つらいのは皆同じ

（１）過去と今

○県○市で、中学生による暴動が起こった。

動機は、イジめへの反抗。

あ、それいいな、いただき。

と思った。

なんにもできない私より、ずっとかっこいいじゃん……。

単刀直入に言うと、私のクラスにはイジめがある。

もちろん、対象は私ではないけれど、イジめられているのは私の幼なじみだ。

以前はクラスの人気者だったのに、借りたＣＤの歌詞カードをなくしたから、イジめられた。

もともと、仲良くなりたいがために無理矢理ＣＤを貸したのは同級生なのに。

でも、幼なじみということよりも、もっと大きな理由がある。

あいつがイジめられていることが誰よりもつらいのは、昔、あいつに告白されたから………

たしか小学６年生のときだった。

放課後、いきなり教室に呼ばれて、いきなり

「俺は乃ノ香(ののか)が好きだ。付き合ってくれ。」

と言われて………

やんわりと断ったはずなのに、どうしても胸が疼(うず)き、ドキドキした。

私に好きな人はいなかった。

だから、

「考えたこともなかったの−−−……ごめんね。」

と言って……

今は思う、あいつがこんな目に遭わされると分かっていたら、絶対に絶対にＯＫしていた。

何であの時、断っちゃったんだろう、馬鹿だな、私……。

幼なじみの名前は、筑波直紀(なおき)。

直紀がつらければ、私もつらい……

つらいのは皆同じ。

だから…だから今、立ち上がれる。

イジめなんて、吹っ飛ばしちゃえばいいんだ！