっぱり迫が気になる。

なぜ止まったんだ?判断ミス?ギャンブルを嫌った??

兎にも角にも、この後の打線が自分を帰せると確信しているんだろう。


「スゥー...ワンアウト!!内野前進!外野長打なしで!」

「「しゃぁ!!」」

「サード、ファースト、ピッチャースクイズ頭入れて!」「「よっしゃぁ!!」」


一輝が声をかけ終え、座ろうとした瞬間、

ドンッ!!と地面を踏み込む足音が聞こえた。

バッと振り向くと迫が3塁から飛び出した。

焦斗がロジンをたたき落とし、一輝に放った。

「!しまっ...」


投げた引っかかり、ボールは地面に叩き落とされた。

ドッ!! だがそれは一輝がストップする。

3塁を見ると迫は2.3歩踏み出しただけだった。

その顔は少し微笑んでいるように見えた。


(...なるほど。)

その行動を見て、一輝は腑に落ちた。


(揺さぶりか...嫌なやり方だけど効果的だな...

焦斗は大丈夫か...な?)


焦斗を見ると、少し微笑んで居た。

(?気でもふれたか??タイム...)

しかしいつもと違う焦斗を見た一輝は、少し考え、タイムをかけず座る。

(見てみたい...俺のエゴだけど...この状況で焦斗がどんな球を投げるのかを!!)


スッと焦斗が足を上げる。

その瞬間、ドンッ!!っと3塁ベースを蹴る音が聞こえた。が、焦斗は気にする素振りもなく

ボッ!!っと豪腕を振るう。

パァァァァン!!!今日一番の快音が響く。


そのミットの衝撃に一輝は身震いしていた。


(ははっ!痛え!痛えよ焦斗!いいボールだ!!)

パァァァン! パァァァァン!!

3.4番を3球で抑え、チェンジをした。


マウンドを降りる時、焦斗と迫の目が合う。

互いに少し微笑み、ベンチに下がっていく。


ご視聴ありがとうございました!!

次回もよろしくお願いいたします!!

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