エースの後ろ
パァァン!!
「ストライクバッターアウト! 整列!」
西東京秋の予選大会、一輝たち桑山ボーイズは
2回戦を突破し、同じ日に行われた3回戦の試合もエース天野の完封で終わった。
「焦斗、おつかれ。はいこれ」
一輝がクールダウンを終えた焦斗に飲み物を渡す
「おぉ。」
「今日勝ったから明日の決勝は
瀬田か西村か中附だな。」
「あぁ。どこだと思ってる?」
「どこも強いな。西村と中附が当たって準決がそのどっちかと瀬田だから...瀬田は有り得るよな。中附も前回のこと考えたら有り得るけど...」
「だろうな。...そんな事より明日、俺投げれないけど平気なのか??」
「...」
先週、監督室に呼ばれた。
そこには朝日監督、高島・山城コーチがいる
「来たか、一輝」
「はい。で、ご要件は??」
「うむ。単刀直入に聞く。日野が居なくなった今、天野だけでこのチームは勝ち進めると思うか??」
「っ...」
その問いに俺は言葉が詰まる
(投手問題、それは俺がずっと思ってた事だ。)
「うちの投手陣は皆質がいい。それは間違いない。だが日野、天野と言った絶対的な看板になれるような投手は今はいないと思っている。」
「...はい。」
「だから来週の2回戦は2年の神崎、1年の小川に行ってもらう。」
「神崎と...小川ですか??神崎はともかく 1年の小川が投げられるとは...」
俺が心配そうにしているとコーチの高島が口を
開く。
「お前の気持ちは分かる。だがこれから上に上がるのにこの2人、そしてベンチメンバーの投手陣にはやってもらわないと困るんだ。
キャプテンとして、捕手として支えてやってくれもちろん、俺らもやれる事はやる。」
「はい...ということは3回戦は白田、決勝は天野という感じですか??」
「いや、3回戦に天野、決勝に白田だ。」
「?!」
結局2回戦の神崎は4回2失点、小川は4失点でギリギリの試合だった。
相手が瀬田や西村、中附だったらきっと
勝てなかった。
一輝がそう思っていると、結が走ってきた。
「一輝ー!焦斗ー!決勝決まったー!」
「お、どこどこ?」
「瀬田ボーイズ!瀬田ボーイズだよ!」
「瀬田か〜。西村と中附はどっちが勝った??」
「西村中央ボーイズ!中附は長房くんが
フルイニング投げてなかったよ。」
[二本杉球場]
瀬田ボーイズと西村中央ボーイズ試合終了後。
「荒浪!」
「ん?あぁ、喜田か。悔しいけど負けたよ。
一輝達には勝てないだろうけど
頑張ってくれたまえ。」
「うっせ!てか長房どこ行ったんだよ!
あいつにリベンジする気だったのによォ!
どうやって勝った?!」
ズケズケと聞いてくる喜田に荒浪はやれやれと
いった感じで返す
「...失礼な奴だね君はほんとに。
先帰ってたよ。満足した顔で。」
「満足??」
「彼が投げてた2回まではそれは凄かったよ。
でも出来たてのバッテリー。
捕手の方が耐えられなくてね。
長房君は2回で外野に回ったよ。」
「あぁ...なるほどな。
じゃーリベンジは来年だな。」
「ふふ。明日の試合、見に行くよ。
僕ら凡人の代表として頑張ってくれよ。」
「俺は天才だ!!!」
[再び一輝サイド]
「そっか...瀬田ボーイズ、喜田んとこか。」
「うん。明日勝とうね!」
「...あぁ。」
9/13日曜日PM12:45
審判の声で両チームがベンチから出てくる。
「集合!!」
「「行くぞぉー!!!」」
「「しゃぁぁぁ!!!」」
両チーム気合を入れ整列する。
西東京秋の予選大会決勝が始まる。
1.遊 御手洗 2年生
2.一 摩耶 1年生
3.捕 星 2年生
4.右 島崎 2年生
5.三 梶原 2年生
6.左 綾部 2年生
7.中山崎 2年生
8.二 新沼 2年生
9.投 白田 2年生
ご視聴ありがとうございました!
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