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異世界転移したら飼っていた犬が最強になりました~最強と言われるシルバーフェンリルと俺がギフトで異世界暮らしを始めたら~【Web版】  作者: 龍央


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992/1998

リーザが買った物を見せてもらいました



「この布にね、地面に溜まったお水を乗せると、下から綺麗になった水が出てくるんだよ」

「え……それって……」

「お水を飲むために、お爺ちゃんに教えてもらったの!」


 泥水を飲むための簡易的なろ過装置……みたいな感じか?

 レインドルフさんから教えてもらったって事は、サバイバル知識みたいな物だろうか? 旅をしていた人らしいから、そういった知識は豊富そうではある。

 けど……。


「リーザ、お水は外ならレオが出してくれるし、屋敷とかでも飲ませてくれるだろ?」

「うん……だけど、こういった備えは重要だってお爺ちゃんが言ってた。パパに買ってもらった服、汚したくないし……」

「あー、まぁ大事にしてくれるのは嬉しいんだけどな……」


 以前、リーザはレオが出してくれた飲める水を飲んで、美味しいと言って感動していた。

 その時に聞いたけど、比喩ではなく泥水を啜って生活していた時期もあったとか。

 だから、備えとして水をいつでも飲めるようにするため、縫い目が細かい布を欲しがったんだろうけどなぁ。


「それから、これは火がつけられるの!」 

「火打ち石、じゃないか。魔法具、なのかな?」


 リーザが手に取って、嬉しそうに教えてくれるのは、二つで一組になった石。

 二つを合わせると、キャンドルの魔法くらいの火が一瞬だけ出て、すぐに消えた。

 一瞬火打ち石かと思ったけど、あれは石に火打ちひうちがねを打ち合わせて火花が出る物だし、石が二つってわけじゃないはず。


「家庭の生活で火を起こす際、魔法を使う方も多いですが、こうした魔法具を使う方もいるので、商品として置いております。値段も安いので誰でも買い求めやすいのですよ」


 火花どころか、火が出た事を考えると、魔法具っぽいと思って首を傾げていると、ハインさんが教えてくれた。

 キャンドルの魔法は、セバスチャンさんが見本として見せてくれた事があって、生活などにも使われている話を聞いたけど、魔法を使わなくても簡単に魔法具で火を付ける人もいるらしい。

 これも、タイニーライトみたいに安く買える物らしいので、それなりに人気商品みたいだ。


「そ、そうですか……うーん」


 なんだろう、リーザの欲しがる物がサバイバル方面に偏り過ぎている気がする。

 もしかして、スラムで生活していた経験から、なのか?


「駄目だった、パパ?」


 おっと、渋い顔をしてしまったせいか、リーザが窺うように見ている。


「あ、いや、そうじゃないんだ。ちょっと予想外だっただけで……リーザが好きな物を買っていいんだし、そのためのお小遣いだから」


 欲しい物を買っていいと言ったんだから、よっぽどの事でなければ怒ったりはしない。

 そのよっぽどの事というのは、考えておきながらリーザが買って来る想像はできないんだけど。


「良かった……パパに怒られるかと思った。ティルラお姉ちゃんやライラお姉さんも、リーザが欲しい物を買えば、パパ怒らないって言ってたけど」

「そうなんだ?」

「はい、リーザちゃんがジッと見ているだけだったので、誰も怒らないから好きに買っていいんだよって言いました」

「リーザ様は、タクミ様からもらったお金を本当に使っていいのか、悩んでおられましたから」


 リーザが買い物をするのを、ティルラちゃんやライラさんも応援してくれたらしい。

 二人に聞いてみると、もらったお金をどうするか悩んでいるリーザの背中を押してくれたみたいだな。

 店員さんだけだとこうはいかなかっただろうから、ついて行ってもらって正解だった。

 ティルラちゃんは、自分が欲しい物も買えて嬉しそうだし。


「あれ? そういえばまだ袋の中に入っているようだけど?」

「あ、これはね……」


 空いている袋から中身がチラッと見えて、袋とは違う色……白い何かが見えた、まだ買った物の紹介途中だったようだ。

 リーザに聞いてみると、すぐに取り出して見せてくれる。


「傷を負った部分を保護したり、固定する時に使う布のようですね」

「んー……包帯?」

「えっとね、こっちのお水のための布と違って……」


 袋から出てきたのは、白くて縫い目が荒く、細長い布が細い棒に巻かれている物だった。

 クレアがそれを見ながら、用途を教えてくれるけど……見たまんま包帯だった。

 よく薬局とかでも売っている物、そのままだ。

 首を傾げる俺に、リーザが包帯の端を引っ張って伸縮させながら、説明してくれる。


 水をろ過するための布はそれ専用で、包帯は怪我をする事が多かったけど、これまで服の端切れとかを使っていて綺麗な物が欲しかったから、だそうだ。

 初めて会った時もそうだったけど、生傷が多かったからなぁ……傷を保護するのに使いたかったんだろう。

 今では、日常で怪我をする事なんてほとんどないのに。


「ナイフは前にパパが買ってくれたから、今リーザが欲しい物はこれだよ」

「そ、そうか……やっぱり、これまでの経験が原因なんだろうなぁ」


 嬉しそうに言うリーザに頷きながら、小さく呟く。

 想像では、ティルラちゃんのようなウルフをかたどった物とか、アクセサリーとかを買うのかと思っていた。

 まぁ、女の子だからって先入観があるからだけど。


 ともかく、サバイバルをするかどうかはともかくとして、リーザはスラムで必死に生きていたのだから、その時の事が心の奥底にあるんだろう。

 すぐにどうこうできるわけじゃないし、こういうのは、時間をかけてゆっくりと新しい趣味に目覚めてもらえばいいか。


「あ、二人共。お小遣いは足りたの?」

「はい、大丈夫です」

「うん、リーザも大丈夫だった。パパ、はい」


 考え込む俺とは別に、クレアが二人にお金が足りたのかを聞く。

 二人共頷いたので、大丈夫だったようけど、リーザがスカートのポケットから何かを取り出し、俺に差し出してくる。


「ん?」

「買った後に、残ったお金だよ、パパ」


 リーザが出したのは、銅貨が十枚程……まだポケットが膨れているから、おつりはまだあるようだ。


「これは、リーザにあげたお小遣いなんだから、リーザが持っていればいいんだよ」


 多分、リーザは好きな物を買っても、おつりは返さないといけないと思ったんだろう。

 お使いを頼んだと言わけじゃないのだから、おつりを返す必要はないんだけど、リーザには小遣いは自分の物で自由に、という考えがないのかもしれない。

 これまで小遣いをもらった事がなければ、わからないのも無理ないか。




読んで下さった方、皆様に感謝を。


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■7巻書影■mclzc7335mw83zqpg1o41o7ggi3d_rj1_15y_1no_fpwq.jpg


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神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移


完結しました!
勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

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夫婦で異世界召喚されたので魔王の味方をしたら小さな女の子でした~身体強化(極限)と全魔法反射でのんびり魔界を満喫~


― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 なんと言うサバイバル思考!?
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