表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/42

前世で習っていないこと

「だから、ね、ローガン、クロエ。この子に、魔力を返してあげませんか?」


ルースは、つとめて穏やかに、かつての部下二人にこう言った。二人からは、不満や不安がダダ漏れだった。


「残念ながら、ランゼス様」

「僕達は、魔力を返したくはありません」

「……そうですか」


まったく、前世と違ってワガママを言ってくれるのはこちらとしてはありがたいことだが。溜め息を吐くふりをして、ルースは二人を横目で観察して。


次の瞬間。

クロエが振るおうとした杖を手のひらで押すことで、王族に向いていた照準をずらし、ルースを防ごうと動いたローガンの背中を、クロエごと蹴り飛ばす。


「だから、貴方たちを拾って育てたのは誰だと思ってるんですか?」


咄嗟の連携としては百点満点だが、動きは手に取るようにわかる。床に倒れ伏し、咳き込む二人を覗き込んで、ルースは「あちゃあ」と呟いた。


「せっかく会えたのに……」

「きっと私のことが嫌いなんだぁっ、ぐすっ」


二人とも、戦意を喪失したのは良いが、その瞳はぐずぐずに潤んでいた。




「おおおお、落ち着いて。ごめんなさい、痛かったですよね? 特にローガン。ニアさんの体だということを忘れてました」


よしよしと背中をさすってやると、ニアの姿をしたローガンが天井を向いて大声で泣き始めた。


「こっ、こんなのランゼス様じゃないぃ……ランゼス様だったらっ、ごめんごめんて、笑って誤魔化すのに!」

「俺を何だと思ってるんですか。ね、クロエ。クロエも泣き止んで?」

「嫌です……こうしたら、ランゼス様が構ってくれるし……」

「こ、こんなのクロエじゃない……!」


ルースはおろおろとして、周囲に助けを求めたが、ふいっと目を逸らされた。


「こんなの、前世でも習ってない……! バカ兄貴は最後までカッコつけだったから、ちょっと肋折っても泣かなかったのに……!」


鈴成も複雑骨折しても泣かなかったので、泣く側の気持ちがわからない。だが、前世での知識は告げていた。これでは、自分は最低最悪の野郎である、と。


「この場の関係者全員殺してっ、その後にあの女を殺して、ランゼス様を独り占めできると思ったのに」

「ランゼス様が強すぎて殺せなかったし、学園長という立場ではどう考えても不利」

「……」


泣きながらおぞましいことを呟く二人を見て、ルースは前世の知識をビンタしていた。


「……ほら、立って。まずはローガンからですね、魔力を返す前に、どうしてそれが嫌なのか、聞いてあげますから。うん、俺は心が広いですね」

「横暴だ、それでこそランゼス様っ、ぐすっ」


そうして、ローガンは話し始めた。あの日、どうして、ランゼスを裏切ったのかを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ