広島から
[埼玉県、大宮球場]PM13:30
ザワザワと賑わっている大宮野球場
西東京代表桑山ボーイズと
熊本県代表、熊本太陽ボーイズの試合が行われていた。
その観客の多さから
「ボーイズの大会なのによく人が入ってるな〜」
と話す者もいる。
「そりゃそうだろ。去年のベスト4で優勝した天王ボーイズとあんな凄い試合したチームだ。観客もスカウトも沢山来るさ。」
「スカウトか...やっぱりあの子見に来たんかね」
「そりゃそーだろ〜」
キィィィーーン!!
その金属音が鳴り響いた瞬間、スタンドの観客達が静まり返る。
ゴンッ!
バックスクリーンに鈍い音が響く。
右手を掲げベースを一周するのは
桑山ボーイズ・主将、星一輝。
「うわぁ!また打ったよ!今日二発目!」
「2年の春から入ったらしいけどこれで26発目
らしいぞ。とんでもない子だな。
こりゃースカウト陣も釘付けだろうな。」
試合は13-0で5回コールド成立で桑山ボーイズが初戦突破を果たす。
「ふぅー。疲れたぁー。」
「神宮から大宮って移動大変だからね〜」
バスの前で一輝と結が話している
「んでこっからまた帰んのキツイわ〜...
明日どこだっけ??」
「んと...明日は所沢だね。」
「所沢かー。まぁいいや。てかなんで今年の
夏と秋は東京なの?いつも春だけなのに。」
「そんなのうちに聞かれてもわかんないよ」
「まーそーだよなー」
そう2人が並んで話していると、別チームがアップをしていた。
「ん?アレは...どこのチームだ?!」
「栃木の宇都宮ボーイズ。強いよ!昨年ベスト8」
「別ブロックだったチームか!
明日はココとココの相手のどっちかか。」
「そうだね。えーっと相手は...」
コツコツと歩く音が聞こえる。
焦斗だ。
「ここに居たんだ。」
「おっす焦斗!どうした?」
「スカウトが一輝探してた。」
気怠そうに話す焦斗
「焦斗めっちゃ囲まれてたね〜。」
「誰かさんが逃げたからな...」
「はっはっ!ごめんごめん!
めんどくさかったから!」
コツコツ...
再び足音が聞こえた。
赤い縦縞のユニフォームを着た少し小柄な男だ
「「「ん???」」」3人同時に振り返る
「焦斗。久しぶり。」
「...!和也?!」
焦斗の知り合いか?初めて見る顔だけど...
「え?誰?誰?」
「お前が星一輝か。桑山キャプテンの。」
「お、おう。えーっと。誰だっけ??」
「元気そうだな焦斗。背でかくなったな。」
「...久しぶり。5年振りくらい?」
俺の戸惑いに構うことなく話し続ける2人。
「お前が集まりに来ないからそんくらいだな。
東京が楽しいから来ないって聞いたけど?」
「別に...広島に帰りたくないとかじゃない。
野球でいっぱいいっぱいなだけだよ。」
「そう...は見えねぇけどな。」
なんだか焦斗の歯切れが悪い...
てかコイツ俺の質問はガン無視かよ!
「今日投げなかったって事は明日投げんのか?」
「あぁ、投げるよ。」
「そうかぁ。じゃ、明日楽しみだな。
お、そろそろ試合始まるから。また明日。」
「...」
スタスタと歩いていくその姿を3人は黙って見つめていた。
「なぁ!焦斗!アイツ誰だよ!全く名乗ろうとしなかったぞ?!」
俺のがっついた質問に焦斗は面倒くさそうに返す
「...アイツは迫和也俺の従兄弟だ」
「従兄弟!あそっか!広島って焦斗の生まれたとこだもんね!」
ポンっと結が手を叩く
「仲悪いん?」
「いや、東京来る前はよく一緒に野球してた。
俺の事野球に誘ってくれたのも和也だし。」
「へぇ〜。でも仲悪そうだったじゃん。」
「一輝!そんな事ズケズケ言うもんじゃないよ!」
ペシッと結に叩かれる俺
「いや。確かに変な態度だった。別れる時もあんなんじゃなかったし。」
「ふーん。まぁ明日やるかは今日次第っしょ!
あんな去り方して負けたらちょっとおもろいけど。」
翌日、所沢航空記念公園 PM12:30
球場にバスが到着した。
「ふぅ〜。着いた着いた。」
「おい白田!水筒置きっぱだぞ!
全くお前というやつは...」
「わりー神崎!」
一輝は全員が降りたのを確認し、バスを最後に降りる。
「全員出たかー?んじゃ荷物置いて集まって。
先スタメン発表するから。そのあと...」
一輝の話を遮るように相手チームのバスが到着
「来たか...」
「...」
焦斗が鋭い目で睨む。
ドタドタと降りてくるのは赤い縦縞のチーム、
広島坂町ボーイズ。
不敵な笑みを浮かべながら迫が降りてくる
秋季全国大会2回戦
桑山ボーイズvs坂町ボーイズが
始まろうとしていた。
ご視聴ありがとうございました!
今日は2本投稿の予定です!
よろしくお願いいたします!




