深まる謎
なんと、ランゼスは、ローガンに殺されたらしい。
ーーいや、知ってるけどね! 俺がランゼスだし! そもそも、殺したのは別の奴だけど!
縄で縛られながら、ルースはどういう表情をしていいかわからなかったので、とりあえず、驚いた表情をしておいた。
ーーそれにしても、どうしてローガンのことを、この人たちは知っているのでしょうか。
ローガンが裏切ったことを知っているのは……王城関係者と、ローガン本人のはず。
レンドン派は、ランゼスの死後、四百年の間にできたらしいから、それを知りうるはずがない……そんな疑問は、またもや、男たちの会話によって解消する。
「ローガンは、もともとこちら側の人間だった……『神代の森派』のな」
「ああ、俺たちの前身か」
ーーあー、なるほど。
どうしてレンドン派にだけ二つ名みたいなものがついているかと思ったら、どうやら、『神代の森派』の方が元の組織名らしい。それが、後世でごちゃまぜになってしまった、といったところか。
ーーそれにしても、ローガンは孤児だったと思いますが。
それは、ランゼスがまだ貴族になる前、もっといえば、傭兵稼業をしていた時の話である。戦か何かで焼けた家々から金品を物色している最中に、家の柱に下敷きになっているのを見つけたのだ。
ーー倫理観!
前世の自分にツッコミを入れるルースである。思いっきり火事場泥棒してやがる前世の自分!
ーーあれ?
ツッコミを入れている最中に気付く。この状況、何かおかしくないか?
ーーローガンが『神代の森派』に所属していたのはわかりました。でもそうしたら、そのローガンの子孫が経営している学園の生徒を人質に取るのは、悪手なのでは?
この男たちは、ローダスがローガンの子孫であることを知らないのだろうか? それとも、知っていて、ローダスが協力している?
ルースは、その考えをすぐに打ち消した。
ーーそれはありませんね。学園長が協力しているのだったら、拘束した生徒の前で、ぺらぺらと話す必要はありませんし。
わざわざ、リスクを負う必要はない。ということは、学園長と『神代の森派』……現レンドン派は、協力関係にない……ローダスは、今はレンドン派と縁を切っている?
ーーもしくは、ローダスが生まれるまでの、四百年の間に切られている、とか。
もう少し、情報が欲しい。
「そもそも、どうして貴方たちは、学園に入ることができたんですか?」
先程、ローダスがレンドン派と繋がっているのではないかと、突拍子もない妄想をルースがしたのは、ローガンの子孫であるから以外の理由もあった。
ルースとニアが捕まったのは、学園の中庭。そこから、あれよあれよという間に、空き教室に閉じ込められて、人質にされてしまったのだが。
「ちょっと、ルース君」
空気を読めとニアが小突いてくるが、ルースは喋ることをやめなかった。
「学園には、門番の方がいます。冒険者を引退した、いずれも凄腕の方々ばかり」
そんなにすごい人たちを、倒してきたというのだろうか? いいや、そんなことをすれば、学園はもっと騒がしかったはずだ。ルースとニアが中庭に出ることも、許されなかっただろう。
ーーつまり。
「俺は、こう考えています。貴方たちの仲間が学園にいて、手引きしたんじゃないかって」




