4.全ての運命は耐えることで克服される?
「陛下ぁ」
甘ったるい声と共に、扉がバンと開く。
暗い部屋はまたもや松明の明かりで照らされた。
部屋の中に入って来たのは、今度はグィネヴィアだけではなかった。
いかにも中世ヨーロッパという袖をズルズル引きずった12、3才くらいの少年。
布や皮の帽子を被り、ぶかぶかのシャツを着て、ベルトで留めただけという服装の中年の男性。
そういった人間が数名ドタドタと入って来て、俺の周りに松明を取り付けたり、獣臭い敷布を床に敷いたりした。
やがて、桶を持った女性が入って来て敷布の上に水を撒き出す。
その途端、なんとも言えない青くさい臭いが充満し、俺は眉をしかめてマーリンを見た。
マーリンは肩をすくめて、部屋の窓をすべて開けた。
冷たい夜風が吹き込み、痛む背や胸にはキツかったが、部屋に充満する臭いで窒息するよりはマシだった。
グィネヴィアは敷布の上に用意された椅子に座ると、少年たちを手招きした。
少年たちは手に手に何かを乗せた板を持っていた。
一人だけ水を入れた桶を持っていて、俺の前に跪いて、桶を差し出した。
桶の水の中には、草花が入っていた。
えーと、手を洗うで間違いないよな?
顔を洗うじゃないよな?
ましてや、足湯っていうわけでもないよな?
俺は周りの反応をうかがいながら、恐る恐る桶に手を入れてみる。
水は冷たかったが清涼で、少しだけホッとした。
桶から手を出すと、桶を持った少年は、自分の肩にかけていた布を俺に差し出す。
えっと、手を拭いていいんだよな?
またしても俺は恐る恐るその布で手を拭いた。
俺が手を拭くと、少年は桶を持ったままサッと一歩後ろへ下がった。
代わりに板を持った少年が進み出て、俺の前に跪いた。
「陛下ぁ、どうぞ召し上がってください」
グィネヴィアが鼻にかかった甘ったるい声で言う。
その時になってようやく俺は、板の上に乗っているものが食べ物だと気づいた。
いや、アレ、食べ物か?
俺はしばし、板の上の物体を凝視した。
一つは、銀色の器に泥水のような液体が入っていた。
そこはかとなく酸っぱい匂いもする。
一つは、腐った臭いのする、表面が炭化した肉(不明)だった。
むしろ、アレ、腐ってないか?
一つは、古い野球ボールのように見える物体だった。
もはや食べ物に見えん!!
「陛下ぁ、すぐにお元気になられるように、精のつくものばかり用意しましたわ。どうぞ、いっぱい食べて、早く元気になって下さいね」
ニッコリとグィネヴィアは微笑むが、むしろ俺を殺しにかかっているとしか見えなかった。
「あー、食欲があまりないのだが、果物とかは無いのか?」
「まぁ、いけません!」
俺の言葉にグィネヴィアはずいっと身を乗り出した。
「きちんと食事をなさらないと、元気になりませんよ」
むしろこの料理(?)を食べた方が、体を壊すわ!
「まぁ、そうでしたわ! 私としたことが!」
俺の沈黙にグィネヴィアは何を思いついたのか、パチリと手を叩いた。
そして、銀の器を持った少年を手招きする。
少年は静々とグィネヴィアの前へ出て、器をグィネヴィアに差し出した。
グィネヴィアは銀の器を手に取ると、椅子から立ち上がって俺の前へと来た。
「陛下、私が食べさせてあげますわ」
「は?」
グィネヴィアは器を俺の口元へと近づける。
酸っぱい臭いが、鼻の奥から胃の中にまで迫ってきて、本気で吐きそうになる。
「大丈夫だ。自分で食べられる」
器から顔を背けながら、唸るように言うと、「でも」とグィネヴィアは首を傾けた。
「陛下は一週間もお目を覚まされないほどの怪我を負われたのですよ。ご無理をなさらないでください」
そんな重傷人になんて物を食べさせるのだ!
ここは、滋養高いスープあたりが妥当じゃないのか!?
そう思って、目の前の泥水を見る。
まさか、コレが、滋養高いスープ!?
俺はゆっくりとマーリンを振り返った。
マーリンはニッコリ微笑んで、親指を立てる。
「Fight !」
後でコロス。
そう思いながら、俺は素早く他の料理(?)に目を走らせた。
何か食べれそうなモノはないのか?
目に止まったのは、古い野球ボールのような物体だった。
一見食べ物に見えないが、アレも食べ物だと仮定すると、おそらく小麦粉をこねて焼いた、パンのようなモノだろう。
この時代のパンなんて、固くて食べられたシロモノでは無いが、腐敗臭のする肉やスープより何倍もマシだ。
俺は少年を手招きして呼び寄せて、その古い野球ボールを手に取った。
か、固!?
パンは陶器か!?と言うぐらい硬かった。
何をどうしたらココまで固くできるんだ!?
フランスパンでも、もうちょっと柔らかいぞ!?
中世のパン恐るべし!?と思いながら四苦八苦していると、
「陛下、失礼します」
横から手が伸び、少年の一人が俺からパンを受け取った。
そして、腰からナイフを出し、器用にパンを切り裂いた。
途端にジュワッと出てくる内容物。
その内容物のニオイを嗅いだ瞬間、俺は愕然とした。
アンモニア臭だと!!
まさか、コレが、噂に聞くキドニーパイか!?
「どうぞ」と差し出される物体を見て、俺の背筋を嫌な汗が流れ落ちた。
死ぬ。
絶対、コレ食ったら死ぬ。
「陛下ぁ?」
小首を傾げて自分を見つめるグィネヴィア。
彼女の顔の上で、「食べる」「食べない」の選択肢がチカチカ点滅しているのは、幻覚ではないはず。
なんだ、この、デッドオアアライブな状況は!?
俺、どう考えても詰んだだろ!?
「グィネヴィア姫、陛下は病み上がりなのです。さすがにこの料理は、陛下のお体に障ります」
やっと助け舟を出したマーリンを俺は睨んだ。
遅い!
アイツ、この状況を楽しんでいやがったな!
「マーリン、あなたが精のつく料理を、と言ったのですよ?」
「ええ、ですが、いきなり肉料理はどうかと。まずはポリッジあたりからどうでしょう?」
「そんな下賤な者の料理、陛下が食べるはずがないわ!」
マーリンは片眉を上げて、俺を振り返る。
その視線に釣られたように、グィネヴィアをはじめ、その場にいた全員が俺の顔を見た。
やっぱりデッドオアアライブかよ!
マーリン、コロス!
内心叫んだ後、俺はピンと閃いたことがあった。
「あー、グィネヴィア?」
「はい、陛下」
「私はそんなに長い間眠っていたのか?」
「はい、陛下。もう、二度と目を覚まさないかと思いました。陛下が目を覚まされたのは、まさに神の奇跡ですわ」
グスグスとグィネヴィアは泣き始める。
その彼女の言葉に、俺は内心小さくガッツポーズをした。
「私も神の奇跡だと思っている。だからこそ、神の愛に感謝を捧げないといけないと思うのだが、どうだろう?」
俺の言葉にグィネヴィアはポカンとした。
しばらく無言で俺の顔を見つめた後、グィネヴィアはパッと顔を輝かせた。
「まぁ、陛下! その通りですわ!」
「この料理は神への供物として捧げてくれるね?」
「ええ、陛下。もちろんです!」
「私は、神への感謝の印として、『あえて』ポリッジをいただくよ」
「陛下、なんて素晴らしいお考えなんでしょう! 陛下の神への忠誠は誰もが見習うべき姿勢ですわ! 私も自分の考えの至らなさを恥ずかしく思いますわ」
そう言ってグィネヴィアは少年たちに手を振る。
料理を持って跪いていた少年たちは、大慌てで立ち上がり、部屋を後にした。
「では陛下、私も神への感謝を捧げて来ますね」
「ありがとう、グィネヴィア」
グィネヴィアは嬉しそうに笑うと立ち上がり、部屋を出て行った。
大慌てで、彼女が座っていた椅子と敷物は片付けられ、扉が閉まる頃には部屋は三度の静寂に包まれた。
扉が閉まると、マーリンはケラケラ笑いながら手を叩いた。
「お見事、お見事。うまく彼女を追い出したね」
「マーリン、お前、全部分かっていただろう?」
「この国の料理のこと? まぁね、君たちの世界の君たちの国の料理はお世辞じゃなく、すごく美味しそうだったからね。さすがにうらやましかったよ。でも、ココでも作れないわけではないよ。ハーブやスパイスは手に入るし、塩も砂糖も手に入るからね。ただ、技術と知識が無いだけ」
「目指せ、料理チート!」と言っている目の前の三流夢魔の顔に、さっきのキドニーパイをぶつけたかった。
「マーリン、さっきからチート、チートと言っているが、そもそもココは何世紀のアーサー王伝説なんだ?」
「うん?」
マーリンは首を傾げ、目をパチパチと瞬いた。
「お前だったらよぉく知ってるよな? アーサー王伝説は、書かれた時代によっていく通りも物語があることを?」
アーサー王伝説、あるいはそれにまつわる物語は多岐にわたる。
ジェフリー・オブ・モンマスが書いたアーサー王はローマ帝国時代のブリトン人の王だが、描かれた舞台設定はジェフリーが生きた12世紀だ。
騎士道文学としてのアーサー王伝説をまとめたトーマス・マロリーのアーサー王は古代の伝説の王と言いながら、ランスロットをはじめとする15世紀の騎士が続々出る。
そもそもの元ネタとなったマビノギオンでは、6世紀の話だと言っている。
「で、ココはどのアーサー王伝説で、何世紀の話なんだ?」
「セイキッテナンノコト? オイシイノ?」
「目を逸らすな!」
「僕、この世界の住人だから紀元前とか紀元後とか、ヨクワカラナイヨ」
「分かってるじゃねーか!」
「チッ、コレだから歴オタは面倒くさいゼ」
「マーリン?」
「分かったよ。言います。言わせていただきます」
マーリンは天井を見上げ、「マズったなぁ。失敗したかなぁ」と呟いた後、俺を見た。
「君はプラトンのイデア論って、知ってる?」
「そういうのはもういい!」
「知らない?」
「大学の一般教養で習ったぐらいはな。アレだろ? この世界は真なる世界・イデアの影だってヤツ。我々がどんな現象を知覚しようと真なる世界・イデアの影にしかすぎず、原形であるイデアは変わらない…って…いうヤツ…まさか!」
「その通り。この世界でどのような形でアーサー王伝説が描かれようと、アーサー王の根本のストーリーは変わらないのさ。5世紀だろうが、15世紀だろうが、ローマの皇帝だろうが、ただの戦士のリーダーだろうが、アーサー王物語は変わらない」
「だが、この世界の文明レベルは歴史の発展に比例するだろ? お前の言う通り、魔法も神も無いなら、科学技術の発展に大きな差異は無いはず」
「まぁね。そういう意味で言うなら、君の頭の中にある中世を思い浮かべてくれたらいい。だけど、サクソン人はブリテンに攻め寄せてきているし、ローマ皇帝もローマ教皇もいるけど、ケルト人もいる。キリスト教的な神を信じている割には、魔女も妖精も存在する。騎士道文学華やかなりし頃のアーサー王伝説なんだよ、ココは」
「あー、頭が混乱してきた」
俺は頭を抱えた。
「だよねー。だから難しく考えず、『異世界転生した! やったね☆』ぐらい軽い気持ちで」
「できたら、苦労せんわ!」
「難儀だなぁ」
マーリンはふぅとため息をついた。
「君にだけは言うけど、僕は未来が視えるわけじゃない。僕はあらゆる世界の人間の夢を渡り歩いて、たくさんのアーサー王伝説を見てきた。そしてそこから、変わらない物語を推測して、未来が視えている振りをしている」
「だから?」
「だから、この世界の未来は視えない。『この世界がどう紡がれていくか?』は、この世界のマーリンは知らないんだ」
「つまり?」
「つまりネ、ココは君の、君による、君のための世界なんだっていうコト。さぁ、僕と一緒に君だけのアーサー王物語を紡ごう☆」
ウインクしてくるマーリンをジッと見つめて、深いため息をついた。
もう、怒る気力も無い。
「要するに、アレか? ココはアーサー王伝説の概念の中に無数に存在している多元世界の一つということか?」
「Excellent !」
「で、お前は、他のアーサー王伝説を盗み見ることはできても、他の世界に存在するマーリンと存在を共有することはできない。あくまで、この世界のマーリンだ、と」
「Fantastic !」
「ココは概念の世界だから、実際のアーサー王の歴史的事実とこの世界の歴史や文化水準に齟齬があっても関係ない。あえて極論を言うと、『物語の世界だから』というご都合主義がまかり通る、というわけか?」
「Wonderful !」
パチパチパチと拍手するマーリンを、うつろな目で見つめる。
この、エセ魔法使いが!
お前がニミュエに閉じ込められる未来は、絶対に教えてやらん!
ドンドンと突然扉が叩かれた。
「アーサー、起きているんだろ?」
野太い男の声が向こうから聞こえてくる。
俺はマーリンを見た。
マーリンは頷くと、扉の外に声をかけた。
「ベディヴィア卿、ケイ卿だろ? 陛下は大丈夫だよ。通して」
「アーサー、大丈夫なのか?」
ベディヴィア卿が扉を開ききる前に、ケイ卿は部屋に入ってきた。
「えーと、兄さん?」
「そうだ。おいおい、頭を打たれて俺の顔を忘れたとか言わないよな?」
ケイ卿はアーサーが子供の時に預けられたエクター卿の息子だ。
アーサーは選定の剣を抜くまで、ケイ卿を実の兄だと信じて育った。
そして、アーサーが即位した後は、ケイ卿はアーサーがもっとも信頼する家臣となった。
「何か用?」
「なんだよ。お前のためにポリッジを持って来てやったのに、いらないのか?」
ケイが振り返ると、両手で器を持った少年が立っていた。
ケイが手を振ると、少年は慌てたように俺のそばまでやって来て、跪く。
そして、手に持っていた器を俺に差し出した。
中には、湯気を立てたポリッジが入っていた。
ポリッジとは、オーツ麦と牛乳で作る西洋版お粥みたいなものだ。
だが、このポリッジは肉とか野菜とかがゴロゴロと入っていて、なんとも美味しそうな匂いが漂っていた。
思わずお腹がぐぅと鳴き、喉から唾が迫り上がってくる。
そんな俺を見て、ケイは破顔した。
「変わってないな、アーサー。お前は昔からポリッジが好きだったからな」
「昔からって、いつからですか?」
「さぁな、俺が知るか。ただ、親父やお袋が『騎士の食べ物では無い』といくら注意しても、城を抜け出して農家でポリッジを食べていたな」
ケイは懐かしそうに、目を細める。
俺はポリッジを一口口に含んだ。
牛乳だと思ったらチーズ味のクリームで、まるでシチューかリゾットみたいな味わいだった。
「コレは兄さんが作ったの?」
「まさか」
ケイは肩をすくめる。
「ボーマン、最近入った下働きのガキなんだけど、ヤツに作らせた。何がいいのか、いつもポリッジばっかり食ってやがるからな」
「ボーマン?」
「ああ、変わったヤツさ。突然名前も告げずに『ココで働かせてくれ』って現れてな、怪しいヤツだとは思ったんだが、皆が嫌がる台所仕事を率先してやるから、使ってみることにしたんだ。しょっちゅう手を洗うからボーマンというあだ名をつけてな」
「アイツ、トイレの後も手を洗うんだぜ」と、俺にとっては笑いごとではないことを笑うケイの言葉はとりあえず横に置いて、俺は首を傾げた。
ボーマン?
どこかで聞いたことがあるような?
「そうだ! アーサー。お前、立てるか?」
「やってみないと分からないけど? 何?」
「立てるなら、広間まで来てほしい。明日の決戦に備えて軍議をしているんだが、お前がいないからどうにも決まらない」
「いつも通りでやればいいじゃないか」
前任者は『つっこめ〜』しか言わなかったらしい。
それでも11王の戦いに勝ったのなら、今度もそうすればいいのに。
と、俺はやる気無く考える。
だが、ケイは首を振った。
「籠城だろうが、突撃だろうが、お前は王なんだ。王が号令しないと誰も何もできやしないぞ」
ああ。
その通りだ。
この人はこういうことをズバリと言ってくれる人だったな。
伝説のケイ卿を思い出し、心の中でクスリと笑う。
なんだか、ついでに肩の荷も降りたようで、俺はシーツの中で脚を動かした。
「右脚は動くが、左はダメか」
「肩を貸そうか?」
ケイの申し出に軽く頷くと、なんとかシーツから足を出す。
ポリッジを持って来た少年が素早く俺のそばに来て、靴を履かせたり、シャツや上着を着せてくれた。
その時になってやっと、俺は自分が全身素っ裸だったことに思い至った。
裸で寝るのはさすがに寒いな。
次からは寝巻きを用意させよう。
本来は人肌で温めあうらしいが、グィネヴィアとはごめんこうむりたかった。
「剣で支えにするといいよ」
マーリンがどこからか立派な印象の剣を持って来た。
「鞘の象嵌の部分を触ると痛みが和らぐよ」
剣を渡す時、俺にささやく。
それは最終手段だ、と思いながら剣を受け取った。
「ベディヴィア! お前も手を貸せ!」
ケイの言葉にベディヴィアは弾かれたように部屋へと入ってきた。
「陛下、失礼します」
ベディヴィアが俺の脇の下に肩を入れる。
立ち上がると胸にズキリと痛みが走り、ぶわっと脂汗が浮き出てくるのを、歯を食いしばって耐えた。
反対側の肩はケイに支えてもらい、俺はゆっくりと歩み出す。
一歩歩むごとに、全身に激痛が走り、何をどうしたらここまでボロボロになるんだと、前任者を問い詰めたい気になった。
「ところで、ケイ。我が軍は一体何人の兵がいるのだ?」
二人に支えられながら歩む俺は、ふとケイに尋ねた。
ケイはしばらく沈黙してから、わずかに視線をそらして答えた。
「義勇兵も入れて2500かと」
「義勇兵? 純粋に騎士だけなら何人なんだ?」
「…………500」
「…………サクソン人は何人?」
「…………15000」
「詰んでんじゃないか!? アイタタタ」
思わず大声を出して、傷に響き、文字通り悶絶した。
「陛下、大丈夫ですか!?」
ベディヴィアが慌てて支え直す。
「詰む? どういう意味だ? アーサー?」
「もう、手が無い、という意味だよ!」
大声を出すと傷に響くが、つい声を張り上げてしまう。
そんな俺を見て、ケイはニカッと爽やかな笑みを浮かべた。
「だから言っただろ? 城を枕にして散るにしても、騎士として華々しく散るにしても、お前の号令がないと始まらないって」
ダメだ。コイツら。脳筋だった。
そんな俺にマーリンがささやく。
「分かる? つまり、Dead or alive 」
「alive の要素がどこにも無いわ!」
俺の悲痛な声が城の廊下を響き渡った。