06:狂犬皇帝の服従
はじめて会ったララは、リストの中から適当に選んだのにもかかわらず、俺の好みのほぼど真ん中の容姿だった。肖像画なんてどうせ美化してあるものだろうと思っていたが、実物はそれ以上じゃないか!
金色の髪の毛、青い瞳。形のよい唇は薄紅色で、ふっくらとした健康そうな薔薇色の頬は幸せそうに微笑んでいる。
気に入らないところがあるとしたら、顔立ちに幼さが抜け切れていないところだ。
まだ蜂蜜入りのミルクなんかが好きなお子さまだからな。
もっとも、あと二年もすれば、まさしく俺の好みのど真ん中のど真ん中になるはず。
この外見なら、多少、性悪だろうが構わない。しかもララは中身も保証されている。
よし、二年経ったら、結婚しよう!
殺すのは止めて、ダンスに誘う。
すると俺の誘いを断って来るではないか。
理由は、最初に踊るのは婚約者と決めているから。
その瞬間、俺はララの婚約者に嫉妬を覚えた。誰だよ、こんないい女と婚約している果報者は……って、俺か。俺だな。
そして思い出す。セバスに花丸をもらった文。
『あなたが他の男と踊っているのを考えただけで、嫉妬でどうにかなりそうです。どうか舞踏会に出るのは、私と一緒になってからにして下さい』
しくじったと思った。
あんなこと書かなければ良かった。大体、そんなこと本気で真に受けてるのか? 思わず「お嬢さん、真面目だな」と笑い飛ばしてしまう。
するとララは怒った。「あなたにとってはそうかもしれませんが、私にはとても大切な約束なんです!」
こいつは手ごわそうだ。「――面倒くさっ」
残念だが、俺はララのことをよく知っている。今回の計画の為に、過去、八年分の手紙と報告書を読み直し、趣味嗜好を元に考え方や行動をシミュレーションしてきたのだ。
そう簡単に逃しはしない。
ララは押しに弱いと踏んで、強引に連れ出すことに成功した。彼女は最初こそ困惑していたが、段々と気持ちが解れてきた。
満面の笑みは無邪気で可愛らしかった。俺と踊ることを楽しんでいる。
ふん、やっぱりララはちょろいな。
俺の会話にも警戒心なく話している。
それなのに、突然、「私、もう帰らないと」と言い出したではないか。
何か間違えたのかと思えば、婚約者に手紙を書きたいだと。婚約者……俺か。俺だな。俺以外にはいない。
ララは本当に自分で手紙を書いているのだ。それも、自分から進んで、俺の為にペンを持ち、文字を書く。時々は辞書を引いたりもするのだろうか。俺はララに他の男と踊らないでと頼むのに、かなり時間をかけたことを思い出す。彼女はそれを八年も自分でやってきた。
「先ほどもお話しましたが、私にはずっと大切に想っている方がいるんです。だからあなたとは一晩付き合えません」
真っ直ぐなララの言葉に、笑ってしまった。俺みたいな奴の為にご苦労なことだ。
そしてまた会いたくなる。
無理やり、来年も会うことを約束した。
彼女は俺に“旅人”さんという名をつけて、去っていった。
セバスは俺がララを殺せないことを知っていたようだ。ニコニコした顔で俺を迎えた。
それから俺のイライラとモヤモヤはさらに募ることになる。
侍女と護衛から「ララさまが冬至の祭りで出会った男のことが忘れられない様子です」という報告が届く。ララ自身からも手紙が渋滞するほど送られてきた。後ろめたいのだ。
「俺と言うものがありながら、他の男に心を移すのかよ! 尻軽女め!」
「どちらも陛下でしょうが」
セバスには呆れられるが、俺は自分に嫉妬していた。ただ、ジャレスが自分なのか、“旅人”さんが自分なのか、どちらが嫉妬すべき自分なのかが分からない。
八年もやり取りした手紙のジャレスは、ほとんどがセバスだ。
一晩にも満たない時間、出会った”旅人”は仮の姿だ。
どちらも自分ではない気がしてきた。
俺はある時は手紙のジャレスに怒り、ある時は“旅人”を呪った。
本当の自分を見て欲しいと望んだが、鏡に映った自分は――狂犬がそこにいる。血にまみれた凶暴な男。
拳で鏡を割った。
「どちらも陛下ですよ」
手当をしながらセバスは言った。
俺がこんなに苦しんでいるのに、ララはあっさりと“旅人”を捨てた。
手紙のジャレスを裏切ってはいけないと思ったのだろう。真面目なのだ。
これは喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。俺の心はララのように割り切れない。
そんなことをしていたせいで、隙を作ってしまったようだ。
刺客に襲われ、俺の顔はさらに見られるものじゃなくなった。
セバスがララからの手紙を銀の盆にうず高く積み上げて持ってきてくれた。
どの手紙も俺を心から案じ、快癒を祈り、自分の愛情を捧げてくれている。
俺は手紙を全部、破り捨てた。
「陛下……手紙には書かれておりませんが“新月”殿が亡くなられたそうですよ」
ああ、あの犬、死んだのか――。
ララが泣いている姿が容易に思い浮かんだ。
それなのに俺のことまで心配するなんて、馬鹿な女。
「セバス。ララに手紙を書け」
『私は平気です。あなたのことこそ心配です』
セバスははじめて俺の言葉を変換せずに、そのまま送った。
ララからは安堵の気持ちの籠った、しかし、いつもと変わらない優しい返事が戻って来た――と言う。
暗殺事件から半年。
約束の冬至の祭りが巡ってきた。
ララは行きたくないと言う。
「引きずり出してでも、連れて来い!」
俺の命令を受け、侍女と護衛が言葉巧みにララを連れて来る。
ララはすっかり大人びて、あの唯一の欠点だった幼さが抜けていた。そして、笑顔は無かった。
嫌々来たのだな、とすぐ分かる。
それなのに、俺が顔の傷を見せると、怯える様子もなく、ただ純粋に心配してくれたではないか。「お嬢さんに会いたかった――」
本当に、本当に会いたかったんだ。
それなのに、もう帰ると言う。どれだけ押しても引いても、俺の言うことを聞かない。
護衛の腕に絡みついて逃げて行くララを見て、俺は絶対に許さないと思った。
とりあえず、護衛の腕は折ることにしたが、途中で侍女に邪魔される。「ララさまは護衛が怪我をしたと知ったら心配なさるでしょう」
俺は護衛の腕を少しだけ痛みつけるだけで済ませた。
だがララには手加減しない。
婚約期間なんてもう不要だ。
今すぐ祝言をあげて、ララを俺のものにする。
帝国の軍を国境に展開し、ララの国へ皇帝ジャレスとして訪れた。ララには内緒だ。離宮は情報統制が敷かれた。
そして父親から婚約期間は終わったことを通知をさせ、その後、俺が入って求婚する。
俺が“旅人”がジャレスだと知って、ララは驚き、歓喜の声を上げるだろう。
完璧な段取りのはずだった。
けれども、ジャレスの顔を見て、それが“旅人”であり、ジャレスだと認識したララの顔にあったのは怒りだった。
それから軽蔑。蔑み。侮蔑。
あらゆる表情が一瞬にして浮かび、そして彼女は気絶した。
目覚めた後も、ララはずっと怒っていた。笑ってはいたが、内心は俺に対して怒り狂っているのが分かった。
俺は動揺し、とにかくララのことがどれだけ好きなのかを話した。口に出すと、俺はララに心から惹かれていることを実感した。俺は馬鹿だった。でも、ララは優しいから許してくれるはず。
それなのにララの怒りは収まらない。
段々、イライラしてきたので、第三夫人を殺すと脅かした。ララの性格なら、これで俺を拒めないはずだ。
「私も第三夫人と一緒に血まみれになさって下さって、結構ですわ」
耳を疑う言葉がララから発せられた。
「せいせいしますわ」
俺と一緒になるくらいならば、あの下品でうるさい第三夫人と共に死んだ方がマシだと言うのか!?
だったら望み通りにしてやる!
頭に昇った血は、すぐに下がる。俺にはもうそんな真似は出来ないからだ。ララを殺す? そんな奴がいたら、俺が殺す。たとえそれが俺だとしたら、俺が俺を殺す。
ララを失いたくない――。
この俺が、ミュレス帝国の皇帝が小娘の機嫌を必死に取っている。
ようやく許しを得たが、その条件が「婚約破棄を撤回して下さい」だと。そこからララは夢みたいなことを語り出す。恋愛小説なんて読ませるんじゃなかった。
あと一年もララと結婚出来ないなんて、気が狂いそうだ。こんなに愛しているのに、なぜ分かってくれないのか焦れ、苛立った。
俺は一旦、引き下がるフリをして、ララにキスをし、そのまま押し倒した。面倒だ。ここで既成事実を作ってしまえばいい。
楽勝だ。ちょろいんだよ、お嬢さん。
「恋人同士ならここまで……です!」
俺の思惑を悟ったのか、ララは待ったをかける。
その時の目ときたら――ああ、俺はララに蔑みの目で見られていた。あの奇妙な感覚が頭の先からつま先に走る。心が震える。
「つまり? ここから先は……」
「ここから先ですって? 一年、お預けですよ。躾のなっていない駄――ワンちゃん」
ララに犬扱いされた? 俺はミュレス帝国の……いや、もうそんなことはどうでもいい。
もう一回、同じ台詞を聞きたい。確かめないといけないんだ。俺の心と身体をおかしくさせるのはなんなのか。
「今――なんて?」
ララの人差し指が俺の鼻に軽く触れた。
そして、厳しく愛らしく命じた。
「躾のなっていないワンちゃん。
お預けですよ。お・あ・ず・け。
一年、我慢出来たら、許して差し上げます」
俺は自分を支配するこの感情の名を知った。喜びだ。
これまで自分の行いに対し、注意や指導など様々な方法で受けて来た。でも、俺が望んだのはこれなんだ。
そうに違いない。
「も、もう一回――」
「何度も言わないと理解出来ないんですか? 困ったワンちゃんね」
背中にゾクリと心地よい恐怖を感じた。
ララに逆らってはいけない。この年下で可愛らしい子こそ、俺のご主人さまなのだから。ようやく会えたのだ。俺が求めていたすべてが、ララの姿で座っていた。
俺は急いで彼女から離れたが、それでも名残惜しい。
ララのこれまた可愛らしい素足に縋って、もう一度、その唇に触れさせて欲しいと懇願する。
もうプライドなどない。むしろ、俺のプライドを踏みにじって罰して欲しい。
俺は間違っていた。それに相応しい罰を。
ララは優しい。
その可愛い足で、俺の顔を蹴って、分からせてくれた。
その後、ララをミュレス帝国へ連れて行き、彼女の望む恋愛小説に出て来るような恋人同士との楽しみを謳歌することにした。
だが、俺は“待て”が苦手だった。
それでも半年は待った。
同行してきた侍女と護衛、そしてセバスに相談すると「待つしかないですよ」「待つしかないですね」「待てないんですか?」と言われる。
でも、ララは優しいから、半年すると俺の気持ちを受け入れてくれた。
小さい頃からあらゆる勉学に励み、知識を蓄え、知恵を磨いていたララのおかげで、俺が皇帝として道を踏み外した時は、適切な忠告を与えてくれる存在となった。
ララは良いことをするとご褒美をくれる。俺は褒めて欲しくて、出来るだけ善政を敷いた。もうイライラして人に当たったり、乱暴な言葉遣いもしない。人のことも思いやる。ララに恥はかかせない。
おかげで俺は名犬――名君の誉れ高い皇帝となった。
ララのものになった俺は幸せだ。これからも喜びにあふれた人生を送るだろう。
※世界観と登場人物について
ミュレス帝国
一夫一妻制。縁組は血統が優先される。
そのため夫婦婦関係が難しく、跡継ぎが望めない事例が多々あった為、皇帝や高位貴族たちには愛妾が認められている。
ただし、愛妾の産んだ子は、正妻の養子にならないと継承権が発生しない。
これはいかなる場合においても正妻が愛妾の上位の存在であることを示すためである。
正妻側が親戚の娘、あるいはこれと見込んだ娘を侍女として送り込み、夫の愛妾にして、その子を養子とすることで、己の権力と立場を確実とすることが多い。
敢えて敵対する愛妾の子を赤ん坊のうちから養子として引き取り、手なづけておいて、その子に本当の母親を殺させるという手段で復讐した皇妃もいたらしい(『帝国誌』第二章「皇位継承について」より)
ララの国
一夫多妻制。
結婚した順番、血筋、実家の権勢、資産、寵愛、男子の有無などで、後から正妻が決まる。
ミュレス帝国にへばりつくようにある属国。帝都と王都は割と近い位置関係にあるはず。
ララ
高貴な母親に王女たるものとは……という徹底的な教育を施された。
自ら気高くあろうとする為、時に上から目線となり、無邪気に人の劣等感を煽ってしまう面もあるが、帝国民にとっては慈愛に満ちた優しさ溢れる皇妃となる。
ジャレスにいいように騙されていたが、結果的にジャレスの愛を手に入れる。
ジャレスとの夫婦関係に疑問を持ったこともあるが、セバスチャンから「夫婦の形というものは、夫婦の数だけあるのです」と説得(?)されてしまう。
純粋で素直な性格なので、愛するジャレスが喜ぶならばと、その期待に応えるために、毎日、頑張っていたら、自分も楽しくなってきた。
毎日、幸せ。ジャレスも幸せ。
ジャレス
他人から指図を受けるのは大嫌いだが、自分がやりたいことを実現させるための意見はまあまあ聞く。方向性さえ間違えなければ、有能な面もある。
素直じゃない。
『帝国誌』も読んでいるが、読んでいることをセバスに知られなくない。
心の空しさを埋めるために、他人を虐げるが、満足できずにエスカレートしていった。
ララを知って、自分が求めていたのが、真反対だったことを知る。ただし、ララに限る。
当初はララにもっと自分を虐げて欲しいと思っていたが、その生殺し状態にすら喜びを感じるようになる。
今はとても幸せ。ミュレス帝国の臣民も幸せ。
第一夫人
結婚した順番、血筋、実家の権勢、男子有で、他の夫人よりも圧倒的に優位に立っているので、王宮を我が物顔で闊歩している。
子どもと犬の育て方は、あまり上手くない。
ララが皇妃になったことに憤っていた。が、その伝手を使って、第四王女をジャレスの愛妾にしようと画策しはじめる。第一夫人は、第四王女がララよりもずっと出来がよく美しいと信じている為、愛妾にしてしまえば、ジャレスの寵愛を得られると信じ切っている。そして、子が生まれたら、ララに養子として認めさせるつもり。ジャレスには相手にもされていない。
ある意味、幸せな人である(今のところは)。
第二夫人
お金持ちの娘。
実家に箔をつけるために、多額の持参金とともに王に嫁いだ。
娘のおかげで実家は王室御用達になり、高官たちと癒着して儲けまくっている。
第一夫人を煩わしく思いつつ、実家のお金で悠々自適に暮らしている。第三夫人のことは眼中にない。
第三夫人
王宮の下働きだったが、美人だったので、不幸にも王さまの目に留まってしまう。一時は絶大な寵愛を受け、夫人の地位を得た。その為に、王も飽きたからと言って、臣下に下賜することも出来ず、打ち捨てられている状態。
第一夫人にいじめられたり、第二夫人と比べられたりして、劣等感を募らせている。
頼りになる実家もなく、「貧しい生まれなら節約はお手のものでしょう」と第一夫人から宮廷費を削られたり、使用人たちに上手いこと言い含められて騙し取られることもしばしばで、いつも生活費が不足している。自分と娘二人を養うので精一杯なのに、ララまで押し付けられてしまった。
第四夫人は親切にしてくれたが、高貴な生まれから繰り出される無邪気な発言に、自尊心が傷つけられていた。
その娘のララも苦手だったが、自分の娘にたくさん高価な物をくれたので、良い子だと認識し、いつか恩返しをしたいと思っていた。
娘たちの幸せが、彼女の幸せ。
第四夫人
ララの母。
ミュレス帝室にも連なる名家だったが、没落し、頼りになる身内も後見人もいない。せめて力になりたいと考えた人物が、縁を辿って王さまに「どうか良い縁組を結んで欲しい」と紹介した。しかし、その高貴さと美貌の虜になった王により夫人にされてしまう。
王がその寵愛を第三夫人から移すだけでなく、それまでバランスよく付き合っていた第一、第二夫人すら蔑ろにしたため、夫人たちの妬みを一身に受けることになる。
最期までララの幸せを祈っていた。
第六王女
食べるのが大好き。それなのに、それだからこそ、折角のお菓子を唯一、苦手だったレーズンなんかで台無しにされたことに怒って粗末にしてしまった。今はものすごく反省している。ララへの態度も悪かったと認めている。たくさん贈り物を分けてくれるので、ララへの感謝は欠かさない。
第一夫人からは「王女がそんな家へ……」と眉を顰められたが、第二夫人には「あそこの料理店、お洒落で美味しいわよね! うちの父も会合でよく使っているのよ」と喜ばれた王都の高級老舗料理店に嫁ぐ。
相手一家が第六王女を「王女さまだ、我が家に王女さまがいらっしゃる! なんて光栄なことだ」と下にも置かない歓迎をしているのを見て、下手な貴族に嫁ぐよりも、娘が幸せになれるであろうことを経験的に悟っている第三夫人も喜んだ。
第六王女は「夫はお金持ち」とララに言っていたが、ある程度の贅沢は出来るものの、ミュレス帝国の皇帝の贈り物を贖うほどの資産はない。
美味しいものが食べられて毎日、幸せ。その美味しそうに自分の作った料理を食べる第六王女を見て、夫も幸せ。ますます腕が上がった夫が作る料理を食べられる客も幸せ。
第七王女
姉の第六王女と比べると、賢い。
ララが自分たち贈り物を分けてくれるのは、好意ではなく施しの類であることに、薄々、感づいていた。
でも貰える物は、ありがたく貰う。
第一夫人や第二夫人所生の王女たちには、血筋で勝てないと知っているので、有能な官吏と結婚し、王家の娘であり、ミュレス帝国皇妃の姉としての立場を利用して、夫を出世させ、いずれ国政を牛耳ってやるんだから、と半分本気、半分冗談で思っている。
ララには「夫は有能な外交官」と言っているが、実際は、朴訥な外交官……に見せかけた、ミュレス帝国に敵対する国のスパイ……だったが、ジャレスに正体を見破られ、現在はミュレス帝国の二重スパイである。
立場上、妻には情を寄せてはいないはずだが、ジャレスに握られている彼の弱みは第七王女である。
第七王女は、何も知らない。幸せ(今のところは)。
第四王女
母親の言いなりに生きてきたが、段々と違うような気がしてきている。
母親の与える幸せを選ぶか、自分の幸せを見つけるかは、これからの彼女の決断次第である。
セバスチャン
情報の収集、保管、検索などに長けた侍従。
ジャレスの言葉をマイルドに変換するのが特技と思われているが、セバスチャンの耳にはそう聞こえているだけだったりする。なので「どちらも陛下」なのである。
うちの坊ちゃんは素直じゃないですね……と(生)温かく見守っているのを、実は自分が横暴かましているのを自覚しているジャレスにはゴミを見るような目と認識してしまっている。
侍女
ミュレス帝国から遣わされたララの監視役。
ララに長く仕えている内に、すっかり情が移った。
ジャレスと結婚することについては、内心、ララさまはどうかしていると批判的。
護衛と出来ている。が、どうせ身近で済まされているだけだろうと思っている。
護衛
ミュレス帝国から遣わされたララの監視役。
ララに長く仕えている内に、すっかり情が移った。
ジャレスと結婚することについては、内心、ララさまはどうかしていると批判的。
侍女と出来ている。
ミュレス帝国へ戻ったあと、求婚するはずの侍女に別れを切り出され、大慌てすることになる。
犬の躾の専門家
第一夫人の犬の扱いについて、何度も苦言を呈するが、聞き入れてもらえない。
それでも犬の為に定期的に王宮を訪れている。
王子を噛んだ犬を守るため、ララがその犬を大層、気に入って、どうしても欲しいと言っていたと嘘を吐く。
ララ自身が望んだ犬で、彼女が傷つくなり殺されるなりでもしてくれたら、しめたものだと第一夫人は思うだろうと踏んで、その通りになった。
責任を感じて、ララに犬の躾を教える。