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ダイヤモンドスター  作者: オカピ
中学正編
29/73

勝者

「大吾!!」


天王ボーイズ監督代理、皇花すめらぎはな

バッターボックスへ向かう藤に声をかける。


「ハナちゃん...」

「私は変えへんぞ!全力でやりなさい!」

「おう!ありがとう!ハナちゃん!」


その激励にニコッとして藤が左打席に入る。


「あんた達!しょげてないで応援しな!」


皇の声に全員がハッとする


「お、おう!せやな!ハナちゃん声出してて俺らが声出さないなんてアカンわ!

藤!1本見せたれ!」

「まだお前のホームラン見たりへんぞ!!」


先輩たち、仲間たちの声援に

「みんな...」と声が漏れる藤


コンコン...っと藤は外角のベース叩く。

いつも見る左打席が今日は一段と晴れて見える。






[1年前。藤大吾中学1年生]


「ねぇ見てみぃ...あのデカイ子...」

「うんうん。知っとる。

親父が人轢き殺したらしいやん。

怖いわぁあんなデカイ体でうろちょろされたら」


聞こえる声で話すクラスメイトに俺は耳を塞ぐように机に突っ伏す。


慣れたもんや。殺人鬼の子供とか、オトンが人を轢いたからあいつも凶暴だとか。

慣れたわ...慣れた...


あの日から野球をやっていない。

誘ってくれた地元のシニアチームも、ボーイズチームも、中学の部活でさえ

あの日以降俺に声をかけてくれるチームや人は

パタリと居なくなった。

いや...1人だけおったわ。


「大吾。天王ボーイズ入ろう」

泉優心。俺の幼馴染。最高の相棒だった


「やらん。お前も俺と居たらハブられるで。」

突っ伏したまま俺は返す。


「知らんよそんなん。チームの人らも早く大吾とやりたい言うとったわ。」


嘘じゃ。そんなヤツおらん。もうええわ

どこ行っても白い目で見られる。

なんもでうでもいい。


「ほらー席ついてぇ〜」

「ハナちゃんおはよー」

「ハナちゃん言うなや先生や。

はい優心も席つけー」


帰り道一人で歩いていた。

もう一人で帰るのも一人で飯食うのも慣れたわ。

オカンは今日東京行って相手の親族さんとお茶。

瑞希も付いてった。


たまにあるけど、そういう日はホンマにキツイ。

1人は嫌じゃ。慣れてもキツイ。


ピンポーン

ふと家のチャイムが鳴った。

嫌がらせか?もうええわ。すると


「大吾ー?今日一人やんなー?

ハナちゃんと飯食い行こうや〜」

また優心や。懲りん奴や。


歩いて玄関まで行く。

優心とハナちゃんがおった。


「あんなー。

橋の下の定食屋今日サバ煮定食なんよ。

一緒に食いいこうや。んで野球やろうや。」


そう話す優心にイライラが募ってきた俺は


「優心、俺にもう構わんくてええ。

お前はお前で野球やったらええやろ。俺はもう...家族をバラバラにした野球は...やらんのや。」


と、少し嫌な態度で返してしまう。


「...なんでやらんの?」

とハナちゃんが話した。


「確かに大吾ん家はバラバラになったかもしれんけど、それは野球のせいなん?」

「だって...俺が野球やっとったから。

やらんかったら今日も家族で飯食っとった...」


しょぼくれた俺に、ハナちゃんが続ける


「せやな。全く無関係とは思わん。

でも大吾が野球辞めたら、ホンマに家族は

バラバラになる思うねん先生。」

「え?」

「大吾が野球やってる時、大吾のオトンとオカンめっちゃ笑顔やったやん。大吾が野球やり続ける限り、また笑える日が来るよ。」

「...でも...俺...」

「なんもあらへんよ。大丈夫や。バラバラになった家族をまたひとつに出来んのは...大吾や。」

「ハナちゃん...」


その言葉に、俺は少し気持ちが楽になる。


「大吾のオトン帰ってきた時、見せたろや!

俺と大吾の最強コンビ!見せたろ!!」

「優心...」

「ほら泣いてへんで飯いこ!」

「泣いてへんわぁ...ハナちゃんのボケェ...」

「コラ!先生やで!」



〜現在〜


パァァン!! 「ボール!!」

カウントは2ボール1ストライク。

ここまで藤は一球も振っていない。


(バッティングカウントだな...

大吾は大きいの狙って来るか??)

そう思い、一輝がサインを出すと焦斗が首を

縦に頷く。


スッ...ピッ!! キィーーーン!!

「キャッチャー!!」


高く上がったボールはバックネット付近

まで行く。


(行ける!追いつける!捕れる!勝つ...)

バッと一輝が飛ぶ。


カシャァーン!

一輝は勢いそのままネットに当たる。

一同に緊張が走る。



コロコロ...一輝のミットからボールかこぼれる。

「クソっ!!!」


一輝が吠えるようにそう声に出す。


「一輝!今のはしょうがない!

ネットあたってたし!次で終わらせよう!」

「つっ...ああ!」


焦斗の言葉を聞き、守備位置にもどる。


キャッチャーボックスに戻ると藤が

マスクを拾っていた。


「大丈夫か?」

「あぁ。大丈夫。ありがと」

「一輝...会えてよかった。ってこの話は

また後でだな。」

「うん。また後で。今はただ...」


「「この瞬間に全てを!」」


ピッ...一輝がサインをだす。

焦斗が頷き足を上げる。

ランナーは依然、走る体制を取らない。


ボッ!!!


(優心...ハナちゃん...みんな。俺を受け入れてくれてありがとう。)


ゴォォォォ....

凄まじい勢いでボールが迫ってくる。


(一輝。俺を許してくれてありがとう。)

ゴォォォォ....


(オカン...俺に野球をやらせてくれてありがとう。)


カッ!!!

豪速球がバットに食いつく。


(オトン。野球を教えてくれてありがとう。

出てきた時、俺はもっともっと...

上手くなってるから)


キィィィン!!!


「センタァァァー!!!!!」

打った瞬間、一輝はセンターへ飛んだ打球を

見ながら叫ぶ。


センターの香山が必死に追う。



ガサッ!!

144kmと測定された焦斗の渾身のストレートは

バックスクリーンを超え

奥の雑木林へと放り込まれた。


「行ったァー!!!!!サヨナラー!!!」

「サヨナラツーランホームランー!!!!」


湧き上がる天王ボーイズベンチ。

手を掲げる藤。崩れ落ちる焦斗。

藤の後ろ姿をただただ見ることしか出来ない一輝


その場で肘をつく。


桑山ボーイズ、夏の選手権大会、準決勝敗退。

ご視聴ありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!

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@Okapiii2025


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